第8話 Rich Tongus Girl (多くの舌を持つ女)編


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前回のあらすじ


所員達がマニュルの素性に怪しい部分を見出し、事態の本質を察し始めたやさき敵の大規模攻撃が迫る



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「よしっ! 行きますか!?」 「おっ、おぉ その前に、」



ズギィンッ!   ギギギ ガチャッ 


ユウがハンドガンを撃ち光学迷彩を使ったドローンを落とす



マシロが聞く



「やっぱり泳がせてたんですね どうするんです?聞かれてたら」



ユウがなんでも無いように返す



「いや、聞かせた  奴らの方もライブ当日は嫌だろうから今、マニュルがデトネーターであると俺らが気づいたと伝えれば?」



「もちろん、襲ってきますね?」



「だからやよ」



「、、、わざと襲わせたってことですかぁ?」



「そう  それにどうせあいつらも今日やるつもりやったやろから せっかくやから一気に叩いときたいし」



「なるほどです  、ではっ」  ピピッィィィ ツーー



とすでにこの場を離れ通信で話していたマシロが通信を切る




そう、おそらくデトネーターであるマニュルを狙っているうえに、コンポウザーとしての適性が高いことも把握しているのであれば、マニュル自身がデトネーターとしての知識などを持つことを自覚していようがいまいがとりあえず生きている状態で捕まえようとするはずである。 生きてさえいれば、マニュルの知識や魂そのものを抜き取るか、逆に憑依し操る もしくは、なんらかの方法でマニュルを仲間に加え自発的に新型ラインの開発を行わせることが可能である


そして、もし明日ライブ中に本格的に動けば当然膨大な死体が増え、その中にソールキャスター適性の高い者などがいれば、マニュルとの知識のやり取りがなんらかの形で阻害される可能性があるのだ。 加えて今日襲撃事件を起こせば半日後に迫ったライブは中止にせざるおえないと考えられるので最悪今日失敗しても、明日を含めて、後日ゆっくりと狙うことができるのだ。



しかし! そうはいかなくなったのが、先ほどのユウの発言である 


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注釈

私(作者)の不手際により入れ忘れた情報で、どうやらマニュルの「ギャグの人」としての能力と思われていたものは、ユウの事務所が保有する特殊魔法解析用大型有機電算機(遺物)によりデトネーション級の広範囲へ軽い洗脳と現実改変を行う古代魔法が変質したものであるとわかったのだ!!

という情報をマシロに話しているところを盗聴させていた


注釈終わり!!!


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これによりマニュルが、少なくとも確実にデトネーターであることと、この事について特態所が既に知ってしまっているということを敵側が知り、とにかく早くマニュルの身柄を確保する必要ができたのである




「ルース ここらでヘビーが動かせる場所は?」



「はい ちょうどマニュル様がいらっしゃるドームでの稼働が適切と考えます」



「、、、なんと都合の良い  とりあえず今はヘビーは待機、相手が出してきてからでいい  俺は敵の歩兵どもを片付ける、、、 ぅおりゃあ!!」



ズバズバズバ!!  もう進行してきた敵を切り倒しつつ通信を入れる



「もうきやがったなぁ  ピピッ ガルド!マニュルの身柄は!?」



ガガッ ピーー『もう確保した  ジジジッ データは今送った  すみまガガー 長、通信がピー 不安定で、、、』 ツーーー



「ECMか? なら、」 『感応通信網 解除  電波通信に切り替える』



基本的に作戦行動中は感応通信網を使用するが、もちろんそれに対する妨害策も存在する そんな時は単純なことながら電波通信を使えば問題無し!



「各員に通達! 護衛対象はドームの中で守り切れ   イケるか!?」



先ほどはいつもの護衛任務に習って司令を出したが、今回はヘビーが出てくるのだと思い出し突然に作戦を変更する

流石に街中でのヘビー同士の戦闘はマズイ



「「「了解!」」」   それにこうもあっさり答えるのだからユウも、



(流石だ!)と感心しつつ 「フンっ!」 ズバッ!


