第467話 お弁当券は嵐の予感
明後日は宏介たちと釣りキャンプ!
そんなわくわくタイムのなか、伯母が(父さんの姉さん)が事故に遭って母さんが祖父母を連れて遠方へ行かなきゃ行けなくなった。
諸々の準備やお見舞いの品、伯父さんは家事壊滅なのでって懇願されて母さん準備におおわらわ!
ちなみにひーちゃんも同伴。
母『明日のご飯…ごめんねちょっと忙しくって…。』
望『別に1日位カップ麺やコンビニ飯だって平気!』
望はもうじき捻挫が治る。
俺と望、父さんは居残り組。
まあ父さんは問題ない。
明日早朝から出かけるし社員食堂あるし。
母さんに心配かけないようにしよう?うん!
それを聞いた夕飯直後の18:30
部屋で俺と望は話す。
『俺が夕飯カレー作るから…昼だけなんかコンビニで買ってくる?』
望『家にあるカップ麺でいいよぉ!』
望はカップ麺好き、まあ俺もだけど。
怪我治りかけの成長期の妹…。
自分だったらそれで良いんだ…でも望は…。
…!
良いこと思いついた!
俺はニヤリとしながら提案する。
『…なあ望?
香椎さんの手作りお弁当食べたく無いか?』
妹は食い気味に、
望『…食べたい!食べたいよぉ!
それ絶対美味いやつ!』
『俺明日は俺カレバイトが午後からだから賄いアテにできる!
うん、俺受け取って一回家に帰ってそれから向かうか。
待ってろ!ちょっとアポ取るわ!』
望『やった!香椎先輩料理上手だもんね!』
望も大喜び!
俺は香椎さんにロインを送る!
じゃじゃん!以前に当たったお弁当券!
ここが使い所!
360話 片付け 参照
https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16818093075546162276
急で申し訳ないけど以前貰ったお弁当券使いたい!って伝える。
すると、すぐに電話がかかってきた。
スピーカーモードで話す。
香椎『…承くん?お弁当券使うのね?』
『うん、急でごめんね?明日母さんが居なくって…。』
香椎『ふふー!忘れてたのかと思ったよ!
もちろん良いよ?大丈夫!何かリクエストあるかな?』
香椎さんは上機嫌…。
ありがたい。
『明日のお昼のお弁当なんだけど…11:00頃取りに行っても大丈夫?』
香椎さんはころころ鈴を転がすように笑い声をたてて、
もちろん大丈夫!って請け負ってくれた。
そしてリクエストは?って聞かれる。最近何か好きなものある?
ご飯がすすむものが良いんだよね?
香椎『最近なんかコレ美味い!ってものあった?』
スピーカーモードだから望に目で問いかける、
望はうーんって考え込んで、
望『…コンビニの照り焼きチキンと茹で卵のサンドイッチ!』
アレ美味いよね…。
わかるわぁ…!
俺はそれを香椎さんへ伝える。
香椎『もう!コンビニのご飯ばっかり食べてると身体に良く無いよ?
…もし良かったらだけど…これからも時々作ってあげようか?』
『ううん、大丈夫。』
(そんな厚かましいことお願い出来ないよ。)
※即答で玲奈ショック。
香椎『…う、うん…そうだよね…。
…じゃあ?明日は鶏の照り焼き弁当はどうかな?
甘しょっぱいタレに絡めてジューシーな鶏肉を焼き色付けて…
ご飯がすすんじゃうよ♪』
じゅるり。
妹の方から本当にそんな音がした。
それご飯3杯行けるやつ!!望がすごい勢いで頷きまくる!
それでお願い!
香椎『…りょうかい!腕によりをかけて作るね?』
…本当にお料理が趣味で作るの好きなんだな…
香椎さんは終始上機嫌で少し話したあと電話は終わった。
望『あざーっす!香椎先輩弁当ゴチです!!』
カップ麺好きだけど香椎さん弁当絶対美味いヤツ!って望は嬉しそうにベッドでゴロンゴロンしていた。
良かったな。
☆ ☆ ☆
23:00
遠方で早朝出る為、今日ひーちゃんは母さんと寝てる。
帰りは明後日になるかも?って。
俺たちもそろそろ寝るか…同室の向こう側スペースの望はうとうとし出してる。
電気消すぞ?って声をかけると望はふにゃふにゃの眠気が入った顔でごきげんに、
望『…ふふー!…あすは…香椎せんぱい照り焼きべんとうだぁ…。
うれしいな…。
でもにいちゃん…よく香椎せんぱいに…お弁当作ってなんて頼めたね?
ふふー!ふたりはいいかんじ♪』
『…香椎さんには婚約者が居るんだぞ…。』
自分で言ってて慣れない、例え今は仲良くなった松ちゃんといえど…。
やば!暗くなっちゃう!俺は敢えてテンション上げて、
『俺がお弁当頼めたのは!
じゃん!このお弁当券を持っているから!
