転生したらダンジョンコアになってしまった俺、滅ぼされたくないので平和なダンジョンになろうと思います。
めなす
第1話 転生
「はあ...もうやめたい。」
俺、
今日は特にひどかった。上司に「明日までに」と押し付けられた尋常じゃない量の書類。絶対一人で終わらせられる量じゃない。なんとか終わらせたけど深夜だぞ。
高校を卒業してすぐ入ったこの会社はブラックなんてものじゃない。残業代は無いし、仕事を押し付けられるのも多々。アホなクレーマーからの電話の対応は沢山、連続出勤の長さが馬鹿げてる。有給休暇を最後に取った時の記憶はない。
何度かやめようとは思った。けどその度上司に言いくるめられる。
「お前が辞めたらどのくらい迷惑かけると思ってんだ?どの会社のどの社員もお前と同じく毎日課題をやってるんだ、社会をなめるなよ。逃げたら二度とこの業界で働けなくなるからな。」
まあ部外者から見ればぶっ飛んでると思うと思うよ?でも同期やチームの方々に迷惑はかけたくないから今まで頑張ってきた。
けどさすがにもう限界。ここ三年間お世話になった(なってない)会社には悪いが、もうじき自主退職しようと思っている。そのあとはどう生活を保つかはまだ考えていないが今はそんなことどうでもいい。
「とりあえず今はダン守やな。」
ダン守は俺がはまっているゲーム、【ダンジョンを守ろう】の略である。内容をバッとまとめるとプレイヤーはダンジョンコアという俗に言う主的な役割で自分のダンジョンを管理しながら、同時に冒険者として他のプレイヤーのダンジョンも攻略するという両面性があるゲームだ。すげえク〇クラと思ってくれればいい。その他にもキャラメイク、育成、そしてダンジョン内の施設の強化など、幾多の要素を持ち、ここ最近人気なゲームだ。
このゲームを見つけた俺はハマりにハマり、なんとこのゲームの頂上に君臨している。プレイ時間?あとちょっとで二千だ。課金に課金をしまくり、全トラップ、施設、モンスター、魔法もアンロックし我が物に。いやぁ大変だった。
このゲームをプレイすると分かるのは、人ってひでぇってこと。始めたばかりの頃にはよく自分のダンジョンに攻め込まれキルされた。別に死ぬと初期化するわけじゃないから辛さはないんだが、とにかくうざったい。お前ら暇なん?って思う具合には。だから俺のダンジョンは鬼畜中の鬼畜ダンジョンにしてやった。最近はマゾぐらいしかダンジョンにこなくって丁度いい感じだ。若干寂しいけど。
家に着き、因縁の宿敵である睡魔と戦いながら荷物を床に放り投げた俺はゲームのことしか頭にない。そうして俺はいつも通りダン守を立ち上げ、ロード画面を眺めていた。
「何か今日ロード遅いな...アップデートでもあったのか?」
しかし公式サイトを見てもそんな情報はない。秒が過ぎていくにつれて、睡魔との勝負は敗北へと近づく気配だ。あくびをかきながら俺はただただ椅子に座っていた。
「ちょっとぐらい目を閉じてもいいよな?別に寝落ちするわけじゃあないし、すぐにダン守にはいれるはず。」
しかしそんなことを考えていたのは一瞬だけ。
「!?!?!?―――ッ」
突如胸が締め付けられる様に痛みだす。嘘だろおいおいおい。これ心臓発作ってやつ?俺は椅子にもたれかけながら動こうとするが、胸が痛くて痛くてしょうがない。呼吸も少しづつきつくなってくる。
いや確かに最後医者に診てもらった時、このままの生活だといつか体調崩すぞとは言われたけれども!?こんなすぐ起こるものかよ普通!? 大体そういうのってアラフォーのおっさんたちがなるやつだろ!?
「死にたくねえよ...クソ...」
絶対あのクソ上司のことは呪ってやる。
俺の意識はどんどん遠のいていく。視界はどんどん狭まっていき、思考がしづらくなる。
(ああ、俺ここで死ぬんだな。。。)
その思考を最後に、俺の前には暗闇しか残らなかった。
これが俺、行武城司の最後だった。
▼
【ダンジョンコアの存在を確認】
【これよりダンジョンの作成を開始します】
しかし気づけばまるで頭にアナウンスが流れているかのようだ。
目を開けた俺の前には薄暗い空間が広がっていた。
「なんだこれ。でもこれって確か。。。」
そう、ダン守のチュートリアル画面に似ている。
「いやまさかな、、、」
そう思って言った瞬間、
【マスター、まずはメニューを広げてみましょう】
と頭にアナウンスがまた。
「いや完全にダン守やん」
もしかして、、、、、
Oh My God...
どうやら俺はダン守の世界に転生してしまったようだ。
転生したらダンジョンコアになってしまった俺、滅ぼされたくないので平和なダンジョンになろうと思います。 めなす @edgy_union
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