第31話 悩み

「いきます!」


 私は西谷に向かって猛スピードで走る!


『ブン! ブン!』


 西谷さんは華麗に避け続ける!


「空……その力だと私には勝てない」


 うるさい! うるさい! 私は……!


「貴女たちに勝ちたいの!」


 宮里さんに負けたこと以外と引きずってる……!だからこそ!


「もっと強くなりたい!」


『ブン! ブン! ブン!』


 ダメだ……当たらない!


「くそぉおお!」


『パシ!』


「……は?」


 西谷さんは私の剣を見切ったのか素手で剣をキャッチした。


「わかった」


 私の力がなくなるのを確認した西谷さんは再び間合いを取る。


「私を見て」


『ブン!』


 西谷さんのプリズマから武器が作られる。


「鎌……?」


 意外すぎた……見た目と違って大きい鎌を使うんだ……。


「いくよ!」


 西谷さんは一瞬で間合いを詰める!


(は、はやい!)


『ガキーン!』


 なんとか剣で防ぐ……が。


「それじゃあ私は止めれないよ」


 西谷さんはすぐに武器を持ち替えて、再び鎌を降る。


(避けた!)


 ……が。


『ブン! ブンブン! ブンブンブン!』


 どんどんと鎌を振るスピードが早くなる!


『グサッ!』


 徐々に私の方や脇腹、足に傷がつき始める。


(は、早すぎる!)


 私の剣捌きだと、ついていけない……!


(分身すら出す余裕が……!)


「ほら、早く分身出してよ」


 わかってる! けど!


「……これでいい?」


 少しスピードが弱まった!今なら!


『ブン!』


 西谷さんの攻撃を一つ目の分身が受ける!


「はぁあああ!」


 背後から!


『ブン!』


「……は?」


 消え……た? ……なんで?


「……空?」


 後ろを向くとそこには西谷さんが居た。


「え、今……え?」


 確かに捉えたはずなのに


「それ私の『偽物』」


 この人も同じ能力を持ってるの?


「いや、うーん。『残像』かな」


「ど、どういうこと……?」


 理解が……できない。


「私の『力』見せてあげるね」


(う!)


 さっきまで、少し後ろにいたはずなのに……って


「速すぎて、残像が!」


 しかし、西谷さんは考えさせない


「ミカヅキの舞!」


 さっきまでのスピードとは比べ物にならない速さで鎌を華麗に振る。


(まるで演舞……!)


 私はスピードに耐えられず、武器を二本とも落とす。


「ここまでだね」


 私は砂に膝をつく。


「はい、これ」


 見たことある羽根……触れると


『シュワァ』


 身体の傷が癒えていく。


「な、なんですか……西谷さんの技……」


 悔しすぎて泣きそう。


「私はただ鎌を振る速度が速いの。だからさっきの残像は、速さで残った私」


 理解できない……。


「僕が教えてあげようか?」


 顔を上げると翼を広げて西谷さんに抱きつく宮里さんが居た。


「だからと言って僕にも説明するの難しいんだけど……」


 どっちなんだ。


「由未の能力は『神速』。鎌に体内粒子を注いで神速のごとく振り回せる。それは鎌を振る以外にも移動にも使えたりするんだよ。神速は自在に速度を変えれるから、残像が出るスピードにも速さを上げることが可能なんだ」

 

 早く動けすぎて、残像を残せるのか……。


普段は凄いのんびりしてそうな顔や行動なのに……。


「緩急がすごいんですね」


「私は戦い以外はゆっくりしたいの」


 普段から落ち着いてるからこそ、戦いも冷静に戦えてるのかな。


 そんなことを思っていると西谷さんは鎌をプリズマ化して私に近づく。


「貴女は分身を『使わないと戦えない』違う?」


 その言葉が胸を締め付ける……。


「はい……」


「それにもう少し冷静にならないと」


 返す言葉がない。


「数を、増やすことも大切だと思う……でも今、空が身につけるべき事は、私的には『同時に操る事』と『冷静に戦うことだと』思う」


 それって……


「つまり現状だと、ニ人同時にだして、三人で攻撃するってこと?」


 宮里さんは西谷さんの代わりに分かりやすく伝えてくれた。


「うん。数も増えればそれでいい。空は必ず『消える』からダメ、『増やして惑わす』も大事。もちろんそれを『冷静に』ね」


「そ、空ちゃんが三人になるってことですね」


 後ろを振り返るとランニング途中の氷華ちゃんが立ち止まってた。


「そういうこと、同時に攻撃できれば最高だと私は思う」


 ……そんなこと


「ってわけで明日から私と特訓ね。」


「良かったね」


 大天使二人は私を見つめる。


「なんで教えてくれるんですか」


 私は貴女たちが憎いのに……。


「だって、私たちの力を必要としないで魔界に勝ちたいんでしょ?」


「でもそれだと、教えてもらうことも力を借りることに……」


 私はメガティブになってた……。今何をしてもどうにもできない気がして。


「力……? これは私たちの力じゃない。私たちの力は……と……」


「はいダメー!」


 宮里さんが喋りかけてた西谷さんの口を手で押さえる。


「この先が知りたいのなら、僕たちに認められる強さになりなさい」


 ……強さ……か


「分かりました!」


 私は立ち上がり大天使を見つめる。


「それでこそ、空」


 宮里さんの口をどかし、西谷さんは話す。


「まず今日はランニングね」


 西谷さんの言葉に私は返事をして、走り出す。


「あ、あの!」


「ん?僕に何か用事?」


 氷華ちゃんが宮里さんと何かを話してるのを見ながら……。


ーーーー


 夕方、石の上に座る美羽を見つける。


「美羽……そろそろ帰るよ」


「……空」


 どうしたのかな?元気がない。


「ちょっとだけ話を聞いて」


「いいよ」


 私は美羽の隣に座り話を聞き始めた。


美羽が小さい頃のお話を

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きみと一緒に居たいから 桜星 夢 @Yume32

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