幕間
幕間 里運と占い
とある日、里運はベッドで目を覚ました。
隣で寝ていたペンギンのぬいぐるみに「おはよう」と言って立ち上がる。
そのぬいぐるみはかつて、蒼太が誕生日にプレゼントしたものだった。
階段を下りて向かった先はリビング。
テレビの電源をつけた里運はあるチャンネルを見始める。
『おはようテレビ』
毎週月曜から金曜日の五時から放送されているニュース番組だ。
その番組の中の六時から始まる占いコーナーを観るというのが里運の日課だった。
「今日は何位かな~」
テレビの近くで座って体を揺らす。
里運の誕生日は七月七日。かに座だ。
『おはよう占い始まるよ~』
「始まった!」
六時になり、占いの時間が始まった。
『今日もっともよい運勢なのは、しし座のあなたです』
「今日は一位じゃなかったなぁ」
がっかりする里運。
どれだけ運が良くても、占いだけは1位を連続して取ったことはなかった。
『作業が進み大活躍。目標を早めに取りかかってください。二位はさそり座の人。外出先で嬉しい出来事――』
「今日は三位かぁ。嬉しいことがありそうな予感だって! なにしよっかな」
テレビに映った順位を確認して、里運は近くに置いていた小鳥のぬいぐるみと話し出す。
『五位は――』
「ねぇ、蒼太くんはまだでてきてないよ?」
蒼太の誕生日は四月六日。牡羊座だ。
五位から八位が表示されたが、牡羊座は今まで出てきていなかった。
「十一位以内には入るよね」
『九位はみずがめ座の人――』
「え? 蒼太くん、最下位?」
次の画面に映っても牡羊座は出てきていなかった。
小鳥のぬいぐるみを抱きしめ、最下位の順位が流れるのを待つ。
『そして今日もっとも運勢が悪いのは、ごめんなさい、牡羊座のあなた。意見がぶつかりイライラ。相手に合わせたテンションを心掛けてください。でも大丈夫。ラッキーアイテムは――』
「これだ! 前にあそこにいっぱいあるって言ってたし。これを渡せば蒼太くんも元気になるよね!」
ラッキーアイテムを確認して、里運は蒼太に渡すことを決めた。
今日も彼女の運命な一日が始まる。
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