第536話 布団が吹っ飛べば良いのに。
ふたりきりどころか衆人環視の注目の的である。
紅緒永遠は東光高校でもトップクラスの注目度の女の子。
美貌と成績、そしてその巻き込み体質で全力青春派みたいな学年どころか一部他学年にも影響を及ぼす娘。
あと体力貧弱娘でもある。
はいはいってあしらいつつ担任に異常なしって伝えて男女兼用の広間スペースへ戻る。夕方まできゃっきゃ騒ぎつつ、
夕飯は船内の展望レストランでザ☆洋食って感じのハンバーグ定食を頂く。
美味しいけど俺カレの味が恋しい。
青井と伊勢さんはまだ食欲わかないらしく2人の分は俺と紅緒さんで美味しく頂いた。
20時に大広間が消灯されて
おのおの船室へ引き上げる。
10人雑魚寝の二等客室。
でもまだ21時の消灯時間じゃ無いので一部では男子船室に女子来たりその逆も。
入船時は制服だったけどもう皆んな学校指定ジャージに着替えてゴロゴロしている。
伊勢『なんか復活したかもー!』
青井『俺も。』
伊勢さんはほぼ回復!青井はまだ7分くらい。
伊勢紅緒組と仲良い女子が男子部屋へやってきた!
盛り上がる男子部屋!
普段そんな絡まない男子たちとも今日は違う。
中学の時もそうだったっけ。
仙道もやって来た!…あっちゃんはもう寝てた…クラスに友達居ないんかな…。
担任『そろそろ消灯時間だぞー?解散解散!』
伊勢『ちぇーあーし起きたばっかだしー?
明日北海道に上陸したら成実さんの本気見せてやんよ?』
青井『ひさびさしげざねモード?』
伊勢『あーしは神様になった猛将と同じ名前のおんな…
じゃあ!まったねー?』
伊勢さんがニコニコ手を振ってくれる。
女子たちは引き上げる。男子たちは口々に、
『…女子良い匂いがする…。』
『ジャージ女子こんな間近で初めて見た…伊勢さんの…ご立派…!』
『紅緒さん…色白なだけに頬が上気して…可愛いぃ!』
俺『…あっちゃんの寝顔…凛々しい…!』
『『『お前はおかしい!』』』
解せぬ…!
☆ ☆ ☆
船室にはもう布団が敷いてあって、掛け布団を端っこに押しやって真ん中スペースを確保して車座になってはしゃいでトランプしておしゃべり三昧だったわけ。
名簿順に割り当てられててその頭部分に収納スペースがあってそこにリュックとスーツケースを置いてる。
あー楽しかった!寝れるかな?俺たちの夜はコレからだ!
なんてバカな
このまま寝ても良いんだけど…。
明日朝4時から行動とは言え…21時に寝れない!
まぁ先生が見に来るから一応布団に横にはなるけどさ…。
青井『立花!こっちこっち!場所変わってもらえよ!』
男子『あーいいよ?』
別に寝る場所にこだわり無い。
多分電気消したら皆で取り止めない話大会…中学みたいに恋愛暴露大会になるのかな?
そう思って動かそうとリュックとスーツケースに手を伸ばす…その手をぎゅっと掴まれた!
『ぴゃ!』
『立花どうしたん?』
『何か居た?あ!怖い話大会する?』
恐る恐る布団を覗く…。
俺もうわかった。
…そこには涙目の紅緒嬢が居た…。
…セクシーランジェリー姿で…。
紅緒…その格好…!
※動揺して呼び付け。
紅緒さんは涙目で小声で、
紅緒『…まちがえちゃった…。
…いえ間違いを起こしにきたのですが…。』
どうする?
→
紅緒さんがいるぞ!
さーて寝るか?
俺と武将について語り合わないか?
…。
『さーて寝るか?
…青井がこっち来てよ?』
青井『良いぜ?壁際狭くて嫌だったんだ。』
俺の場所がドア近くで入り口スペース確保のため広くなってる。
俺は布団を少し開けて…中の偏差値の高いおばかをそっと見せる…。
もちろん配慮して顔だけ。
とわんこは涙目でぷるぷる震えている…。
今はちわわんって感じ。
青井『なっ?!…ば…ばっか…あははははははははは!』
青井の大笑いに紅緒さんは涙目あたふた!