ガラガラガラガラ


ドームにいかにも入ってくださいという穴を開け自分はドームの外枠を走る



もちろん 穴の中には大量の対人、対ライン用爆薬系トラップをこれでもかと敷き詰めておいた



「あれで、引っかかってくれよぉ〜 」 ピピッ『各員、どうや?』




『はい  外のローライン級はあらかた補足し現在マシロと連携して、地下駐車場にて交戦中です』



『こちらも、ガルドと連携中です』



『こちらは、少し手間取ってます 流石にこちらの誘い通りにはきません  この際、ドーム外でなるべく近くで撃破します』



『いや、ハイラインは時間をかけろ ヘビーを呼ぶために使う  マニュルは!?』



『こちら護衛   護衛対象は落ち着いていて問題なし  只今は地下道で一時的にとどまってる』



『了解。  各員、そのまま続けろ とにかくハイラインがゆっくり倒されるのを待つんや』



『俺はカンプデザインドを探し、処理でき次第合流する

ヘビーはドーム内で使う Cの2地点に穴開けたからその反対にマニュルを置いとけ  どこからくるかわからんいじょう、そっちに行くまでに転送陣を貼りながら行くからそれ使ってくれ』




『了解』 ザザザザッッ ピーーーー



「所長さんはどうするって?」



「うん、 所長は遊撃枠 とりあえず移動してちょっと待ってから所長と合流」



マニュルはまだ落ち着いている 




場面は戻りユウ



「そろそろマニュル 近いか?  おおっと!」



シュゥゥゥ ギーーーバチンッ!!!   扉が吹き飛ぶ



「えぇぇ なんでぇ?」



ぬぅうっ と出てくる人影  手にはスパッド 大型の防具を付け 着ているパーカーは質感的に特殊戦闘用強化繊維で編まれている



「カンプデザインドかぁ?  ランクは?」 とユウが聞いてみると



キキキキキ ヴヴォン!  ピクっと少し反応したのちスパッドを起動させたので、


グググッ ブチッ

バッ バシュッゥゥゥ   ユウがどこからか太刀を取り出し切りこみ敵カンプデザインドにスパッドで受け止められる



続けて グゥゥゥ プツンッ   シュッ!  ともう一本、短刀を取り出し脇腹を斬りつける 



ブシュッ!  バッ! バッ!  少しダメージを与え、二人とも飛び退く ピピュッ  サクッサクッ  飛び退きながらユウが投げていたナイフが着地と同時に右足先に刺さり出血し、少し体幹がぐらつく



「まぁ、答えるわけないよなあ、、、 とりあえずもう一回聞いとくぞお  」



ガチィインッ!! キャキャッ キッン! 斬撃を受け流しつつ話す



「お前の、名前 所属 ランク 目的ぃ  話せよぉ、、、おりゃあっ!!」



ズバーーッッ!!



ユウが考える(まずいな それなりに強い、流石は純粋なカンプか、、、そうか!)



ザクッ クルッ   スタタタタタタタ 突如ユウが反転して走り去る



「逃げるんだあよお!  そして見よっっ!!」



ペカー  「!! グゥッ!」 バッ!



次の瞬間ユウの背中がひかり出したのを見て飛び退く まさか背中に起爆札で細工しているとは思わず、恐らく術式が仕込まれた光をしっかりと見てしまいそうになり咄嗟にスパッドを振るう

スッピュッ! グニャァ〜ババババババッッッッ!!!

術の光が曲がる エネルギーガンを目視してから避けるカンプデザインドにとって、通常の光より数%遅い術を切り落とすことは容易い



「掛かったぞ!」  ユウが走りつつ小声で言う



「切ったぞっ、、、何をしていた! 俺は!? クゥゥッ!!」



術を切った後何故か一瞬立ち止まってしまい慌てて走り出す

そして腕の大型のクリスタルの入ったガントレットに呼びかける



「行くぞ グロービス!」  



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シュパッ!  とユウが移動術式でドームの屋根部分の骨組みに移動し通信する



