4話
うちから高校まではなんだかんだ1時間くらいかかる。安永高校は名古屋市にあるが俺は名古屋市に住んでいなく、となりの東海市に住んでいるからだ。それに俺の最寄り駅は普通しか止まらない無人駅だ。ちなみに千沙は隣の特急も止まる大きな駅に住んでいる。
学校についても冬以外に話せる人がいないため自然と机に座って一人で本を読んでしまう。
「よっ、おはよ」
肩にぽんとカバンをあてられる。それを握るのは朝から爽やかな笑顔を見せる冬だ。
「おはよ、その中身名に入ってるんだ?」
「ああ、これか、今日からバスケ部の新歓行く予定だからその準備だな。」
「お前も新歓行くのか」
「もってことはお前もどっかの部活いくのか?」
「ああ、吹部いくことになったらしい、千沙の付き添いだな。」
「あね、マジで仲いいなお前と姫百合さん。ところでお前知ってるか、安永一年3大美女の話。もう男子とかツイッターとかでは有名らしいんだけど姫百合さんも入ってるらしいぞ。」
「あいつが美女ねぇ。」
「いつか機会があったら、俺にも紹介しろよ。」
「今日にでも紹介してやるよ。」
冬は自分の席に向かいながら手を挙げて答えた。
ところでこのクラスには40人の生徒がいる。俺は「は」行で、八神は「や」行のため席は少し遠い自分はクラスの真ん中の位置の後方なのに対して、八神は窓際の最後列、いわゆる主人公席というやつだ。
ざっと見てもこのクラスに冬よりかっこいい男子もいないため運だとしても妙に納得してしまう。
ちなみに、俺の隣の子はまだ来ていない。もう始業2分前だというのにクラスに来ていないのは彼女だけだ。名前は遠野美玖というらしい。
周りの生徒は隣になった人と話しているのに対して。自分は話す相手がいない。もし自分がクラスでボッチになったら彼女のせいにしよう。
特にすることもなくクラスを見ていると前の扉があいた。クラスに入ってきたのはこの学校の女子が着ているセーラー服。つまり俺の隣の席の子、遠野美玖なのだろう。
彼女の容姿でまず目を引くのはその発達した胸だろう。とても高校一年生だとは思えない胸を呼吸のたびに揺らすのは遅刻しそうになって走ったからだろうか。肩よりのあがく伸ばされた黒髪は軽くカールがかけられておりまた一度見た人の視線を離さない。みんなが同じ制服を着ているにもかかわらずそこに育ちの良さというかお嬢様感があふれる。
彼女は黒板に張られた関票を見ると俺の隣の席に歩いてくる。
「あのぉ、はっ羽衣さんですよね。隣の席の遠野です......。あっあのっこれからよろしくお願いしみゃす......。うぅぅまたやっちゃたよぉ、絶対変な子だと思われた。」
こちらは何もしていないのにかなり動揺してるな。
「こちらこそよろしくだよ。遠野さん。後別に変な子って思ったりなんかしてないからね。」
「聞かれてたんだぁ、恥ずかしいよぉ。」
「あの、大丈夫だから、ね。」
そっれからしばらく会話した後にチャイムが鳴った。
それとほぼ同時にきた男性が俺たちの先生なのだろう。
「どうも、まず安永高校への入学おめでとうございます。そして私の自己紹介ですが私は
ぱちぱちと拍手が鳴ったのに安心したのか先生はニコッと笑う。決して怖くのない雰囲気からしてクラスのお父さんのような存在になりそうだ。
「とりあえず今日は授業もありませんし自己紹介でもして解散ということにしましょう。」
生徒の顔は様々早く帰れることを喜ぶもの、自己紹介を憂鬱に思ってそうなもので様々だ。
「じゃあ出席番号一番の阿部から始めてくれ。」
お菓子作りが好きな人、サッカーが好きな人など様々な人がいる。だが、正直な話全然覚えれない。ここまでの自己紹介ではかろうじて遠野さんを覚えてるくらいだ。ちなみに遠野さんはヴァイオリンが趣味らしい。より一層お嬢様のような気がしてきた。
「次、羽衣。」
先生が名簿の名前と顔を一致させようとこちらをよく見ていってくる。こういうようなところからも服部先生はいい人だなと思いながら席を立つ。いうことはここまでに考えている。
「羽衣 白っていいます。喜井屋中学出身です。趣味は本読んだり音楽を聞くことです。まだ何部に入るか決めてはいませんが逆にいろいろなことに挑戦するのもいいなって思っています。一年間よろしくお願いします。」
みんなのある意味機械的な拍手を受け座る。特に目立つこともなくつつがなく終えれたと思う。
八神は何がよかったのかグゥサインを見せてくる。隣の遠野さんもこっちを見て笑顔で拍手をしている。ちょっとかわいい。
そこから15分も経たずにクラス全員が自己紹介を終えた。その中でもひときわmwだっていたのは出席番号最後の冬だろう。冬の自己紹介はこんな感じだ。
「八神冬です。バスケやってました。高校でもバスケしたいです。趣味はバスケです。将来はバスケの神になりたいですあっそういえば同じ中学のひとがこの高校にいないので仲良くしてくれると嬉しいです。友達百人作ります。よろしくお願いします。」
正直どこから突っ込めばいいのだろうか。ただ純粋にいいやつだと思うけどどこかが変な気がする。」
別にどこが変というわけでもないけど、どこも変じゃないとも言えないこの感覚は何だろう。それに冬がイケメンなことも相まっていろんな人が冬に話しかけに行って、冬を中心とした円ができている。
あ、俺?元から目立つの嫌だったからいいけど新しい人には誰もしゃべりかけられてないよ。今もずっと遠野さんと話してる。多分今だにクラスで自分の席に座ってるのは人気者の冬と俺と遠野さんだろう。別に悲しくなんてない。
ちなみに遠野さんは吹部も考えてるらしい。この学校は部活動が必須なうえに弦楽器のサークルがないためらしい。
しばらくしてから教壇に立ってみんなの歓談を眺めていた服部先生が小さな咳払いをして口を開く。
「みんな盛り上がってるようで先生はうれしいが今日はここまでとする。あしたからは普通に授業もあるし早く帰るのもよし。今日できた友達と遊びに行くもよし。また今日から各部活動が体験期間を始めるみたいだからそっちに行っても良しだ。」
服部先生の声を聴いてから盛り上がっていたクラスの声もいっきいに小さくなった。
「じゃあ、お疲れさまでした。」
「「お疲れ様でした」」
一回小さくなった声も再び大きくなりクラス中がにぎやかになる。
そう放課後になったのだ。一番危惧していた放課後、今日に限ってては憂鬱な放課後だ。
勢いよくクラスの後方扉が開く。
緑色のリボン―一年生の女子が入ってくる。
よく知った女子だ
俺の前に立った
手を取った
周りから歓声が上がった
一部の男子は泣いている
一部の女子は写真を撮っている。
「白、行くよ部活。逃がさないからね。」
そいって俺の手をとらえるのは千沙だ。
「元から逃げる気なかったって。約束だから。」
もう一度音を楽しんで 波結 @hayuiyui
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