アグノスワールド
神崎蒼葉
第1話
この
海みたいな泉を
右側には岩石の光景が広がり、左側は自然と溶け込んだ
「ゼウスのおじちゃん負けたらしい」
「なんで知ってんの?」
言いながら黒い光に
その光景と共に天や地が
星の
「
「…じゃ何者?」
「ラプラス」
「…」
思わず
正確には彼女の名は知っているし、古い付き合いで、
「凄い興奮してるね」
「あのホーロラムラムが作った
「欲しいのは惑星じゃないでしょ?」
「伝わりゃいい、それに」
「…うん」
「飛ばす」
景色が切り
体から黒い光が
見下ろすと文明的な
名をアルタイル。
遠くには
よってこの地におもむいた目的は、
「フッハッハッハ…」
見た所避難態勢を取っており、近くに人影はない。
しかし魔力の名残りが侵攻を
改めて魔力を探ると、
「んん…」
目標の戦線からそう実感し、思わず考えた。
アルタイルには
情報には白魔術界の王に
同時に生命力を映す
…何故。
アルタイルに充分な
「押されている…?」
長引いているならまだしも、押されている戦線東と、西と、ここ白魔術界の
外見的特徴は
「この地の侵略はお前の権威か…」
怒気混じりの高齢男性にして、王の右腕である。
「だったら、何だ」
「その首捕って
「…ほう」
それらの現象は魔力の作用であり、地割れも、剣も、魔力を
「…これは?」
大隊長の魔力が目視不能で吹き抜けて来る。体を焼き焦がされるかの感覚にして、思い出した。
黒魔術という秘技、それが
「
言われ地を
「覚えておこう」
血飛沫と共に大隊長が落下する。
ラプラスの抜刀術だった。
そしてこれら想定外の力に
「西の方角黒魔術界。テフェレセンシェンハイロンがいる」
「ハイロン?」
「更にメイミア、続いてリオンが黒魔術界へ向かってる」
ラプラスに告げられるハイロン、メイミア、リオンとは、最上級の文明で構成される
「東に天使。そして南に
「…まさかお前知ってたんじゃねえよなァ?」
ラプラスに詰め寄ると知らないと言われた。
しかし真実より仲間の戦況が気になって白魔術界を攻めるシグラ、ブラバンに意識を繋げていった。
死者は?
──いません。
よし、今行く!
「着いた」
「「はやっ⁉︎」」
シグラとブラバンに言われながら戦線を確認する。魔術師の総数十万人って所か、侵略を仕掛ける側が囲まれているのは居た堪れないが、いいか。
「恥を…晒しています」
「いやいい、俺の
「「は!」」
俺はシグラとブラバンの道を作るため、手を払う時だった。
「
「へ?」
ラプラスにアヒルみたいな口で
束の間。十万人の視線に
その風に
「君といたい、
「じゃ俺が天使ん所行けばいいのか?」
「話し聞いて。君が天使ん所に行くなら私も行くんだよ
馬鹿──馬鹿──馬鹿──だと…
「おいみんな。指示の変更だ。シグラとブラバンにラプラス
仲間の意識に伝えた。
──
と同時にラプラスの
「二人に…この私が…捕まるわけないじゃん…」
言われ、あでやかに
「
その
この魔法は深海の王者が使っていたとされる
「「はぁはぁ…」」
吐息をこぼすシグラとブラバンが無防備のラプラスに歩んでいく。
「ぃいやや”…こんなケダモノ…いや…嫌だあ”‼︎」
泣きわめくラプラスがシグラとブラバンに取り押さえられていった、直後のことだった。
「逃げられるとでも…」
大隊長の声と共に魔術師の態勢が
俺は手を払い、炎の道を作った。
「頼んだ」
ラプラスを抱えながらシグラとブラバンが通っていく。
そこに魔術師達の
「…すご」
幸いシグラとブラバンは無事だが、その才に感動しながら、
「
「ああ。アンタのことは何て呼べばいい?」
「悪い。ここで名乗ると上の
魔力を放出し一帯が嵐となる。
「
「何に?」
「
「俺の何を知っている」
「深くは知らぬ。しかし転生が物語っていよう。この世界に不満はないか?」
「今アンタが侵略している事に不満だが?」
「案ずるな。支配の様な手段は好まない。ただの話し合いだ」
「話し合いに
「お前は人通りの多い公衆で演説し、それで聞かれると思うのか?」
「いいや」
「