「セナ!」 「はい 」 「ハイラインは!?」「そろそろです まだ持たせますか?」 「いや、いい もう終わらせろ」 「了解です」 「もう少しすればわかるはず」

「ええっ!? まさかあの術使ったんですか?」「そう じゃないとこっちも使えないやろ?  まぁまぁ、これで向こうが使ってこなかったら別のやつ探すまでやし 流石にフィーチャーを直接、というほど向こうも馬鹿じゃ、、、」



バーービュゥワッッッ!!!(転送)  ズドンッ!(着地)ガラガラガラガラ

シュゥゥオンッ! シュゥゥオンッ!! シュゥゥオンッ!!!  ボボッ!  キュゥゥゥキュゥゥゥキュゥゥゥ カチカチカチ ググッ ズモモモモモモモ!!!!



「、、、ンッフフフフフ  バカやったみたいやな!」



「はぁ、一応ききます なんで嬉しそうなんです?」



「そりゃあ ねえ?   メカ同士の戦闘は、やっぱり最初は派手じゃねぇとなあ!!」



「あっ、ついでにハイラインは撃破しちゃってね?」



「はいっ!」



「さあ! 俺も行くか!!  ピピッ  ドームに回してくれ すぐに戦闘をはじめる! お前も乗ってだぞ!?」




「了解 主人殿」



ピュッ トスッ

そしてドームの中央に転送術式を仕込んだクナイを投げ刺し、展開された転送陣(見えない)のそばに立つ



ピピッ「到着しました」 「結構」



ドドドド ビュヴヴヴヴンッ!! ドスンッ




空中にできた裂け目のようなものをこじ開けながら、特態所代106支部の最高戦力が出現する 

ユウが飛び乗りコックピットのハッチが閉じる



「よし、ルース  いや、ルバート=コーラス 接続開始 」カチッ ググッ 



首元、腰、脊髄を局所的に覆うようにアダプターを差し込みメカニカルリフレクセスメーカー(MLM)を介し騎体とETIP(エフェクターインタープレイ)両方と接続しシステムを起動する



ルース改めルバート=コーラスが起動を知らせる



ピピッ パッパッ ピーーーーンッ

「デトネーションハイパーメタルジェネレーター インナーカルティック 二型 正規搭載型最終モデル 烈 1871 ルバート=コーラス 起動します 」



先程の敵騎体「グロービス」のあからさまに燃料を入れて動く機械ですよと言われているような起動音とは明らかに違い、重苦しい駆動音と何かが凄まじい速さで回転する音がなった後 音を聞くだけで切り裂かれるのではと思わせるほどの高音が鳴り響く とてもマシンの出す音とは思えない



ドバババババ ギュビュュュンッッ カチッ カチッ ズズンッ ギュゥゥゥンッッンンンン 、、、   カチンッ!!  

カチッ キーーーキーーー キャアアアアアア!!! キィィィィィィィィ キャアアアアアア イイイイイイイ!!!!!



「起動、完了しました」  

ちなみに出現から起動までの時間、2秒



「んっ  じゃあ程々にやるか」



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一方敵側


『起動完了しました』 「よし モーフィングパターンは通常に固定しろ  スパッド出力はは60% 、後は調整しろ」

『承知いたしました マスター』


「では参る!」 ピピピッ「待て!」



まさに今出発しようとしていた矢先静止が入り動きを止める



「なんだ!、、、はっ、何故? 私はグロービスを!?  まさかあ!!」



「まさか!  掛けられたなあ!? チュノオ 貴様あ!!  わかっているのか!  グロービスはお前の騎体であってお前の騎体ではないのだぞ!」 「!!、、、承知しております!  ですが!!」 「ああそうとも 出してしまったのなら仕方ない   しかし!しくじるなよ?」



「我が名にかけて!!、、、クソッ」



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ユウ視点



「主人殿 敵騎体の照合 完了です」 



「おう 読み上げろ」



「ハイ  剛355型 スイング関節式重突撃騎 グロービス です  起動音からエンジンが多少強力ですがそれだけです  型番と装備からして、A=ラント国所属、ディッシュ=ボウ特務機動騎士団です」



