第2話公務と不満②

長い歴代の国王の肖像画が並ぶ綺麗な装飾に包まれた廊下を歩く。

「公務の詳細を教えてくれる?」

私は、後ろをついて歩くミレアにそう言った。

「自らを秀才、天才とおっしゃる貴方様がまさか公務の内容もわからず向かっているのですか?」

「確認の為に聞いてるの。冗談言わずに教えなさい」

「わかりました。これからお会いしお話をするのは、兵士長様で御座います。

王国の兵力増強の為に王女直々に呼びかけてほしいとのことです」

なんで私が、、、お兄様がやればいいじゃないそう思いながらも

「、、、分かったわ。ありがとうミレア」

いえっとミレアは短く答える。

ミレアは私が物心ついたころからお母様の代わりのように愛し私に教養、作法、そして少ないながら魔法を教えてくれた。ミレアは私の他人に知られたくないような失敗も成功のための努力もすべて隣で見ていて私より私のことを知っていそうだ。

けど私は、ミレアのことをあまり知らない。ミレアはずっと変わらなく見えるし自分のことをあまり語ろうとしない。聞いてもさっとかわされる。

 けどミレアはわかってくれている。私の今の苦しみも無力さ苦悩も


王城来客室にて

「王女様お会いいただき光栄です。私兵士長を務めさせていただいています。ザリオ・エルヴィンと申します」

腰から無骨なけれど手入れが行き届いており鈍い光を放つ剣を携え初老の男がそう言った。装備は一般の兵士と変わらず知らない人が見たら一般兵と変わらず見えるだろうけれどそのような人はこの王国のみならずこの大陸内をみてもそう多くないだろう。”白銀の牙”そう呼ばれたお父様の忠臣だ。お父様と共に大国からこの国を守った英雄だ。言葉通り一騎当千の力を持つ怪物そう各国から恐れられ敬われた。今お父様がなくなった今まだ国が残っている大きな理由の一つであろう。

「いえこちらこそかの英雄にお会いできて感激しています」

「ハッハッハッ口が上手いですなガラットの娘も立派に育ったものだ。それにミレアを連れているとは、、、安心だな」そう言ってまた笑っている。

兵士長とは、とても思えないほどおおらかで優しそうな人だ。

「それ以上私のことをしゃべらないでくださいませ」

ミレアはそう微笑んで言った。

「ザリア。あなたは、口が過ぎてしまいますから」

少し怒っているそのように感じた。

「ああすまない。さて王女様、今回の件なのですが」

「はいわかっています兵士の募集ですよね分かっていますスピーチ原稿もこのように」私はそう言って紙を手渡した。ザリアさんは、それを手に取り目を細めながら読み始める。

「年老いましたね」

サリアがそう言う。

「当たり前だ」

そう短くザリアさんは返した。

「ちょっとミレア。ザリアさんに失礼だわ」

「大丈夫です。王女様そういう仲ですから」

スピーチ原稿を読みながらザリアさんは言った。

どういう関係性なのだろう。ミレアの謎がまた一つ増えた。



それから数分後


「スピーチ原稿ありがとうございました。これで大丈夫です」

スピーチ原稿が私の手元に返される。

「そうですかありがとうございます」

私は、胸をなでおろした。

さてっとザリアさんは、背筋伸ばしこちらに再び向き直した。

「王女様無理を承知でお願いです私の願いを一つ聞いてくださりませんか」

そう言った。







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ミゼラブルアリーゼ 八草秋水 @Rousyu1567

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