第537話 そんなの関係ねぇ
紅緒『…お花摘みに行きたい…。
どうしたらいい?』
消灯時間を迎えた21時、俺は途方に暮れていた。
室内は常夜灯のオレンジ色の光で染まり、
俺は幸い廊下側、隣も青井。
でもドアのガラス窓から漏れる光と常夜灯の灯りで立ち上がれば紅緒永遠だってすぐわかっちゃう。
…それ以前にセクシーランジェリー姿なんだよ…。
セクシーランジェリー見られる訳にはって布団に匿ってるけど…
最初に言っちゃえば良かった…
でもこれバレたら即停学…北海道上陸とともに強制送還もありえる…。
紅緒『…こわいはなし怖い…。』
俺はお前が怖い。
どう無事にこの
思案を巡らせる…怖い話しが一巡して面白い事やれ!っテンション…
男子高校生の考えることよ…
って思ってたけどめっちゃ面白いんじゃ…
感性が近いんだね、もうメッチャ面白い!
紅緒『ぷっ…くくくく♪』
このシチュエーションがさらに増幅させる笑いの螺旋。
多分何やってもウケるだろうね…。
青井のゲッツ!ですらお腹痛い…!
と同時にこれしか無い…!
閃いた!💡
布団の中のとわんこにそっと話しかける、
『…おれ、渾身のギャグやるから…その間にそっと抜け出せ…!で、トイレに逃げ込めば後はトイレ行ってましたーで済むだろ。』
紅緒『このかっこうで?』
お前のジャージは?脱ぎ散らかして…皆んなの布団に巻き込まれたのか…上が見つかりません…。下はもう履いてるらしい。
仕方なく俺の上ジャージを布団中で脱いで渡す。
紅緒『…もっと脱ぐのかってドキドキしたよ♡
…頼りになるね♪紅緒永遠の好感度が5アップ♪』
『…立花承の信頼度は10下がったけどな…』
おい、俺の手を撫でくりまわすな。
順番が俺に回ってきた…。
やりたくは無いがこれしか…
☆ ☆ ☆
スマホが通じれば伊勢さんに連絡したのに…
伊勢さん心配してんだろうなぁ…。
スマホに慣れすぎて陸から離れたフェリーの電波が入らない状態がすごく不安。
青井にそっと作戦を話す…。
まあ作戦なんて大袈裟なもんじゃ無い。
思いっきりウケて!注目を集めて!
その間に紅緒永遠が抜け出す!ってだけ。
青井に盛り上げ役を頼む。
俺は布団を出て…みんなの真ん中…
俺のキャラじゃ無い…!
『北海道行くのに用意したアウター忘れちゃった…!へたこいたぁ…!』
※本当
崩れて土下座みたいなポーズから…
青井『でんでんででーん♪』
※あのテーマソング。
小島よし
出して来た昔のお笑いDVD見てたらこの人ほぼ裸で!
宏介んちで集まった時に話して動画見てた青井が大笑いして引きつけ起こしたからね?
青井が手拍子と効果音で場を温める…。
俺はジャージの下とTシャツを脱ぎ捨てる!掛け声上げて飛び上がる!
『うぇーい!
あ、それ!それ!それそれそれ!
妹からの、お土産リスト…机の上に忘れちまった!
でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ…おっぱっぴ…。』
※望激おこ。
地面を殴る様に腕を振る!振る!
…最後はちょっと羞恥に…屈した…周りは?周りの反応は?!
…おい、とわんこ動画撮るな!
どっ!!!!
『『『『『あはははははははははははははははははははあはは!!!』』』』』
紅緒『あはははははははは!あはぁん!!』
DKどもが口ぐちに、
『なんか聞いた事ある!』
『1発芸人さん?』
『やべぇ!まじ腹いてぇ!』
俺はまだ臨戦体制。
違うんだ…俺が取りたい笑いは昔から一言突っ込んで救いと笑いを取りたい!
こんなインパクト勝負の一発芸人では無い…!
青井が煽り続けてる、
青井『じゃあ…紅緒で!』
お題?
『紅緒さんのー
匂いは大体メンソール!(※湿布率高い)
でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!』
おっぱっぴまでまるパクリに抵抗があった俺はそこで止めちゃう。
でも大受け!大ウケしすぎてちょっと気持ちよくなってきた!
青井『じゃ、次伊勢!』
『うぇーい!
伊勢さんは!
昔嫌いな男をフライパンで殴ったよ!
でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!』
2年2組男子空前の盛り上がり!
俺も!俺も!って何人もが俺の真似して、
でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!
チラッと目を向けるけど…まだ布団は盛り上がってて…まだ隙無いか…
『でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!!』
俺はクラスを盛り上げつづける!
熱狂の2組!
俺は必死!男子部屋にセクシーランジェリーって停学レベルだろ!俺もとばっちり来るかもだし!
俺がなんとかしなきゃ!!!
でも!やればやっただけウケる!
マジ気持ちイイ!きっとこうゆう成功体験が芸人になりたいとか思わせるんだろう!
テンションマックスの俺は…皆が煽るままどんな事もそんなの関係ねぇ!って切り捨てる!!おらぁ!!
担任『お前ら!もう消灯時間だぞ!
騒ぎすぎだ!』
『でもそんなの関係ねぇ!!!』
☆ ☆ ☆
担任『懐かしいなぁー。あれがもう16年前…
立花?浮かれんのがわかるがほどほどだぞ?』
『…はい、すいません。』
俺は正座で説教を受け入れる。
担任は普段の神経質さの割に寛大。
このギャグ好きだったんだって…
いつのまにかとわんこは逃げていた。
北海道に着く前に1番はしゃいだ男って異名が付いた…。
翌朝4:00。
仙道は馴れ馴れしく俺の肩を抱きながら、あっちゃんはスンって顔で。
仙道『聞いたぜショーン?』
厚樹『傾く《かぶく》じゃん。』
なんたる恥辱…!俺の清純なイメージが…!
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