「ンッ  まっ、いっか とりあえずこっちは(バッグにある組織力が)デカい  やっちまうぞぉ」   


「戦闘コード、認証しました  二次ロック解除 戦闘モードへ移行します」


「あっ、 ピピッ  セナ 終わったか?」「はいっ 今マニュル様の所です  歩兵部隊に対処します」 「ンッ  完璧」



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セナ視点



ズガガガガガガッッッ  イヤヨウ! シニタクナアイ‼︎ カキンカキンッキンッキンッキンッキンッ  ドリャア ネエエエエエエ



銃声にマニュルの叫び声をオマケに付けてセナがスパッドで銃弾を切り落とす



「フェーダちゃん!  ついでにマニュルさんとタカハシさん? 無事ですか?」



「んっ!」 「、、、オマケ、ですか  いえっ!私はスルガです…」



(ちなみにスパッドは5キロ越えである)



「、、、移動しますよ」

(マニュルの狼狽える声書くのめんどいのでこれからは!!!で代用)

「!!!」 「マニュル様!」 「!!、、、あっ、あぁ」 「、、、スルガさんのは 聞こえるみたいですね 」


「もう依頼も終盤です  聞いておきますよ?」



「、、、なんのことぉ?」 「所長に、聞かれてたじゃないですか 最初」  「あぁ ね」



この間にも歩兵部隊をセナが処理している ユウの仕掛けた爆薬でボロボロになっているはずだがどうやら義体化兵や戦闘用レイヤーヒューマンのようでしぶとく向かってきている




これにより!セナとマニュルが話す尺を稼いでくれている!!!



スルガにより少し落ち着きを取り戻したマニュルがまだ少し狼狽えながら答える


「、、、死ぬとか生きてるとか、はっきり言って関係ないわ  私の歌を聴きたい 聴きにきてくれた人たちに歌った  それだけよ 金払いが良い方を選ぶのも、そこで稼いでおけば、後からいつでも他のところにもいけるから…それだけ、、、」



「だから、私は死にたくないの!!  ファンがいて、客が来るなら歌いたいのよ!  それが良いのよ!!!」




「わかりました マニュル様    それはあなたの能力に由来するものだと考えたことは?」



「無いと思う?  でも能力はあるのよ!? だからこそ、頑張ってきたのよ!  だからっ! 死にたくないのよ!!!」



「改めて、お願い!  必ず守って!!」



なんか情熱的なことを言われるがいつもの風、というよりもさらに冷めた風にセナが返す



「、、、フーン まぁもとよりそのつもりです なんといっても、依頼ですから?」

(まだ後のことに目が向けられていない? それとも意図的に?   わからん! まぁ依頼ならいっかぁ)



「フェーダちゃん!」  ススッ シャシャシャッッ


「Oぉkぇ〜」


フェーダがセナのフォローに入り一瞬で敵を細切れにする



「まっ、とにかく」 「はい やはりこれも依頼。ですので」



と二人で気合を入れ直し、その瞬間思いついた作をセナがマニュルに話す



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視点はユウに戻り



スピーカーで敵に話しかけるが、機体が音速以上で動くためうまく伝わらない



「、、、ルバート=コーラス  やつの通信、割り込めるか?」



『はい、 ピンッパーーッ 主人殿 可能です』



「やれ」  ビッビッピーーーー



『マスター 通信が入りました 恐らく敵側からの割り込みです』



「、、、切れ!」  



ピーッ  ピピィ 『不能です』


「なんだとぉ!!」   ザザザ 「まぁまぁ  自分のETIPには優しくなあ?」  「貴様か、、、!貴様が術を!?」 「そうだが?   それはそうと、まさかお前のETIPって物品型やな?  やっぱあかんなぁ  乱暴に扱ったら後々のメンテナンス費がかさむばっかりやぞ?」

「黙れぇ、貴様の! 貴様の気にす、るぅ  ことでは、、、ない」

ここから作画が段々とSDキャラになっていきチュノオが涙目になっていく

「あれぇ やっぱり いろいろかさんでるじゃないの?」

「ハァ…実のところそうなんだよなぁ  こないだも戦闘後のメンテで表面が欠けちゃってて仕事二、三回分パアになって、、、やっぱりちょっと高くても生物型の方が後々安いもんなのかなぁ、、、」

「そうそう  俺も人間タイプの生物型使っとるけど、やっぱり向こうから身振り手振りで意識表示してくれるのは何かと良いぞ?  それに生物相手だと、こっちも扱いが自然と丁寧になるからな  まぁ そうは言っても金は掛かるが」

「俺も、変えよっかな?」




その瞬間!等身が戻る!!