紅緒『あおいくん!ダメ!注目集め無いでぇ…!』
青井の大笑いに注目が集まる!
そうしたん?なになに?
青井『立花が面白い事言うからさぁ!』
※ごめんって目配せ、
え!聞きたい聞きたい!なになに!?
もう11時間も船に乗ってれば良い加減飽きてくるわけで。
仲間内での話もネタが尽きてくる頃笑い話…そりゃそそられる!
青井ぃ!無茶ぶりしすぎぃ!
俺の頭脳をフル回転…!
なんか!なんか出せ!
面白い話…怖い話…!
あー!!
ちょうどここで消灯。
部屋は真っ暗。
常夜灯のオレンジの灯りだけが室内を照らす。
…。
…。
『で、ひーちゃんが8人いるー!って。』
立花家の怪奇現象 参照
https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16818023211988234920
俺渾身の弟ネタ!
面白くって可愛くって怖い話テイスト!
『くっ!おもろ!』
『可愛い!立花弟居るのな?』
『幼稚園児かわゆす!』
『あははは!』
紅緒『うふふふふ♪』
とわんこ?!
『今女の子の笑い声しなかった?』
『…まさか…。』
消灯した室内はうっすらオレンジ色に染まっている…
あとはタイミング見てとわんこを逃すだけ…。
しかし室内のDKどもはますます元気!
…仕方ない…
俺は紅緒さんを隠すためにすぐに布団に入り横になる。
ぴとっ。
紅緒さんの生々しい体温、布団から漂う…女の子の匂い…。
ごく。
女の子の匂いってなんて言うか…本能にはクル。
それが狙いなんだろうけど。
紅緒さんもしまったって思いは有るのか布団の中でアプローチはしてこなかった。
…不意に悲しい顔した香椎さんが思い浮かぶ…。
むぅ、俺は好きな娘がいる身…絶対に誘惑に負ける訳には行かない…。
邪念を消せ…
『…陣形… 戦闘において安全を確保し、柔軟かつ迅速な対応を可能にし、戦闘力を最大限に発揮するための人員と装備の類型化を目論んだ配置である。
鶴翼、錐行、箕形、魚鱗、偃月、方円、雁行、長蛇、衡軛、鋒矢 、鈎行、ファランクス、斜線陣、テルシオ、インペリアルクロス…!』
青井『…煩悩消すための素数数えるってのは聞いた事あるけど陣形って(笑)』
クラス男子『じゃ!このままの流れで怖い話大会しようぜー!』
☆ ☆ ☆
男子『…そのフェリーに他の客は1人も居なかったんだ…!』
『『『…おおぅ…。』』』
クラスの目立たない男子渾身の今のシチュにあったフェリーの雑魚寝するタイプの二等船室で仲良くなったおっさんも女の子連れた親子も実は…海難事故で数年前同じ路線に乗って無くなった乗客が…!って話。
ゾクゾクする!
暗い部屋で話大会は聴覚に集中するので話しがすっと入る。
いや入りすぎる。
『こっわ!』
『ぞわぞわする!』
『そこの広間に居そう…!』
紅緒『…怖い話しやめよ…?』
ざわっ??
『また女の子の声しなかった?!』
『呪い殺すって聞こえなかった?!』
『祟りじゃ…!』
青井『…。』
※笑い堪えて腹筋捩じ切れそう。
そんな時に布団の中の
涙目うるうる至近距離美少女は破壊力!
もう俺の精神削らないで!
紅緒『…お花摘みに行きたい…。
どうしたらいい?』
『俺が聞きたいよ…!』
俺の布団は1番廊下側。
すぐそこにドアがあってドア上部はガラス張りで中が丸見えかつ、廊下の光が入って来る。
ドアの前に立てば光で見えちゃって女子ってすぐバレちゃう!
上手く外へ出てもすぐ先生が居たら?
だいいち!今こいつ!セクシーランジェリー姿!
紅緒『…怖い話しこわい。』
俺はお前が怖い。
誰か助けてください…!
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