生きてた。
@Crooked_spine_
見る不幸、体感する不幸
少し前まではよく泣いていた。
そして気がついたら僕は笑えなくなっていた。
僕は自分の変わらない日常に対して嫌気が差した
何をするにもやる気が起きない
外を歩けばみんなが笑顔で街をあるいている
人それぞれ幸せは違う
笑顔でいることが幸せと決めつけるわけではないが、とても羨ましいと思う。
僕にとってはみんなが違う世界の住民だ。
僕だけが時間の止まっている感覚だ。
みんなはどんな明日を迎えているんだろう
最近は街を歩く人が少しでも不幸になる瞬間を見るまで後ろをつけるのが趣味だ
変な趣味という自覚はある、昨日はおじさんがパチンコで10万円負けてるのを見届けた
その瞬間の彼は僕よりも死んだ顔をしていた。
その後どうなったのかが少し気になる
今日は僕の目の前を幸せそうに歩くカップルの後ろをつけるか
このカップルを見るのは何回目だろう?
お決まりのデートコースを歩き
ただ話してるだけなのにすごく幸せそう。
いや、幸せだったに違いない。
こんな二人が不幸になる瞬間なんて想像できない
ゲームセンターでUFOキャッチャーに5000円使ってぬいぐるみを取れずに諦めても二人は笑顔だ
普通取れるだろ。
飲食店では店員が手を滑らせて彼氏に食べ物ぶちまけた。
だが怒ることもなく二人のデートはそのまま服を買いに行くことになった。
彼氏が彼女に服を選んで貰いとても嬉しそうにしていて二人は幸せそうだった。
この二人のこの時間を見てるときだけは正直しあわせな気持ちになれる。
誰もが羨ましいと思うだろう。
二人は小さな公園のベンチに座って休む事になった
二人の会話を楽しむ横で僕は1人この会話が終わらない事を願っていた
少しでも長く話していて欲しい
僕にとってはその会話がとても幸せで、貴重な会話に感じている。
気がついた頃には涙が止まらなくなっていた
二人は立ち上がりどうやら帰るようだった。
「まって!!」
僕は叫んだが彼らには聞こえない。
公園を出てすぐに彼らの後から勢い良く車が走ってきた。
彼氏はそれに気づき急いで彼女を突き放した。
彼女は助かった。だが彼氏は助からなかった。
僕はまた自分が倒れてる横で彼女が泣いているのを見て何も出来ずにただ立っていた。
そして、気が付くとまた朝に戻っていた。
生きてた。 @Crooked_spine_
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