第508話 疲れた兄ちゃん side立花望
『…あのね、にいちゃんがちゅかれてるの。』
夕飯後ひーちゃんがあたしの横にちょこんって座って話したい事があるみたい
で…そしたらこんな話し。
ぷくぷくほっぺにちゅー!しつつ、
あたしは最愛の弟に聞き返した。
『ほほー?兄ちゃんが?
そん時ひーちゃんはどうしてあげたの?』
『ぎゅー!』
ひーちゃんが強く抱きしめてくれる!
『ぴゃっ♡ねえちゃん幸せ過ぎてイッちゃうよぉ!!』
ひーちゃんは兄ちゃんをハグしてあげたらしい。
まぁ香椎先輩の婚約破棄問題とかアルバイトもしているしこないだまで映画撮影してたしね?
お疲れなのかも知れないね?
『だからね?ねえちゃんならなんとかできるかな?
ってはーちゃんがいっててね。』
ふふん、そこでお姉ちゃんを頼るとはひーちゃんもはーちゃんもお目が高い!
結局!シスコンの兄ちゃんはあたしが癒せば良いんだって!
むしろあたしにしか癒せないでしょ!
『可愛い顔、人懐っこい性格、締まったウエスト!魅惑の太もも!
そして成長しつつあるおっぱい!
ザ☆いもうと!って魅力過積載だよぉ!』
はー『…おっぱいは育ってねぇだ…。』
『今!今ひっさしぶりにはーちゃんの声聞こえた?!
おぉん?!ケンカ売ってるぅ?!』
はー『…聞こえるんか…?じゃぁ…。』
『えー?なに?聞こえなーい!』
クソガキめ!バカにして!
…キレてたけどはーちゃん部屋に居たんだ…こっわ…。
兄ちゃんは探したけど居なかった。
※香椎さんに会ってた時間
またあとで話し聞いてあげれば良いか?
あたしは取り敢えずひーちゃんを捕獲して小脇に抱えてお風呂お風呂♪
『…ぼく…もうひとりでおふろはいれる…。』
『いいよ!ひとりで入っても!』
『ほんと!』
『あたしが乱入するから!』
『…おとうとばなれしたほうがいいとおもうな…。』
ふふー!ひーちゃんは素直じゃ無いなぁ♪
☆ ☆ ☆
お風呂上がって♪髪乾かして♪冷えた牛乳飲んで♪
スキンケアにサラサラのベビーパウダーぱたぱた♪
ひーちゃんがあたしになんとかできる?って言ってくるくらいだもん、兄ちゃんちゅかれてるのかなぁ?
『でっきるかな♪でっきるかなー♪
さてさてほほー♪』
あたしは上機嫌で自室へ戻ると…
『え?死ぬの?』
『…縁起でも無い…。』
兄ちゃん?顔の彫りが深くなって無い?
顔の彫りが『死』って文字に見えるほど憔悴し切った…兄ちゃん…。
悩み?トラブル?わかんないよー!
でもハッキリわかるのは悩んで苦しんで疲れてる…!
…仕方ない…
あたしは冷蔵庫へ戻って…
『はいブラック
『…え?…おぉう…貰うけど…
お前がお菓子差し出すって…。』
あたしはサンダーを包装を破って兄ちゃんの口に捩じ込む。
『おい、やめ、もぐもぐ…。』
※やっぱり望の兄です。
『…兄ちゃんさぁ…なんかあった?』
ギクってしたリアクションで兄ちゃんがキョドる。
根気強く聞き出すと…
今日は勝負の日で、松ちゃんに『美味い』って言わせれば…
香椎先輩の婚約破棄!しゅごい!しゅごいよぉ!
『…で、景虎さんの
『…じゅるり。
あのとっちゃん坊や!約束を破ったの?!最低!
もう
あたしがキレると兄ちゃんは冷静になる。
いや、本気でキレそうだけど?
『…そんな訳でさ…
『…あたしなら
軽口挟むと兄ちゃんはびっくりした表情で、
『望…俺が絞りに絞って思いついた切り札を…お前すごいな!』
『えへ♪えへへ♪そんなぁ♪』
※おだてに弱い
…それで香椎先輩も期待してて…それを報告したらすっごいがっかりしちゃって…兄ちゃんは疲労とダメージでやられてる…。
『だっけ、横になりながら少し考えるわ…。』
絶対に香椎さんにノープランって言うなよ?
そう言って兄ちゃんは自分のベッドで横になった。
…絶対に言うなってことは…。って下りは飲み込んだ。
寝ちゃった方が良いよ?
本当に兄ちゃんは香椎先輩が大好きで…悲痛なほど憔悴していたんだよ…。
でも、疲れてるのも間違いないのかすぐに寝息が聞こえてきた。
『…よかった…。』
ネガティブな時に考えたってネガティブなことしか思いつかないでしょ?
ゆっくり休んで馬井…いや美味いもの食べてまたいつもみたいに熱血して走り出せば良いんじゃない?
…あたしはそんな兄ちゃんが好きだなぁ。
『…玲奈さん…。』
兄ちゃんの目から一筋の涙が溢れ落ちる…。
いつかあたしも彼氏さんが出来たら…兄ちゃん位愛して欲しいな。
『…しょうがないなぁ…ここは妹様が…問答無用で癒してあげよう♪』
☆ ☆ ☆
問答無用で宝物 side立花承
『わっ!?』
『ぴゃっ?!』
いつの間にか寝落ちしてた俺は視界いっぱいの望うとうとフェイスに驚き声が出る!
その声に驚く望が跳ねる!
『望?どうしたん?』
『どうしたって…どう?
癒されるでしょ?』
…膝枕…?
妹の膝枕?!
俺は慌てて上体を起こし!
…かけて望に引き倒される!
『だーめ♪ひーちゃんにも頼まれたし、今日は無理矢理癒すよぉ!』
『無理矢理癒すって言葉初めて聞いたわ…。』
にひひ♪って笑う望を見上げる形。
『そうそう♪天井のシミでも数えてれば癒されるからね?』
『その天井のシミは…お前が缶に入ってるタイプのお菓子をオーバーパワーで炸裂させて天井にぶち撒けた時のシミなんだが…。』
望はアレ落ちないかな?綺麗に出来る?って聞いてきて…
もう時間も経ってるし今更拭いてもムラになるんじゃね?って話しになった。
望は父さんの時代の子供向け番組のテーマソングを上機嫌に口ずさむ。
『でっきるっかなー♪でっきるかなー♪
さてさてほほー♪』
『はてはてふふー♪じゃない?』
論争は続く…。
望『ふふー!でもさー?
女の子の!しかも極上の妹膝枕だよぉ!して貰ったこと無いでしょ?
癒されるでしょ?』
『…伊勢さんのはもっとむっちりしてた。』
『…最低…こんなモブ顔なのに…香椎先輩だけならまだしもなるちゃんまで毒牙に…!』
伊勢さんの膝枕回
https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16818093078257862867
…バカな話しが白熱する頃、ひーちゃんがやってくる!
『じゃあきょうはみんなでねんね!』
『ねんね!ねんね!』
『…仕方ないなぁ…。』
結局暑いのに布団を2個敷いて俺たちはいつものフォーメーション。
『くぴー。』
『…てっぱんやき…兄ちゃん…やくしょく…。』
疲れたし、参ってる。
でもうちの妹弟に癒される。
兄ちゃんは幸せ者だよ。そう思いながら眠くなるまで妹と弟の頭を撫で続けた。
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