ずっと… 〜えりが好きだった(後編)
湊とえりは同棲中だ。
朝食は、毎日、湊が作る。
今日も、えりより少しだけ早く起きて、手際よく料理をする。
「いい匂い…」
えりが、フラフラとやって来て、湊の背中にピタッとくっつく。
「おはよ」
「おはよー」
「フレンチトーストだ」
「うん。えり好きでしょ?」
「うん」
湊は機嫌がいい。
昨日の夜に、湊が長年抱えてた、自分はパブロよりも、えりに愛されていないという不安を、ようやく払拭することができたからだ。
えりは、自分でも気付かない心の奥底に、湊への思いをずっと前から抱えていた。
それを昨日、湊に告白をした。
「美味しい」
2人で、朝食を食べる。
「うん。うまくできた」
2人は、目を合わせて笑う。
「今日、出かけよう?」
「うん、どこ?」
「指輪、買いに行こ」
「え」
「用意しておいた方がいいでしょ」
湊はにっこり笑った。
えりは湊に、前にサラッとプロポーズされていた。
「またサラッと言うね…」
えりは笑った。
「思い立ったが吉日」
「うん。嬉しい」
「でも、してからね」
「…もう、食べてる時に言わないで。味に集中できないじゃん…」
「そっか。じゃ、早く食べよ」
「ゆっくり食べたかった…」
えりは拗ねた。
湊は、えりをじっと見た。
「したい」
「うん…」
「早く食べて」
「…うん…」
「したい」
「フッ。わかったよ」
えりは、早めに食べ進める。
「ご馳走さまでした」
「はい」
2人は食器を下げる。
流しにおいて、水につけておくと、すぐに湊がえりを抱っこして、ベットまで行った。
ゆっくりベットに下ろすとそのまま、キスをして押し倒した。
「えり、美味しい。フレンチトーストの味」
湊とえりの舌が絡み合う。
「うん…」
キスをしながら、お互いの服を脱がせる。
昨日の夜から、2人は激しい。
「…舐めて?」
湊が自分の指をえりの口に入れた。
「ん…」
えりは、ゆっくり湊の指を舐める。
「ん…。いいね…気持ちいい」
「ホント…?」
「ん…」
「違うところも舐めてよ」
「うん」
えりの舌が、湊の胸ををはう。
「あ…」
「ここ好き…?」
「ん、気持ちいい…」
えりは舌の先で、繊細になめた。
湊の体が、ピクンとした。
「えりの舌…ヤバい…」
「もっといっぱい舐めるね」
「俺、もつかな…」
その言葉で、えりの舌はもっと動きをました。
「俺も舐める」
「うん…」
今度は、湊の舌がえりの体をはった。
「ここいじられるの好き?」
「うん…」
「ここは?」
「わかってるくせに、聞かないで…」
「聞きたいんだよ」
湊は、舌を動かしながら、言った。
「そこ…」
「ん?」
「気持ちいい…」
「うん、言えて偉いね」
「子供か…」
「子供はこんな事しないでしょ」
湊は、えりの脇をなめた。
「!そこは嫌っ」
「…」
「嫌って言ってるのにっ」
「…」
「お願いやめて…」
「止めない」
「やっ…」
「指…、入れるね」
「嫌…」
「へー、ホントに?」
湊は、えりの中に、指を入れて動かし始めた。
「あっ…」
「ホントに嫌?」
「意地悪、嫌い」
「へー、ホントに?」
湊の指が激しく動く。
「あぁ…」
「濡れてるよ…?」
「もう、欲しい?」
「欲しい…」
「じゃ。嫌いっていうの撤回してよ」
「好き、湊…。好き…」
「俺もえりが、好きだ…」
「あっ…!」
湊は、えりの中に入った。
「湊…好き…」
「じゃ、謝ってよ」
「ゴメンさない」
「何に謝ってるの?」
「嫌いって言ったから…。あっ…」
「ちゃんと反省してる?」
「あん…。してる…」
湊の動きがだんだん激しくなる。
「あ…湊…。気持ちいい」
更にギアをあげる。
「あぁ…。イクッ」
「まだだよ」
一旦動きを止めた。
「いや…、して…」
「ちゃんと俺の事ねだってよ」
「湊が欲しいよ」
「敬語で」
「湊が欲しいです」
湊は、奥まで進んだ。
「あっ…、湊…」
「ん?」
「もっと…下さい…」
「うん…いいよ」
「もっと…お願いします…」
「うん。あぁ、壊したい」
「壊してください…」
湊も、えりも動きが最高に激しくなった。
「あっ…!」
2人で、一緒にイッた。
「えり、敬語プレイいいね」
湊は、いつも通りそっと優しくえりを抱きしめていた。
「そう…だね」
「興奮した?」
「うん…」
「また、して下さいって言って」
「バカ」
湊は笑った。
「えり、好きだよ…」
湊は抱きしめた手に力を入れた。
「えりも俺のこと好きでしょ?」
「うん。大好き」
「ずっと好きだったんだよね?」
「フッ。そうだよ。ずっと大好きだったよ」
「ずっと一番?」
「一番だよ」
「そっか」
「あははっ。このやり取り昨日から何回目?」
「何度でもいいんだよ」
湊は満足そうに笑っている。
えりも、やっと自分思いが伝わった気がして嬉しかった。
「ね、湊は?」
「ん?」
「いつから好きでいてくれたの?」
えりは意地悪っぽく聞いた。
「…だから中3って、前に言ったじゃん」
湊はさっきとは一転拗ね始めた。