バンッ!! 『主人殿 モニターは叩かないでください』



「スマンスマン 、、、ええっと   甘ったれるな!!  そんな考えだからロクに扱ってやれてないお前はあ!   いいか!?  なら考えてみろ 今までの戦闘経験の記録はどうなる? 何度ソイツの演算処理に助けられた? 相性だって、あるだろ?  それにぃ!、いくら物品型とはいえ今まで会話してきたやつを捨てるのか!?」



「ハッ、、、ぐぅうう  染みたゼェ」 「あぁ そう思えるか? もう 」  「もちろんだ!」  



「そうかっ! ならもう時間稼ぎもやめにしてやっちまいますか!!」



「なっ!?」「でゃああああ!!」   とチュノオのセリフのワイプを押し除け切りかかる



数回の打ち合いの後 



「貴様ぁ よく! コケにする!!!  ♪♪♪♪♪ それになんだこの歌は!?」 



「俺は知らんね!  ソコッ!」   キンっ! ギャッギャッ



「グロービス!  ♪♪♪ 音声処理 曲を♪♪♪遮断しろ!!」

『承知いたしました マスター』



「ンッフフフ  ヤツは切ったか?」

『はい そのようです』 

「割り込みは?」

『以前持続中です』 「結構」


ググッ ヴォンッ!  ビュグゥゥン バシッイイ!!!バババババッッッ

グロービスがスパッドで上方から切り下ろしルバート=コーラスはスパイドを電磁フィールドでまとい頭上で横に構へスパッドと干渉させ軌道を逸らした後、飛び退こうとしたグロービスにスパイドの握る位置をズラし『ナガレ』を加える


シュルッゥ キャッア!!  



「ナァ!  迫り来る!!」  ピイィィッ……スパッ



「深くに!?」  「いや浅い!!」  ドボボッ ブシュッ シュシュッゥゥゥゥ  



ユウの予想より浅く増加装甲維持用の動力パイプを切ったにとどまった



「(補助メタルがない)ならっ! 増加装甲パージ!」

「承知いたしました マスター」

「よぉし いけるなあ!?  グロービス!」



「あらっ?  装甲とっちまいやがった  もうフレーム丸わかりやないの」とユウが考えているときちょうどグロービスの方にも通信が入っており、



『何をしているチュノオ!  それでは所属がバレるのがわからんのか!?』  



「だがヤツには勝たせてもらう!!!」



『なっ! まっ、待たんか!!』と言われるが全くいにかいする様子がない



ブブッン ギンッ! ジュゴオオオ!!



重量が下がったが補助エネルギーも共に失っているので実質元と変わらない速度で切り込んだのに関わらず、何故かユウのルバートコーラスに当たる

すぐさま飛び退き、小型レーザーで目眩ししながら体勢を整える



「オゥっ  打ち込みのデータをくれ! 破損箇所は!?」

ピピッ『はい 主人殿  敵スピード、パワーが理論値を超えています  ピィィィィ 腕部、G3に損傷 第一次装甲に60%の損傷  次回からエルボカーブの使用を推奨します 』

