11.やがて君は花になる。


「大切なものを見つけることは難しいけれど、

 大切なものを守り続けることはもっと難しい」



 遠い昔に聞いた言葉だった。



 単純な言葉を通じて語る意思は、とめどなく流れる水のように時を超えてゆく。



 きっといつか渇ききってしまうかもしれないけれど、



 意思を伝えるために切り開いた道は決して消えることはない。



 それは、君を想う心と同じで、崩れることのない気持ちだから。



「簡単だとは思わない。

 けれど、知っておきたい。知ってほしい。

 それがたとえ叶わぬ願いだとしても、

 永遠なる時間の中で君と出会える一瞬の時間を与えてくれるなら、

 私は叶わぬ願いにすがりたいのです」



 夜明けが訪れる前に見える幻は、

 音を立てずに飲みこまれて、

 今ここに枯れない花を咲かせる君だけは、

 ただひたすらに守ると誓って。

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