第407話 望のお土産。

俺はまるで目が覚めたような感覚で毎日を過ごす。

1分1秒無駄にしたくない!

勉強、バイト、身体を鍛える!なんでも出来ることをしたい!

そんな焦燥にも似た気持ちと自分がまだガキでなんの力も無いことが我慢ならなかったんだ。


ひー『にーちゃん!いっしょにねんねしよ?』


望が修学旅行中で寂しいのかひーちゃんが毎晩俺と一緒に寝ている。

もうすぐ帰ってくるからさ?

ひーちゃんの寝顔見ながら髪を撫でているとロインが来た。

望?旅館の子どもと仲良くなった!かわいいでしょ?

満面の笑みの望しか居ない…画面半分何も写ってないけど…。


ちょっとゾッとしながら俺は見なかった事にして既読無視した…。

そして2日後、バイト無くて家に居た夕方、


望『兄ちゃん!今帰ったよ!

お土産たくさん買って来たよ!

宏介くんちに居るから迎えに来てぇ♡

今日バイト無かったよね?』


俺はわかったよ。って返事して宏介の家へ望を迎えに行ったんだ。



☆ ☆ ☆


寝取られ宏介

199話 お土産と忘れ物 参照。

https://kakuyomu.jp/works/16817330663085191362/episodes/16818093078183734373


☆ ☆ ☆

俺は宏介に近日相談がある旨を伝えて望の荷物を抱えて家に帰る…。


ひーが寂しがってたぞ?あたしも寂しかった!

楽しかったけどひーちゃんは別腹だよね!

この姉弟はお互い大好きだからきっと感動的なハグからチュッチュしそうw


望『それ聞いたらもうひーちゃんに会いたい!

幼稚園寄ってさ!ひーちゃん迎えに行こうよ!

ひーちゃん成分が欠乏して手が震える…!』



ちょうどそんな時間。

望もひーちゃんに会いたかったよね。

大丈夫か?欠乏症で手が震えるほどひーちゃんの中毒性は高い(笑)


さっきまで写真に写った『ナニカ』に怯えて居たのに現金な妹は


望『ほらー!兄ちゃん早く行こうよー!』


踊るようにくるりんって回って幼稚園へ俺を引っ張る!

…お前の荷物が重いんだけどな?

スーツケースに収まらないほど何買ってきたん?


しばらく歩き、幼稚園の前に着く。


望『立花光の家族です♪』


セキュリティは厳しくなる一方の現在だけど家が見える位置で誰とでも打ち解ける望は幼稚園のお姉さん先生にもすっかり懐いて笑いながらおしゃべり。

ひーちゃん居る?じいちゃんまだ迎えに来て無いよね?


幼稚園のグラウンドの片隅で…我が弟は両腕を引っ張られていた…?


☆ ☆ ☆


大声で話してるからここまで聞こえる…

ひーちゃん女の子にモテるんだなぁ…さすが。



ニナ『ひーちゃんは私とあそぶのっ!』

優姫『…ひーにいちゃんはわたしとあそぶもん…!』


2人の女の子がひーちゃんを取り合ってるみたい。

腕を引っ張りあってる…!


ニナ『ひーちゃんは私とおままごとするの!

優姫ちゃんもどろぼうねこやくあげる!

さいごは夫婦のきずながつよくなる純愛サスペンス!』


純愛サスペンスってジャンルあるのかな?


その優姫ちゃんは首を振る。

落ち着いた声で、


優姫『…ニナちゃんもいっしょにあそほ?

わたしひーにいちゃんとふたりで愛のとうひこうごっこする…!

ストーカー女から逃げるカップル…迫るイッちゃってるストーカー女!』

※ニナを鬼にしたかくれんぼ、隠れてる間ひーと優姫は密着して隠れる遊び。


…幼稚園児ってすごい遊びしてんだなぁ。

どっちかって言うと優姫ちゃん?の方がヤンデレに育ちそうな気がする…。

女の子はね?香椎さんみたいに清楚可憐で裏表無い娘が1番だと兄ちゃんは思うなぁ…。

※知らぬが仏。



ニナ『ひーちゃん!』

優姫『…ひーにいちゃん…。』


腕を両方から引っ張られるひーちゃん。

大岡裁きならひーちゃんへ愛が深い方が手を離しそうだけれども…実際はヒートアップするばかり…!

…困ってるひーちゃんもかわいいんだよね。


ニナ『ひーちゃん!どっち!』

優姫『…どっち?』


ひーちゃんは申し訳無さそうに、



ひー『…しゅんすけくんとサッカーしたいな…?』


ひーちゃんの意見は却下された。


ニナ『優姫ちゃんは遠慮して!』

優姫『ニナちゃんが…!』


ビリビリした雰囲気に消耗するひーちゃん。

望がそこにやって来た。

お姉さん先生とのおしゃべりひと段落ついたんだな。


望はにんまり笑って


望『小娘どもにひーちゃんが1番愛してる女性は姉だってわからしめる!』

キリッ☆


お前だって小娘だろ。

望は後ろからひーちゃんにそっと近づく、そして…


望『ひーちゃん♡ただいま♪お土産たくさん買ってきたよ♪』


両腕を引かれて無表情で目が死んでたひーちゃんの表情がパッと明るくなる!

腕をなんとか引き抜いて後ろの望を振り返る!


ひー『ねえちゃん!!

…ちらい…!』

※きらい


望『ぴゃっ?!』


喜色満面ひーちゃんが駆け寄って抱きしめてからのキツツキキッスを目論んでた望は姿勢を低くして両腕を広げたハグカモン!状態で凍りつく。

…すごい絵だ…。


でもなんで?なんでひーちゃん?


珍しいんだけどひーちゃん怒ってる。

赤ちゃん扱いされない限り怒らないひーちゃんが?


『ひー?どうした?

望がなんかしたのか?』


石になった望はさて置き、俺は弟に尋ねる。


ひーちゃんはぷんすこ!って感じで望に向かって


ひー『そのおとこのこだれ?

ずっとだきついて!』


男の子?

望に抱きついてる?

俺には何も見えないけど。


望『…ひーちゃん?

ねえちゃんそうゆうジョーク苦手だなぁ…?』


おばけこわいなど参照。


ひー『ねえちゃんのおとうとはぼくでしょ!

よそのおとこのこかわいがって!

もうしらない!』


ひーちゃんは俺と手を繋いでいこうにいちゃん!って促す。


望『…ねえ?嘘だよね?

ひーちゃん?ひーちゃん!

嘘だよねぇ?!』



望…変なお土産持って帰ってきたらしい…。


帰宅後


望『…ひーちゃん?一緒にねんねしよ?』


ひー『しらない。よそのおとこのこをおとうとにすればいいでしょ!

ずっとててつないで!

ねえちゃんちらい!』


望『ぴゃっ!!

…にいちゃーん!!』



…その晩、どうしても!って頼まれて望と一緒に寝た…


次の日、


ひー『はーちゃんはね?ぼくとおなじとしなんだって!ごさい!』


『はーちゃん?』


ひー『はちのじょうってなまえなんだって!かっこいいね?』


ひーちゃんは『ナニカ』と友達になっていた…。

望…部屋に撒いてるソレ味の素入ってる「アジシオ」だぞ?


…はーちゃん…とは一体?

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