第8話 『ギャル言葉とはなんぞや』
教室の中心に四人が揃い、光より提示されたお題。ギャル言葉について討論を始めた。
島津豊久は真面目な顔で話し始める。
「ぎゃる言葉ぁ? そンな
横から土方歳三がイラついた顔で、
「そこの島津は無視して構わん。 そもそも、ギャル言葉とは何なのだ? あのおかしな狐火が用意した書類を見たが、よく分からん。 これは誰が定義した言葉なのか」
彼は常に正確さとルールを重んじる性格のため、ギャル言葉の定めごとに関しても疑問を抱いたようだ。
太宰治は、
「確かに、ギャル言葉はモダンな言葉遣い。 若者たちの自己表現に欠かせないもの。 ただ……、言葉は変遷していくにつれて、その意味の伝達がよりスムーズになるべきではないだろうか? このギヤル言葉というは、それを明らかに難しくさせている。 本当に必要なのか……?」
その問いに、江戸川乱歩は独特な口調で答えた。
「ギャル言葉とはきっと、時代とともに変化し、常に新しいものを取り入れてきた言葉の進化系です。 私たちでは想像つかないかもしれませんが、きっとこの言葉は時代性に則っている。 よって、意味はそれなりに伝わるものだと思いますよ。 ただ、それによって、古いものが失われてしまうこともあるでしょう。 私は、伝統的な日本語や方言を大切にし、新しい言葉とのバランスを取る必要があると思います」
四人がそれぞれの意見を述べた後、ギャル言葉の中でも「ヤバい」という言葉が挙がった。
島津豊久はその言葉を使う若者たちを「意味不明。挑戦的な武者みたいな奴らじゃのう」と評価し、土方歳三はその言葉が正しい意味で使われているかどうかを問いただした。
太宰治はその言葉が使われる文脈によっては問題があるかもしれないと述べ、江戸川乱歩は「ヤバい」という言葉が伝統的な日本語を省略し、失なわせてしまう可能性があると警鐘を鳴らした。
しかし最後まで、たったの一人すらギャルを理解する物はいなかった。
『1年D組 人類再考教室』 JACK @jackkingslave
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