ガーネット
砕け散る 砕け散る
世界という
硬い鮮血を
毒を
開け放した独り部屋の窓を通って
呼びもしないのに
いとも容易くやって来る ────
苦しみ抜いた愛の肌に
電線に掛かる凧のような 奇妙な角度で
僕の辿った道の
余りにも 韻を踏み忘れてきた
僕が夢に見た虹の軌跡は
君たちと重なる
縁から
毎日毎日 生活という名の
永々と 晴れることのない霧の
それでいて とても勇敢で美しい
どうやら 君たちは持っているらしい
ああ そんな君たちの瞳には
さぞかし
僕のマッチが延々と
酷く曖昧模糊とした
(それとも それを証明するために
僕は生まれたのだろうか?
……しかし それでも
記憶の列車がレールに
僕は もう これ以上
ハンドルを握ることさえ覚束ぬ)
さあ 世界よ
麗しきその
涙ぐましき葬礼の旗を揚げよ!
砕け散る 砕け散る
世界という
硬い鮮血を杯に捻じ込んで
毒を呷った僕が死ぬ
──── はずだった けれど
あの日
曙光に飾られた大空の
僕の魂が重力を
天に昇るのを きっぱりと拒んだ
やがて 仕方なく
僕は 小さく生きることを選んだ
でも 今は思っている
ああ それでいい
これでいい と
僕の血が少しく滲む
いつものように 君たちのように
今日も格別に 美しいと思う
そしてまた 今日も
世界よ どうか平和であれ と
詩集 生的デッサンとガーネット もざどみれーる @moz_admirer
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