第22話 ブラック男爵襲来
「おい、ショウ久しぶりだな」
「ブランク男爵様…」
ある日浜辺で釣りをしていると水浸しのブランク男爵様とボーロ様がやって来た。
「お前、学校を卒業したら戻ってくるんじゃなかったのか?」
顔を真っ赤にさせて怒っているブランク男爵様。おっと、もう俺の方が爵位が上だから様はいらないか。
「いや…思いもよらぬ出来事がたくさんありまして…」
「知ってるよ、ショウくん伯爵になったんでしょ?シルムン兄さんとアルエがおめでとうだってさ」
父とは変わって穏やかに話しかけてくるボーロさん。
「そうそう、スカイラが2歳になったんだ。今度遊びに来てよ」
「はい…」
怒ってる父上を横によくそんな話をしていられるな…
「てか、よくこの島に辿り着けましたね…」
「ビルダー様から聞いたんだ」
実はビルダーさんは昔教師をやっていたらしく、ボーロさんが教子だったらしい。その縁で無人島の行き方を教えてもらったとのこと。
「まさかビルダー様からショウくんのことが聞き出せるとは思わなかったよ」
どうやらビルダーさんは俺とボーロさんが知り合いという事を知っていたらしい。
「シヨウ、お前にアルエをやる」
「ありがとうございます、ですが結構です」
「シヨウくん!そう言ってくれると思ったよ!改めてスカイラをよろしく頼むよ!」
怒りが冷めたブランク男爵に再び油を注いでしまった。一方でボーロさんは喜んでいる。
「なんだと!アルエが可愛くないのか!?」
「義理でも兄妹だし…」
またまた、ブランク男爵に油を注ぎ、ボーロさんは笑顔で頷いている。
ただでさえベータとシグどちらを正妻にするか迷っているのに、てかあんたらの娘は正妻になれんぞ。
「ちょっと待った!伯爵様の正妻は私だ!」
「誰だクソガキ!」
猛ダッシュでこちらにシグがやって来た。
おいおい、知らなかったとしても侯爵様の娘に向かってクソガキはないだろ…
「私はアマゾン侯爵家三女シグ・アマゾンだ!」
「侯爵様の娘様!?」
ブラック男爵とボーロさんが腰を抜かす。
「じゃあアルエを2番目に…」
まずは謝罪だろクソジジイ!
「残念だな!2番目はベータ姉さんだ」
「じゃあ3番目…」
「3番目はクーカー姉さんに、4番目はタイン姉さん。その次なら空いてるぞ!」
おい、空いてるぞとか言うなよ。嫁候補が増えるじゃねぇか。嫁は4人で十分なんだよ!なんなら減らすかもしんないし。
ブランク男爵は完全に諦めた様子だが、ボーロさんは違った。ブランク男爵は自分の娘を一番にしたいようだ。
「じゃあ5番目にスカイラをよろしくお願いします!」
何故そこまで、俺にスカイラを嫁がせたいのか分からない。
「シヨウくんとスカイラの子供はすごい魔法使いになるぞ!」
そんなことまだ言ってんのか、魔法適性は遺伝性じゃないちゅーの。親バカ通り越してただのバカだな。
「おっけー」
「お前が許可出すな!」
まだ正妻にもなっていないシグが俺とスカイラの婚姻に許可を出す。
よし決めた、シグは嫁にしないで養子にしよう。これで嫁候補はスカイラを除いて3人だ。
「シグ、お前は俺の養子にする!」
「そんな…!?」
助けに来てくれたようだが、余計な事をして嫁が増えかけた。こいつは側に置いておくと危険だ。
「じゃあベータ姉さんを正妻にするの?」
「いや、アマゾン侯爵より上の爵位になって婚姻を拒否する」
「いや、それ無理だろ。もう一つ屋根の下で一緒に暮らしてんだから結婚からは逃れられないぞ」
騒ぎに駆けつけたオイナーから辛い正論が放たれる。
「まあ2人連れてきた時点でお前の負けだ」
でもやっぱりシグを正妻にはしたくない、勝手に婚姻済ませちゃいそうだし。
「まあ私より優秀で爵位が高い人が見つけられるなら正妻諦めて側室になるけど、どちらにせよまずは爵位を上げなきゃね」
しれっとしてるが嫁になるのは諦めないんだな。こいつと結婚したら家に閉じ込めておこう。
「で、結局ブランク男爵とボーロさんはまた荒波に呑まれて帰るんですか?」
「あ…シヨウくん、スカイラの顔見に行かないか?」
ボーロさん…今回だけはその言い訳に付き合いますよ、もちろん次回はないけど。
「…シヨウ、分かっているな?」
何もわからねぇよ。あんたは圧力かけるだけしか脳がないのかよ!
「2人とも、今回だけですよ」
勝手に来て、帰れないとか冗談じゃない。この人達ら思い立ったら即行動のアホ貴族だ。
無人島でボッチは流石に嫌! しなしなはるな @sinasinaharuna
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