この身から黒い冷気が吹き抜ける。
「
俺は魔力の方角にある
互いの力が反発し、空気にひずみが生まれる現象を機に、水城愚冴が弱めていった。
もし、打つかり続ければ
「お前は
「嫌な予感がしただけだ…」
「いや、人には
「…何が言いたい」
「人は未知の出来事に出くわすと直感に従いやすいが、その
言いながら
であれば、この地の目的達成までたやすい。
爆速で目の前に
まるで
「伝わるか分からないが俺の元世界では先祖代々極道だ。
聞いてハッとした。
首に付着している黒いもやを払い、しかも出血している。
一・体・怪・我・なんて・いつぶりだ。
「
「…
まるで焦っているように聞こえるが、黒いもやを払ったことに着目している様子だった。
しかし腐敗とは、あらゆるものを退化させる働きにして、アポフィスの
「残念ながらこれは腐敗じゃない。
ここで言う死念とは尊厳に達する準備段階である。
例えば
「…どうしたらアンタらみたいになれる」
「アンタら、とは?」
「ついこの前まで人類の頂点達と戦った。そうなるまで
「それがこの世界への不満か?」
「…かも、しれない」
「そうか、なら祝福は次の機会へ取っておく。それまでに腐敗の尊厳を
いずれ
その内の一人に
「いずれまた迎えに来る」
言い残し仲間の元へ移動した。
理由は今じゃないと
と言うのも彼を正式な仲間として迎えられるよう、
もっとも彼が腐敗を
この
よって彼自身がより意識をそそる瞬間を狙い、迎えに行く算段で。
「あの斬撃…」
俺は黒魔術界でハイロンと対し、思い出していった。
炎の道を根絶するかの斬撃、それがラプラスの
「むりむりむり交代‼︎」
俺はハイロンの剣を
彼の本能は支配的な生命をねじ伏せるものであり、強者を見る目が
あの年齢で挫折の繰り返しだったのか、しかしそれが彼にとっての成長をもたらし、前向きな性格が向上心を生み、強くなる実感に不安を感じる体質。
「…か」
「何で
俺は動揺しているメイミアに蹴りを入れるが、流石は
重ねて
「こちらも
「この私に! 喧嘩‼︎ 売ってんの?」
「いいや、笑ってすまない…」
言いながら当時のゼウスにサシで特攻する
「で…この中で
集中できねえ…。
「
「突き出すと言うがそのままでは不可能だ。もっとも剣豪の尊厳が達すればアルタイルなど
「木っ端微塵となり、ユダ様に
「…。」
言葉が途切れてしまった。
それも駆け引きは通じないらしく、緑に囲まれる黒魔術界を太陽が照らし出し、見透かされている感覚に
心からため息が出るくらいに…よく…似ていて。
「はぁ…やりにくい…」
「早く捕縛解きなさいよ馬鹿!」
「はぁ…うるさい…」
「うるさいって何よ‼︎」
ラプラスの
とはいえ解放したらまず
だがアルタイルは
めんどい…めんどい…めんどい…。
だるい…だるい…だるい…、
口内を
と同時に爆風にさらされ、宙を泳ぐかの光が
振り返ればリオンの斬撃に襲われ、
「?」
地震が発生した。
…この感じ。
「アレイオン…」
すると八の字に振るう太刀筋で白い斬撃が飛んでくる。
止まらない
「失敬。お
シオンとはアレイオンのニックネームであり、
「……私?」
俺がラプラスに目を向けると、勿体ぶるような反応で口にした。
その眼差しがリオンに向けられ、大人しくなる中で。
「あなたみたいなv系がシオンの好みなわけないでしょ」
やや
そして
「元カノだよ」
舌を出す。
「「ぶっ殺す」」
ラプラスに瞬足で襲い掛かるメイミアとリオンが
「解放」
剣を振り下ろされるラプラスに
また、二つの刃がラプラスの体をすり抜けて、いく
「…‼︎」
一瞬で黒魔術界が赤い風景に飲まれ出す。
ラプラスの
「どいて?」
俺が騎士団を引っ張り出していた事に、防衛として立ち阻みながら、
「手配書入りは許可していない」
忠告し、しばし
幸いエネルギーが引いていき、アルタイルに
「度胸じゃ殺れんが?」
リオンの刃を握り締め、体ごと地面へ押し倒して続ける。
「時間も掛けていられない」
ハイロンの拳が飛んでくるが、既に家族の縄を掴んでいた俺はラプラスを呼ぶ。
