線の上を歩く

Kyju -キユ-

絵のない44の陳述

あいかわらず空は曇り

いやがうえにも思い出す

うっかり記憶にのまれたら

えいえいともがくことになる

おめおめと生き恥を晒すのだ


かりそめにも法は犯しておらぬ

極力、正しくあろうとしてきた

くさくさしても人に当たらず

けして手をあげたりしない

刻一刻と時間は近づく


さほど未練はない

首尾よくやろう

すんでのところで失敗しては

せっかくの努力が水の泡になる

そうこうしていると


たちどころに消え失せた

ちょうどそこにあったろう?

つくづく運がない

徹頭徹尾、不準備だ

遠からずおれはダメになる


涙ながらに帰宅したら

似つかわしくない大歓迎

ぬけぬけとこの場にいるにもかかわらず

願わくばそれが続くようにと

望みさえすれば叶うのかと


はっと我にかえり

ひと思いにやってくれ

沸々とした怒りに

へなへなとくずおれた

ほどなくおれはダメになる


曲がりなりにも今までやってきた

見事、これからもやってみせよう

むざむざやられてたまるかと

めちゃくちゃにやってやった

勿論おれはダメになる


やいのやいのと言うやつが

ゆうに超えてくる

要するにおれはダメになる


楽々できるというのは

りゅうとした人がやることで

れっきとした人ができることで

ろくすっぽなおれは何ができる


わざとおれはダメをやる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

線の上を歩く Kyju -キユ- @Tsukikusano

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