三度の願い
銀煤竹
三度の願い
最初は大好きなペットだった。
ペットの死があまりにも悲しくて私は三度、ペットが生き返ることを願った。
ペットは蘇った。しかし、墓の中にある死体は残ったままだった。
他の同種のペットなら、とっくに寿命も過ぎているだろうに、今でも元気に過ごしている。
次は死んだ盲目の恋人を三度願った。
恋人は蘇った。視力の喪失が後天的なものだったためか、恋人の視力は治り、年齢も若々しくなっているように見える。
しばらくすると、恋人は浮気をし、その浮気相手の恋人の一人に浮気相手とともに殺されてしまった。
悲しかったが、もう恋人を蘇らせる気にはなれなかった。
三度目はまだ死んでもいない私自身を三度願った。
私がもう一人増えた。二人の私は記憶を共有し、別々に行動することが出来る。とても不思議な感覚だ。
私の一人が寿命を迎えたが、もう一人の私は年を取ることも病気になることもなく生き続けている。
それ以降、私は好き放題に三度願った。
絶滅した生物を願い、既に亡くなった作家や画家を願い、ある哲学者によって死を決定づけられた神を願った。
しかし、神が蘇ることはなかった。
三度の願い 銀煤竹 @Ginsusudake
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