19話 夏だ!水着だ!海水浴だ!
「眩しい太陽だぜ」
むき出しの肌に照り付ける真っ赤な太陽をサングラス越しに眺めながらそう呟いた俺は、傍らに置いたドリンクを手に取り少し口に含んだ。
ふと視線を下にやると、そこには仲睦まじく水遊びをする女の子が三人。
ここは太平洋の離島。
世間では無人島と呼ばれているここは、何を隠そう俺の友達である瑞希の父親の持ち物である。
そして、俺は今、浜辺でビーチパラソルの下で優雅に椅子に寝転がり、美少女の水着を堪能していた。
どうしてこんなことになっているのかって?
それは、数時間前まで遡ることになる。
花奈と二人で過ごし始めて4日が経過したころ、それは突然現れた。
いつものように各々自由の時間を過ごしていた就寝前、突然家のインターフォンがなった。
「天斗、今から無人島行かない?」
「……は?」
あまりにも突然の訪問と発言に、俺の脳みそは理解の限界を超えていた。
突然の来客に、部屋で過ごしていた花奈も玄関へと現れた。
「瑞希さん?」
「花奈もいたんだ、ならちょうど良かった。二人とも、無人島行かない?」
「え?」
あまりにも突然すぎたからだろう、あの花奈でさえ理解が追いついていなかった。
そんな様子を見てか、ようやく意味が分かっていない様子に気が付いた瑞希は、少し謝った後、詳しく説明をしてくれた。
何でも、彼女の父親の持っている無人島に毎年行っているのだが、由夢ちゃんが俺に会いたがっていることや、夏休みに遊ぶ約束をしていなかったことも相まって俺と花奈を誘っていくことにしたようだ。
そして、そんな大事なことを端折って、さも当然かのように無人島に行こうと誘ってきたのだ。
うん、家に行ったときから思ってたけど、こいつの家クソほど金持ちだな。
「無人島、面白そうですね」
「でしょ!天斗もどう?」
「まぁ、別に断る理由はないしな」
「じゃぁ決まりだね!今日の夜出発するからすぐ準備してね!」
そう言って彼女はパタンと扉を閉めて帰っていった。
取り残された俺たちは、またまた理解に苦しみ、脳の処理が追いついた途端慌てて準備を始めた。
と言った感じで今に至る。
うん、急展開過ぎてさすがにビビる。
「天斗―。一緒に海入ろうよー!」
ドリンク片手にそんな回想に浸っていると、瑞希が大出を振って俺のことを呼んだ。
俺はドリンクをそっと横に置き、重い体を起こした。
「今行くー」
俺はそう言って、水着美少女たちの元へと向かった。
瑞希の水着は、ビキニなのになぜか下品に見えないと言うかエロくないと言うか、とにかく目のやり場に困らない青色の水着に、ジーンズのホットパンツだった。
まぁ、貧……おっと、これ以上は言っちゃまずいか。
夢ちゃんは、可愛らしいフリルの着いたピンク色の水着で、腰にはばっちり浮き輪を装着していた。
うん、可愛い。
そして、皆の憧れの的の花奈の水着は、ビキニではあるものの、下はスカートのような感じで上もフリルの着いた露出の控えめな、それでいてくびれはしっかりと見せつけているまさに素晴らしい白色の水着だった。
はい、優勝です。
とまぁこんな感じで間近で水着を堪能していると、スッと後ろから瑞希が近づいてきた。
「あんまりじろじろ見るなー、バレてるぞー」
「べ、別にじろじろなんて……」
俺は目を泳がせながらそう言った。
瑞希はそんな俺を見て呆れつつ、近くに置いてあったボールを手に取った。
「まぁいいや、ほら、早く遊ぼうよ」
「お、おう」
「バレーしゅる!」
「お、良いねバレー」
「私もバレーは得意ですよ」
「じゃぁ行くよーそれー」
そう言って、俺たちは海の浅瀬でバレーを始めた。
バレーを始めてさっそく公開することになる。
水着であったことに。
「それ!」
そう言って、ボールを揺らせながらボールをトスする花奈。
寝不足でボールが3つに分裂しているのかと思ったら、そのうちの2つは彼女のモノであった。
そうである。
彼女の立派な双丘は、少し動くだけで上下に激しく揺れるのだ。
普段もそれなりに動きはあるのだが、水着という防御力の弱さが彼女のボールを解き放とうとしている。
いやほんと、ポロリはやめてくれよマジで。
「えーい!」
そう言って、返した由夢ちゃんは、何ともまぁ可愛いとしか言いようがない。
無邪気にボールを追いかける姿は、本当に愛くるしい。
「えい!」
そう言ってなんの揺れもなくボールを返したのは言うまでもなく瑞希だった。
うん、なんと言うか、安心感があるな、ほんと。
と、俺がそんな風にまたしても吟味していると、俺にボールが回ってきた。
「天斗―」
「了解!」
俺はそう言って、呼ばれた瑞希の方にトスを上げた。
すると、彼女は勢いよく飛び上がり、ボールを思いっきり叩きつけた。
「え?」
そして、そのボールは見事に俺の顔面にクリーンヒットした。
「ごっめーん」
そう言って駆け寄ってきた瑞希はまたしても俺の耳元でささやいた。
「貧乳で悪かったね」
「ずびばぜんでした」
「ふふっ」
とても怖い笑顔をみて、俺は二度と失礼なことは考えないようにしようと思った。
「疲れたー」
「だな」
日が傾き、空が茜色に染まり始めた七時過ぎ。
俺は疲れて眠ってしまった由夢ちゃんをおんぶして、宿に向かっていた。
結局バレーをしたり、走り回ったりとかなりハードに運動をしたのだが、由夢ちゃんはずっと楽しそうにしていたので良かった。
「なんだか小学校の頃に戻ったみたいだった」
「だね。私も久しぶりにはしゃいだかも」
「私もですね」
俺たちは三人でそんな話をしながら歩いた。
俺の前に二人が隣り合わせで仲良く歩いていて、俺はその後ろをゆっくりと歩く。
半年前には想像できなかった光景に、俺は少しだけ心が温まった。
「今日の夜ご飯はBBQにしよっか」
「おーそれはいいな」
「楽しみですね」
そんな談話をして、俺たちは歩いて行くのだった。
学校で二番目に人気な女友達は、俺の一番になりたいらしい 天川希望 @Hazukin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。学校で二番目に人気な女友達は、俺の一番になりたいらしいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます