野栗さんは倫理の深い部分をたぬきにのせて書かれています。この物語はコメディっぽくライトで読み易い内容です。でもやはり深く書き込まれています。
農業高校でタバコの葉を栽培していて、彼らは野球部で、地元は四国で、たった3000字足らずの中にこれでもかとキャラクターの個性が書かれています。そういう豊かなキャラクター性が自然と物語を先導して次に何を語るかを導いています。
こういうライトさが私は好きです。単にテーマが柔らかく、文体が簡単で、となんでも浅くするのではなくて、ライトな分何に重量を持たせるのか?読者を手ぶらで返さずちゃんと持ち帰ってもらおうという感覚が好きです。
おすすめです。
犬「京阪神ってなんでしょう(序盤でつまづいてる)」
鳥「いやそこは深く読まなくていいんじゃない? ていねいに読んで疲れる読書下手と似た末路を辿るぞ」
兎「あらすじの時点でつまずくな。本編は訛りなんだゾ」
犬「この作品は、頑張って目で追うとかえってこんがらがる人も現れるかもしれせん」
鳥「リズムを掴んだり、知っている単語を拾うように読み進めることを勧めます」
兎「たぬきが人間の学校でタバコ畑のヤニを収穫……フィクションですよね?(混乱中)」
犬「訛りのせいで実際に起きた昔の出来事をベースにしているのかと錯覚します」
鳥「それにこの狸、フィクション感がない。妙に、生きているようなリアリティを感じる」
兎「狸好きにオススメです」