「敵ジョイント部 ヒートアシストのデータは!?」

パッパッ『解析困難  オーバーヒートしています』

「つまり『本気』で向かってくるってこった!」



そこまで気づいて(これは危ういか?)と気合を込め



「スパークベース起動  パーツオープナー準備!」 


ヴォヴオン!! ヴンッ ヴォンッ ヴォンッ ヴォンッ



スパークベースが作用しない刀身の後ろ側を指で挟みホシナガレの構えを取る



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「♪♪♪♪♪♪♪♪ 〜〜〜〜〜〜」  


マニュルがノリノリで歌うのを聞いて「フフンッ♪」とセナが満足そうに鼻を鳴らす



歌い終わり「ありがとおお!!」とマニュルが言えば、敵兵が歓声を上げる



「良し! 場所変えますよ」 「ええ!」



その場をマニュル達が離れたのを見て敵兵の意識が正常に戻りまた追跡を開始する

そして場所を変えまた歌い、雪だるま的な具合に引きつれる敵の量を増やしていく

時に遠距離からの攻撃が来た場合はマニュルのパフォーマンスやセナの魔術による介入を駆使して観客(敵兵)にバリケードを作らせガードする ファン(敵兵)を盾に使うということに最初こそ難色を示したもののそれが自分の能力によるれっきとした自身の身を守る行為だと次第に納得しはりきって行動している、というよりセナにはマニュルがだんだんと歌による行動誘導を楽しむような素振りを見せ出したことが気になった

べつにこれぐらいの歩兵ならインレ一人で十分である 仮にカンプデザインドが相手でも、それこそセナが加わったこの状況で負けることはほぼないのだ つまりこの作戦はセナがマニュルに少し成長の刺激を与えようとした、ちょっとしたオセッカイだったのだがここまでの変わり様に若干引いていると同時に、微々たる責任感を感じているのだ

しかし本当に微々たるものである



そして流れにのって事態をド派手にしてやろうと、すっかりハイラインと繋がったことによる性格の変化を修正することを忘れ通信を入れる



「所長! 」 「えっ!? 今取り込み中!」 「面白いことですよ!!」 「じゃあ聞くわ」 「〜〜〜〜〜〜」

「おおっほ♪ それはおもろいな!」 「ではそのように」



その通信を聞き、すぐさまホシナガレの構えを解き単純な横薙ぎでパーツオープナーを使い戦闘を長引かせる



ビイイイイイインッッッッ パカッ



(!パーツオープナーの音!?  所長っ 長引かせる気あるんですか!?)「なるべく、急ぎますよ?」



とマニュルに言う



「?  えぇ、、、?」



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一方その頃、押し寄せるラインの大群にすっかり囲まれつつどうにか特務型ボーダーライン「ライトスマッシュ」にたどり着き、陣取っていた地下駐車場は爆破し地上へ出る


その後、普通に強い敵ライン部隊とガチ戦闘を行いましたとさ



そして視点はユウに戻る



現在は、基本的に一瞬でカタがつくはずのヘビー戦があまりに長引いていることにチュノオが相当焦り、オーバーヒートもお構いなしに攻撃を続けている

しかしどちらかといえば、戦闘を長引かせようと手を抜いているユウよりも損傷が大きい それもありさらに焦っている



「さてっ、そろそろかなぁ?」  ピピッ『はい 到着しました!』



「ぬっう!?………マニュル、ラッツが!?」



チュノオが気づくとユウの背後の方からドーム内へマニュルらしきものが走ってきている

とっくにユウの掛けた術も解けているので流石に任務を優先することに決め、「グロービス! トラクタービームスタンバイ!!」と捕獲兵装を準備しようとするが「ハッ!!」とさらに気づく



(まずはヤツをどうにか!!) と考える

まだマニュルが戦闘を行っている中央に来るまでには時間がある それまでに、一瞬よろけさせるだけでもユウから時間と隙を得たいと考えているのだ

ちなみに、なぜわざわざマニュルがここに走ってきているかなど考える暇や余裕はチュノオにはない



ピッピピンッ トラクタービームを一旦切り、



「グロービス、すまぁ、いや  許しはこわん しっかりメンテ受けてこい!   スパッド、他機関全て出力全開!!」「承知いたしました マスター…ありがとうございます」

「!!、、、グロービス!?    だが!!!」



これまで聞いたことのなかったグロービスからの感謝の言葉に一瞬戸惑ったが、それでも、というよりだからこそ引けないと命令の取り消しは行わない



ビュジュジュジュゥゥゥゥ!!!  ボボッウウッ! ボボッウウッ!  ススススススススス



チュノオの掛け声とともにスパッドの刀身の長さ、太さが倍ほどになりあまりにも熱に排熱機構と関節スライド部から炎が吹き出す




「来るか!!」「イカせてもらう!!!」 



スピーカー越しにお互い意思確認し踏み込む



ドキャッ!  ユウがグロービスの側面を攻撃するそぶりを見せたことで焦り、縦の攻撃に意識を持っていく作戦に見事にハマりチュノオは上段から決死の一撃を放つ

しかし!