「さて、これでおあいこっつう所で、帰るぞ?」
「いつの間に…」
苦笑いのハイロン。
また
「じゃ何よ?」
ずっとラプラスを
「ん…。とびきり重い女が好きなんだろう?」
応えていたら腰に手が回される。
「情熱的な女」
「…だとよ」
俺はラプラスを
それは
しかし家族を
「レドル、シグラ、フィリップ、ラスカリナ、ブラバン、ヴァルデと言えば凶悪人物達だ。あれらの上官ならまだしも…あれはどう考えても
レドル、シグラ、フィリップ、ラスカリナ、ブラバン、ヴァルデとは、この侵略の部隊メンバーであり、俺の指示通り殺しは無かった。
本来ならこの者達を
「どうだった?」
言ってアルタイルを
縄を引っ張りながらの飛行中、ヴァルデが口を開いた。
「私はこいつら束ねるのにくたびれるんで、
「私は面食いだし、いい男って感じだった!」
「でも他のリーダーに
「あー…若いもんね」
「そこが魅力的じゃん!」
「私は現実的な強さを知っておきたい。未来で我々のリーダーがどの
それらの感想に会話の花が
単純に彼の容姿が好みだそうで、一人一人の声を聞きながら、俺は最後の意見に着目していった。
「
中々難しい。
少し
水、
紋とはそれらを管理できる
今日のような侵略の指揮権を担ったり、もっとも各世界から逸材を招集しているのが我々の活動であり。
考えてはいるが
「想定通りに腕を
「二番…ッ⁉︎」
信じられない様な声から「理由を」聞かれた。
「理由…ってもな…んー…俺の血筋だし…けどあの歳の頃ならもうちょいイケるか? んー…俺ん時と環境が違うから…んー」
「血筋って何?」
「んー…
「「「「「「ブッ…」」」」」」
レドル、シグラ、フィリップ、ラスカリナ、ブラバン、ヴァルデの飛沫が背中に掛かった。
「汚ったねえな‼︎」
「じゃ。じゃあ! 犯してもいいの?」
下唇に指を当てるフィリップ。その
俺はそれら仕草にぼーっと飛行していたら普通に吐いた。
「…気持ち悪りぃ」
「…うそ。本当にひ
振り返ればまじまじと家族の視線に駆られていた。
「俺を試すな…」
会っても無ければただの少年だが、その想像は遺伝子が拒絶する…。
「あの子がひ孫で、孫は?」
「へ? 孫は…十歳の頃には尊厳を習得していた、それはそれはいい腕だった」
「…だった?」
レドルに疑心され、思い出す。
俺は孫が余りに可愛くてめいいっぱい教育した。武術や魔法や
「
「ブッ…」
よってひ孫には距離感を大切にしよう思う今日この頃である。
俺は黒い光に覆われながら、魔力を
「ラプラス様知ってる?」
「知らん」
その視界が薄れていき──
「お帰り、親父」
「ああ」
家族は各領地へ送り届け、
「
「
「そうですか。では親父の留守中にメラク様がここで、大暴れし僕が、
「後で対応する。ご
「愚冴君は?」
「延期した」
「
四代組頭が下がっていく。
彼は今回の侵略でひ孫を連れて来る想定の元、世話係を命じていた。
天辺の
「アポフィスが
「…ほう」
俺は
「みんなはゼウスの企みと思っている様だけれど、違うよね?」
「…なあ、昔の仲だろう。いい
「…そうね。ついこの前、
「俺らが? 昔の写真なんざいくらでもあるだろ?」
「これまででシオンが写真に応じたのは一枚だけよ。今のあなたと同じ、首領が表に出る可能性は
「そうかい…」
俺は鍵を回し、黒い光が牢を
牢は
「けれどあなたにシオンは危ない」
「おいおい…首を長くして待ち
にこやかに、微笑み掛けていった。
「…やめて」
睨まれていたが、俺は続けた。
「ゼウスが
この機を待っていた。
シオンの言葉を
そのために各次元のくくりを消し去り、
「進化させるため、古きに従う
「神々を相手にしたら血の海となってしまうわ」
「だからこそ、ずっと、ずっと力を
目的の達成ってものは、才能のある無しに関わらず、諦めない信念が最後に勝つ。
あれから三兆年の準備と、亡き者と共に、
「この
アグノスワールド 神崎蒼葉 @koutyaryokutya
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