一回香椎さんが手作りお弁当を作ってくれる貴重な権利なのだ!』
望『…しゅごい…それは貴重だね…。』
半分寝てる望はどうやって手に入れたの?って聞いてくるからさ?
俺は語る!春休みのあっちゃんの帰省で同窓会してその時のくじ引きで当たったの!
望ベッドへ実物持って行く。
望『…しゅごい…豪運だね…。』
ふふ!兄ちゃんもラッキーだと思う!
これ!これ実物!
香椎玲奈手作りお弁当券!!ふにゃふにゃの望にソレを手渡すと望はあんまり開いて無い目でソレを眺め…!!
ガバッと飛び起きて、
望『はぁ?兄ちゃん?!コレ使ったの?
母さんが居ないってだけで何にも無い普通の日のあたしのお昼に?!』
望は飛び起きて頭を抱えた…なんでだ?
☆ ☆ ☆
やらかしちまった side立花望
…やっちゃった…香椎先輩弁当食べれるって聞いて脳死で受け入れたあたし。
わーい!やったー♪
しかし就寝直前、お弁当ゲットのカラクリはまさかの香椎先輩の女の謀略…げふん、乙女の精一杯の勇気だった。
手作りの券で色とりどりのペンで…良い年して可愛い色使いに可愛い字体。
…JCか!…せんぱいはこれをどんな気持ち込めて作ったのか…
しかも裏には丁寧な字で、
『一生懸命に作ります♪』
って書いてある!
『(コレは食べられないよぉ!)』
食いしん坊のあたしでもコレはお弁当券じゃない、お弁当に込めた気持ちを受け取って欲しい女の子の精一杯だってわかるよ!
…我が兄ながら…何故わかんないのぉ?!
一応聞いてみる。
『…これくじ引きで?』
兄ちゃんは少しドヤ顔で、
兄『そう!くじ最後の2枚で宏介がもう一個のポテチ9個セット当たって俺がコレ当たった!』
『…そのポテチあたしにくれたけど…そんなことが…!
それはきっと元々兄ちゃんに当たるよう仕組まれてたんだよ?
不正を…』
兄『香椎さんが不正なんてするわけないだろ。』
…兄ちゃんの憧れの女の子は匂いフェチだし、謀略に長けているし、ああ見えて闇の深い腕力ゴリラ風味の女の子だって言ってしまいたい…!
でも絶賛餌付けされてるあたしは香椎先輩大好きだし当然そんな事は言えないわけで…。
あ!
『兄ちゃん?まさか明日のお弁当あたし用って言った?!』
兄『いや…言って無いけど…?』
『良かった…絶対言っちゃダメ!』
兄は不思議そうに、
兄『なんで?望にって言ってもきっと喜んで作ってくれるぞ?』
『そうだけど!違うの!
乙女心が死んじゃうの!』
兄『…ちょっと何言ってるのかわからない…?』
『あたしも微妙に違う言語使ってるのかな?って思っちゃうほどだよ!いい?絶対に明日はあたし用って言っちゃダメ!
…!明日バイト?』
兄はのんびり笑いながら、
兄『そうそう、11時に一回香椎さん家行ってお弁当受け取って戻って来てからバイト行くわ。俺バイトの賄いあるし。』
サーって血の気が引く…!
コレ知られたら…一生懸命に心込めたお弁当が…当人じゃなくって妹用で…しかも本人はバイトで賄い食う!バイバイ!って出発したら…!
100年の恋も冷めちゃうんじゃ…?
やばい!あたしがなんとか阻止しないと!
あたしが!このふたりをどうにかしなきゃ!!
『兄ちゃん…明日はバイト休んで?』
兄ちゃんは不思議そうに、
兄『何言ってんだ?望?』
『お前が何言ってんだ!
こんな手作りの気持ちの籠った券でお弁当作ってくれる乙女に弁当だけ受け取って俺バイト行くわー!って去って行ったら…殺される…!』
兄『えー?そんなわけないでしょ?
保利くんは明日休みだけど予定無いって言ってたけど…?』
『それ!保利くん頭下げてお金払って身体で払っても!良いから!
明日はバイト休んで!』
兄ちゃんは呆れた顔で、
兄『…無茶言うなぁ…。』
あたしも切り札投入!
『おねがい!兄ちゃんおねがい!
明日はバイト休んで!うう…捻挫が痛む…。』
兄『足逆じゃない?』
望『一生のおねがい!
あたしの一生のおねがい!』
※通算5回目。
兄ちゃんは納得はしていない顔で、
『しょうがないなぁ…。』
『(しょうがないのは兄ちゃんだよぉ!)』
幾つか兄ちゃんにお願いして明日の段取りを決める!
こうして兄ちゃんとあたしの2人だけのお留守番の1日が始まる…!
☆ ☆ ☆
久々のまともな玲奈回ですw
宏介サイドが渋滞してて余裕が出たw
ヒロインがこんなに出て来ないラブコメ見たこと無い(反省)
久しぶりに甘めな香椎玲奈回やりたい。
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