もとより予想されていた攻撃は、やはり回避されるのが理!!



ススッゥ スカッ! ズガガガガガガッッッ!!!



横スライド回避したルバートコーラスの横をグロービスの斬撃が飛ぶ

そしてその先にはマニュルが引き付けてきていた敵兵(チュノオにとっては味方兵)の方に真っ直ぐに飛ぶ



「!! しぃまったあ!!  か、回避を!!」



ズゴオオオオオンッッッッ!!!



「貴様! よくやらせた、?  なっ、なあ??  ゔぅぐぅ、、、」



「もう切ったぞ? 、、、別に良いよな?」

『さぁ? いいんじゃないですか?』

「ならいっか!  んっ?」



メタルが流出するのはマズイため駆動部の重要な部分のみ破壊しコックピットに損傷を与えただけでほったらかしにしていたグロービスのコックピットからチュノオが放出される



「ガハッ ッッ!グロービスなぜ!? 逃げろかあ!?!!」

ビビビッ ピィィィパッ!パッ!『はい その通りでございます……』 

「ならばお前も! 連れて行く!!」

『承知いたしました』

ググググッッ ギギギ…バカッ! ズブ、ズブブブ ブチチチチ  キッキッ キッ キュゥゥー パカッ 


グロービスが記憶回路、MLMの集積パーツを丸ごと引き抜く と言っても五十センチ四方ほどの箱である

それを受け取りすぐさま立ち去ろうとするチュノオをユウが呼び止める



「待ちな  あっ、いや 別にお前をこのまま殺そうってわけじゃあないわ  お前、A=ラント国所属 ディッシュ=ボウ特務機動騎士団の騎士だろぉ?」


「なっ! どうやって…」「まぁ そこはな? そこで、お前を匿うと思うんやけど、、、どうする?」



「、、、だが、俺はディッシュ=ボウ特務機ど…」「関係ない その、グロービスのこと考えてみろ」



「!!……すまん 頼む」


そこまで言われ、このまま帰ったらどうなるか そしてここまで推測ってきた相手の提案を無碍にするよも得策ではない 何よりグロービスはもう簡単に捨てられる関係ではないのだ



「、、、しかし、匿うとは? 確保ではなく」



「ん? そのまんまの意味やよ  お前みたいな後々処理されそうなヤツを一旦助けてある程度性格やらを見て、大丈夫そうなら良いし ヤバそうなら俺らで処理する そんだけ」



「少し傲慢だな…」 「まっ、要するにスカウトよスカウト」



「なら、納得、 か?」



「じゃっ とりあえず話進めるぞ   今回の目的は?」



「え? 今聞くのか……確かに なら話そう 今回の任務はマニュル=ラッツの捕獲だ どうやらデトネーターとしての知識を持っているというのをウチが掴んだそうで、、、、し、新型ラインの製造に関わるためヘビーハイラインを運用する部隊、それも裏方係の私たちに話が回ってきた」



「お前以外にヘビーは?」「いや、、、何故!?」 「やっぱり 一騎な訳、ないよな?  つまりお前はやっぱり完全な使い捨て感覚やったってこったな」 「いや! 隊長は良き人だった!! 他は別にいいがそれは譲れん!」

「じゃあ他のやつか」「そうだ ハメられたようだ」



「で? 他の機体に心当たりは? まぁこういう時は大体高高度掃討型やろけど、お前らの部隊におるか?」



「……あっ、あぁ いるぞ いるぞ!!  疾 255 高高度飛行型対地掃討用ヘビーハイライン ウォール=ローラーが四騎、同時作戦なら一騎はいるはずだ、、、!!」  



「マズイな、、、ピーピピッ 各員 聞いていたな!? データはルバートコーラスが送る  敵騎体は打つまでは時間がかかる機種やから焦りすぎるな こっちで跳ね返してみるが念のため出来る限り離れておくように」



