第2話 探偵コンビ

ぶつかった何かがいた。R.B.ブッコローだった。


「大丈夫ですか?」

 スマホを拾っていた私にブッコローが話しかけてきた。ブッコローはスマホを見て驚いて近づいてきてくれた。


「あっ、スマホが壊れている。ごめんなさい。弁償します。」

 ブッコローがすぐに謝ってくれている。有難い。いや、今はそれよりも急ぎがある。ナオはブッコローのほうをみると、どうやら今から書店で撮影のようで、スタッフの方と一緒にきていた。ナオはブッコローのYouTubeを見るのが好きなので、偶然、撮影現場に来ていたことに嬉しくなった。いやいや、今はそれどころじゃない。


通報してもらわないと・・・


『撮影を止めたくない』

 たしかYouTubeのネタって、そんなにストックなかったような。楽しみのYouTubeを止めたくない。何とか穏便に解決したい。良くみるとスタッフの方が備品を持っている。そこに時間が止まるアンティークメガネを発見した。


「ちょっと失礼します」

 ナオはスタッフのカバンからアンティークメガネをとり、ブッコローにかけ、指をメガネに引っ掛けた。


時間がとまった。


『やっぱり時間とまるんだ』

 ナオは時間が止まる現象を確認した。そして、ナオは急いで書店に戻り、犯人を移動することにした。


≪時が動き出す≫

 レジの女性の後ろには犯人の代わりに掲示用のポールが立っていた。ポールには

“It’s MASIC”のPOP文字。店内には安堵とそして感嘆の声。事件は、いたずら好きの誰かのエンターテイメントとして解決した。


「お疲れ様です」

安堵のタイミングで店内にブッコローが入ってきて撮影が始まった。


 そのころ、犯人は近くの公園のベンチに座っていた。腕にはマジックインキで“見ている、知っている”の文字が何文字も書かれており、そして手元にはセルロースアセテートのアクセサリーが一つあった。


 犯人は泣き崩れた。


その手元のアクセサリーは一つだけ流通の途中で危険な物が交ざって書店に入ってしまったものだった。その危険なアクセサリーはとても割れやすく、割れたときに破片がとがるため怪我する恐れがあるものであった。


犯人は貿易する仕事をしており、そんなものが日本に入らないこと、ブランドイメージを守るため、そんな怪我する商品が店頭に入ること自体あり得ないことを交ぜた人への伝えたいのだがアクセサリーそのものを見ても違いが判らず、全てのアクセサリーを理由を言わずに回収するため今回の犯行に及んでしまった。


ナオは犯人に近づいたとき、店頭に並んでいるアクセサリーの一つに違和感があったことを思い出していた。犯人がそのアクセサリーのパンフレットを持っていたこと、パンフレットに"割れる"とマジックで書かれていたことから、犯人の動機に気づき、犯人を公園に運ぶことを選んだのであった。


書店で収録進むころ、近くのベンチにナオはいた。

スマホ修理の約束をしたブッコローが書いた連絡先が記載された紙を大事に握りしめていた。


「また、会える」

そう言いながら、壊れたスマホを眺めている。


知らないうちにブッコローは事件を解決しているのだが、ブッコロー自体は気づいていない。ただ、ブッコローは手元のアンティークメガネからいつの間にかカレーの匂いがするようになっていることが気になっている。


「何かおかしい・・・」

ブッコローはつぶやいた。


そう、ここはブッコローが知らない時の世界。



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「ナオとR.B.ブッコロー、強盗に巻き込まれる!? ~R.B.ブッコローが知らない世界~」 難波とまと @NAMBA_TMT

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