第2話 呆気なく卒業

 莉子にはドラマのようなラッキーはなく、カケル君も莉子も何の接点もないまま、卒業していった。


 もうひとつ、ささいなつまらない事があった。

 3年間、クラスは一緒だったり違ったりとさまざまだったが、それなりに仲良くしていた友達に裏切られた事だ。


 マナとリナ、そして莉子の3人グループのうち、莉子以外は同じ大学に進学する。

 それは仕方がない。

 莉子の家はお金がなかったし、奨学金を借りてまで勉強したくなかった。

 そりゃあまあ、親に行けと言われたら行っただろうけど、「働くよね? 勉強嫌いだもんね?」と母に言われたのだ。

 莉子はそれで萎えた。

 別に働きたくもない。

 でも反論とか頑張るとか、とにかくそういう事が面倒だったのだ。


 何となく友達の2人とは疎遠になるだろうな、と思っていた。

 でも卒業旅行のディズニーに自分を除いた2人で行ったのをインスタで知ったのは衝撃だった。


『#仲良し2人』


 莉子がやった事は、とりあえずアプリを消す事だった。


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君の犬 @mio0418

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