健康診断(1)
目前の貯金箱が揺れて、嬉しかったのは彼女がためにと思えば、脈絡も無くはなかった。
何を隠そう。この箱は透明で、それでいて色も着いている。緑色の透明で、これがそっくり液体の類似であるのも実はと言えば、そこに寄り掛かる紙が為である。白や茶色の為でなくて、金の為でないのは言わずもがな。これと言えば全く外部の話であった。
もっと憧れているインクの青といえば、これも外部の話であるが、確か箱に仕舞った気のするので取り出せない。不服は無いので一先ずは彼女の家に忍び寄って、その先に海底の砂利を隠し去った。
ここのドアはとても固くて、押したり引いたりして開けるなどという事情でもないらしいから、仕方の無いのはこの先ずっと仕方無くて、ほら。
彼女が取り敢えず高所より呼び掛ける。
手を振って、顔の三分の一で笑む。つまりこの前に振り返っているが、これが重要である。
あるいは薬の瓶によく有る黄色い茶色であるが、あるいはの後に私はすっかりこれに妥当してしまっているので、つまり言うと私達ではないのである。
もっとコミック的なと言えば今よりもっと安上がりなので、どうしてこれにしないのかと不思議でいれたなら、しかしそれは不条理にあやかっていない特例である。まあ言わせておくれ。
「元来私は夢の簡明さが好きなのです。ああ神よ、マリオ64の様な情景を与え給え。」
しかし夢とはつまり私の目の焦点の定まらぬことであり、印象派の絵画のごとく、不鮮明であって単純ではないと。
「相手がそれを知っている前提で話すと相手はそれを知っているし、知っているかと尋ねると知っていたり知らなかったりする。ただその存在を告げると、相手はそれを知らないふりをする。」
「あなたの症状はこれですね。よく分かります。」
「いいや。分かっていない。ルネサンスが何にも先行しているのだからおかしいと言っておくれよ。」
相手はすっかり逃げ帰って、再び彼女と手を繋いで廊を渡る。裸足でなくてもいいが、裸足で。
いいややっぱり靴を履いてドアを開け直すと、どうでもいいが死を回避した。
『人間鑑賞』〜素朴派恋愛小説、即ち童貞による恋愛小説の優位性〜 スルメ大納言 @surume2003
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