第7話 昼色の花火

本能の叫ぶままに、私は彼を決めつけた。

しかし衝動に操られるまま、私は彼の眼を鋭く覗いた。

不思議そうに返してきた視線は、数秒もすればどこかへ逸れ、

彼はすぐ、くだらない自己紹介を始めた。

ネットに転がっていた情報を丸写ししたような内容、

やはり彼だ。私と同じ位置のホクロも、家族構成も、

彼は私の知っている情報だけを教えてくれる。

所詮は上っ面だ。

それでも私は、季花の事を知る為に彼との会話を続けた。

一日目、楽しくない。

二日目、楽しくない。

三日目、そんなに楽しくない

四日目、楽し…く、あれ?

彼と話すのが、徐々に楽しくなって来ていた。

危ない。早く切り出さなくては、、、

私は妙に震える声で彼に話しかけた。つめ

「季花という人を知ってるか?」

すると彼は一瞬訝しげな表情を浮かべたが、

すぐ柔らかい笑顔に戻し、

「誰?それ。」

私は嘘をつく人の顔を知っている。

彼は自分の仮面が落ちたのに気付いたのか、

少し息を漏らし、私を覗いた。

彼は怒ったような、泣いているような、

不確かな表情を示し、私を少し待たせた。

おそらく彼にも事情があるんだろう。

今更咎める程小さい人間ではない。

かと言え彼女を知るには、彼を問い詰めるしかない。

私は彼に近づこうとした。

すると彼は二人で話せる場所を提案してきた。

私は少し疑心を抱いていたが、

彼の視線に当てられてしまった。

そして私はノコノコ着いていき、気づいた時には、

腹に穴が空いていた。

彼はハンカチだけをとり、何処かへ行ってしまった。

身体中に掛かる血は、花火に似ていて、

昼は私を静かに照らしていた。

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夕獄 桜丸 @2010514

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