世にクラフト系の小説は数あれど、言われてみれば物作り特化種族とされるドワーフを主役に据えた小説はあまり見かけない。
種族的に物作りが得意だと分かっているのに何故か主人公として使われない。
そんな、ある意味思い込みに切り込んだ作品。
種族ならではの「そうか、そう行くか!」と思わされる部分に切り込んでいき、種族特製を上手く物語に搦めて、制作過程に納得させる力業。そして主人公のちょっとお茶目に見える丸投げ気質!
現代では少々毒親に見えるが、確かにドワーフならこうでもおかしくない、いや、ドワーフだからこそこうだろ、と思わせる両親に、種族的にやや長命であるために出て来る親族の多さ! 話の展開は遅いですが、その分濃厚な考察に説明がなされていて、物作り関係の話が好きなら、一度読んで間違いのない良作です。
ドワーフと言う種族ならではのハチャメチャなクラフト物、ぜひ楽しんで頂きたい作品です。