と、状況と作戦?を言い切る これにより落ち着こうという意図もある



「じゃあ、えぇと 名前なんだったか?」 「チュノオだ」 「ならチュノオ グロービスの記憶回路をルバートコーラスに繋げる ETIPを、借り受けたいんやけど ええか?」「あの問答の直後にか!?………仕方あるまい」

「そっちのデータとリンクして敵を探る  あっ、そこのコンソールにセットしてくれ」 



カチャッ キキキッ 「ほうほうほう、ええやん  敵光学迷彩中和完了っと 後は、、、あっそうや チュノオ!  お前、性能引き出し切れてなかったな?」



「なっ! それはどういう、、、」



「それは後!  さぁ! きたぞぅ  ルバートコーラス スパークベース、パーツオープナーの出力60%解放 鞘 収縮率220% 偏光、屈折術式全開 イケるな!?」

カチャッ! ピピッ キンッッ  『可能です  11秒後に開始します、、、さぁ やっちまいましょう』



「!!、、、まさか切り返すつもりか!?」



「そうそう! やからお前も逃げたほうがええぞぉ?、、、  やっぱムリやは もう発射されたぞ!!」



ヴヴヴババッ!ヴヴ ババッヴヴヴヴヴヴヴババッヴヴヴヴ  ビュガガガガーーーーッッッッッッ!!!!!!


おおよそデトネーション級魔法に相当する威力を発揮する昔ながらの見た目の雰囲気の怪光線を、とてつもなく極太にしたものがせまる

しかし、純粋なレーザーではない(なおレーザーと呼ぶ)ためカンプデザインドであるユウやチュノオにはハッキリ目視できる と言っても普段は止められるものではない

そう ヘビーハイラインに乗っていなければの話では、である



ユウのルバート=コーラスがレーザーの真下に飛び込み、居合を構える



スッ ググッ!ヴヴンッ 「フンっ!!」



カチンッ!  限界ギリギリまで収縮した鞘から刀身を引き抜く そして、今回は切るのではなく逸らす というより跳ね返すのが目的なので半円状に振り上げる


ススススッッッ!!  ビュババッッッ!!!!ヴヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥゥゥンンンンンンンッッッッッ


レーザーが斬撃の軌道に沿り、発射方向とは少し違う方向へ飛んでいく


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ウォール=ローラー内部 コックピットにて


ビッ パッ!『発射完了しました』

「よし 、、、悪く思わんでくれよ?  帰投する 」


『着弾しました』

「んっ」


『訂正 目標よりエネルギー弾 こちらへ軌道を変更 本機への着弾まで5秒』



「なあっ!?  回避行動!!  急げえ!!!」

『了解です しかし飛行機能中枢に大規模被害が予想されるため確実に墜落します』

「転送は!!」

『不可能です 基地から発射基地までの移動にエネル……』



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チュドオオオオオンッッッッッ!!!!



安っぽい爆発効果音を聞きながら空を見上げつつ話す



「フンっ♪  まさか重殲滅戦略級を、一撃か いくらレーザーの殲滅に専念したヤツといっても、、、」



「それが、特異事態対策事務所第106支部ってわけよ!!、、、  さっ、帰る準備すっぞお」



「、、、私も、か?」



「当然やよなぁ  明日の飯当番はお前じゃないからゆっくり寝てくれや、、、事情聴取もあるしなっ!」



「ハハハッ………まぁ こうなってしまっては、グロービスと共に行けるだけいいか」



それを聞き(わかってきたなぁ あいつも  あっ、飯の買い出し行かな) とユウは思う



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回で Rich Tongus Girl (多くの舌を持つ女)編 完結


どうぞお楽しみに!!

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特態所代0106支部「課長、飯は?」「依頼終わってからです」 粗製フィーチャー @morinosu

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