「どこを好きになったの?いや、単純な疑問で」
「…知らないよ」
「し、知らない?」
「…教えない」
「私も不安、あるんだからね…」
「何の?」
「何で、好きでいてくれるのか…」
「…中3から片思いさせといてまだ欲しがるの?」
湊は嫌そうに言った。
「だって…」
えりは子供みたいに、言った。
「…、俺の愛は伝わってないわけ?」
湊は軽いため息をついた。
「伝わってるよ。でも…」
「…面倒さ…」
「め、面倒くさ?」
えりの反応に湊は笑った。
「何で好きって、わかんないの?こんだけ、えりと他の人との差あるのに…」
「腹黒いの見せれるから?」
「素でいられる」
「それだけ?」
「それだけじゃないけど…。俺、人気者だったから、人との付き合いは、多い方だと思うんだけど、えりみたいに自然でいられる人、一人もいなかった」
「それだけ?」
「何だよ、それだけって…。せっかく話してやってんのに」
「ごめん…」
「俺、立場上、家族の前でも、素ではなかったから。春乃が別格だったけど」
「でたよ、シスコン」
えりは笑う。
「でも、俺、春乃育ててたようなもんだから、そんな意地悪い事ばっかり言えないし」
「そうだね…」
「えりと、パブロ君のまえでだけ、本当の素だったんだよ」
「そっか」
「えりと会って、俺の中で革命がおきたの。俺は、一生、周りにいい顔して生きてくもんだと、思っていたから」
「それは、苦しいね」
「その時は苦しいと思ってなかった。それが当たり前だと思っていたから」
「だから。革命」
「じゃ…友達でも良かったんじゃ…」
「友達じゃ足りなかった」
「…」
「えりってさ、自分可愛いのあんまり気づいてないでしょ?」
「え?でも最近可愛くなったとかは、言われる。同窓会でも言われたし…。あー…恥ず」
「それって、最近でしょ?中学生の時」
「え?!すんごい普通の顔してたと思うけど」
「…俺、春乃の顔ずっと見てたこともあって、キレイな顔って結構好きなの」
「あぁ、土屋さん綺麗だもんね」
土屋は湊の元カノだ。
「…そうだけど。今、お前の話なんだけど。変なの持ってくるな」
「変なのって…」
「えりってバランスがいいんだよ」
「ん?」
「顔のパーツのバランス」
「ん?」
「ほらっ、顔に対しての目鼻口の位置が…」「そうなの…?」
「うん。だから、好きまではいかなかったけど、いいなって見てて」
「好きまで、いかないんかい」
「で、あの、図書館で泣いた時あったじゃん」
「あったね…。酷いことを言ってしまった…」
※「腹黒男子は遠恋中の彼女に片思い」(同作者)の図書館編参照
「全然。そん時さ、潤んでる目でこっちがっつり見て」
「ん?そんなことしたっけ?」
「うん。目腫れてないか見てって。あの時、泣いた後だったから、目は潤んでるしクッキリしてるし。あれは…」
「ん?」
「やられた…」
「そんなんで?」
「その時、ワンランク良いパーツが出てきて、それがバランスよく並んで…」
「そんなんで?」
「可愛かった」
えりは赤くなった。
「可愛かった」
「もういいわっ」
「最近、可愛いとか、きれいになったとか言われてるらしいけど、俺はずっと気がついていたんだよ」
「…まさかの、顔…」
「ん?うん」
「湊、顔、褒められるの嫌いなくせに…」「うん。いや。それで言うと、俺、バランス悪いんだわ」
「え?どこが…?」
「言わないけど」
「だから、顔褒められても、違うだろってなっちゃう」
「ふーん…」
「えりは、あんまり言って来ないっていうか、付き合う前は1度たりとも言ってないんじゃないか…?」
「そうだっけ?なんか、腹が黒いのばっかりみてて、顔まで見てなかったかも」
「てな感じのが、何個か繋がって好きになりました。片思い。こんなにモテる俺が」
「モテるは言われてもいいんだ…」
「うん。実際モテるからね」
「さよか」
「報われて良かった」
「うん…。顔かぁ…」
「メインは素でいられる所だからな…。勘違いすんなよ?」
湊が睨んだ。
「わかってるけど、嬉しい」
「勘違いすんなよ?春乃に比べたら雲泥の差なんだから」
「酷くない?」
えりは本気で怒った。
「…気がついていないえりが可愛いんだよ。もう言っちゃったから駄目か…」
「えぇ…。…なんで言っちゃったの…?」
「お前が聞きたがるからだろ」
「…終わった」
「終わってない。それより今好きなのあるから」
「何?」
「俺としてるときのえり」
「え?」
「俺の意地悪な所に興奮してるでしょ?」
「え」
「してる最中、大体言うこときいてくれるしね」
「え…」
「変態な所、好き」
湊はニッコリ笑った。
「プレッシャー…」
「あははっ、怒んないの?」
「え」
「やっぱり変態だね…」
湊は、えりにキスをし始めた…
ずっと好きって言いたかった Nobuyuki @tutiyanobuyuki
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