第3話
京都のメイメイへ
メイメイは、いい加減、お父さんと楽しくお話できるようになったかしら。メイメイのお母さんとは、そうと知らずにお話していたみたいだからいいけれど。お姉さんは、ちょっと心配です。まあ、研究の話なんかしたって、そんなのは親子の会話にはならないから、ひとつ小説の話でもしてみたらいいわ。私も大学病院に入院していた頃、勉強の息抜きには小説を読んでいましたから。ただし、お父さんの本の趣味は独特です。あの人、人が死ぬようなお話ばかり好んで読むのよ。ちょっと、現役医師として、どうかと思うわよね。読むだけならともかく、入院患者の私におすすめしてくるあたり…。
*
「小説…?」僕は、そこで、顔を上げた。「どうしよう。読んだことない…」
理由は明白である。小説なんて読む暇があったら、勉強しろと、育ての親に言いつけられていたからである。
「僕なんか、小説も読まないで、勉強ばかりしてきたのに、いつも芹菜お姉ちゃんの後追いばかり…」
目尻に涙が浮かんでくる。決めた。父に八つ当たりしよう。そうしよう。
*
メイメイ、近頃はあんまり可愛い格好はしなくなったのですってね。あなたのマブダチ、
*
そこで、首を傾げる。
「仙台の人って、京都の人っぽいのか…」
幻想(ユメ)のあと 神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ) @kamiwosakamariho
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