第6話 昼休みの見つけ方

きっと起きたらもう君はいない。

空にあるわたあめになって、

朝に溶けていくのは分かっている。

私は湿った目をこすり、ゆっくり体を起こした。

分かっていたはずだ。それなのに、ハンカチに落ちた雫は、

そのハンカチを薄暗く染めた。

ーーふと気づいた。何故ハンカチがここにある?

うやむやのまま帰ったが、よく考えれば結局ハンカチは

見つからなかった。

しかしあれは夢だったはずだ。どうして…

それから小一時間考えたが、どうも答えがでない。

痺れを切らした私は、

マウスに人差し指を乗せ、事件について調べることにした。

大事件では無かったが、

地元のニュースくらいにはなっているはずだ。

◯◯市 火災 事件 調べると案外すぐに出てきた。

どうやら放火事件だったらしい。

事件を起こしたのは当時10歳の子供で、

負傷者は…二人?

行方不明、死者…0!?

そんな筈はない。彼女は、彼女の情報は?

いくら探っても「赤月季花」という名前は出てこず、

結局その日はモヤが罹ったまま、布団に足を入れた。

ーー次の日、私は別の方向で調べる事にした。

放火魔である"彼"を探すのだ。

私は彼について徹底的に調べた。

そこから分かったこと一つがある。

彼は少年院に出てから、ウチの学校に在学しているのだ。

私は自分の近くに放火魔が居たことに戦慄した。

しかしいち早く季花について知ることが出来るのだ、

好都合とも言える。

私はあべこべの靴に気づくこともなく、大学へ走った。

着くとすぐに道行く人に聞いて回った。

話し上手で無い私にとって、それは苦難であったが、

彼女のことを知るためだと腹をくくり、

ひたすらに声をかけた。

300人目くらいの時、うっかりゴロツキに聞いてしまい、

そのまま軽く吹き飛ばされた。

立ち上がろうとすると、

「大丈夫?」

と声をかけてくれた青年がいた。

しかしその刹那、本能が叫んだ。

彼こそが"彼"なんだと。

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