「ナオとR.B.ブッコロー、強盗に巻き込まれる!? ~R.B.ブッコローが知らない世界~」

難波とまと

第1話 強盗

私の名前はナオ。

 

 私はR.B.ブッコローというミミズクっぽい不思議な生き物がアンティークメガネをかけているときに、そのメガネに指をかけると時間が止まることを知った。どうやら知っているのは私だけのようだ。


 その後、他の人でもメガネに指をかけて試してわかったことは、時間が止まる現象はブッコローと、そのメガネだけの特別なことということだ。後一つ、得られたことがある。いろいろ試すため、メガネをみると見境なしに触ることによって、私は変な目で見られるようになってしまった。


 おかげでメガネを探している、メガネ好きということとしてキャラづくりをする羽目になってしまった。今日も本屋に来てメガネの素材とその技法を用いて作られたアクセサリーを見てメガネオタクを装っている。今日はイタリア職人手作りの透き通る発色のセルロースアセテートのアクセサリーを見ている。実は装っているのは言い訳で完全にハマっており、完全にオタクである。


 もっとゆっくり見たいが、さっき触ったカレーの匂い付き消しゴムで指にカレーの匂いついていることが気になっており、商品を触りたいが手を洗いに一度店外に出ようか思案していると・・・


「助けて!」

 閉店間際の書店に突然響き渡る声に、ナオは硬直した。そして、声のほうを振り向くと刃物をもった男性がレジ担当の女性を盾にしていた。


「動くな!、動くとこの女性を指す!!」

 男性は店内にいる人を見渡している。店内には店員が3名、お客はナオを含めて3名。そして犯人の男性。犯人はお店のシャッターを閉めるようにし、店員に指示をしている。おそらく外からの助けは期待できない状況だ。


『もしかして、私、気づかれていない?』

 アクセサリー売り場はレジから影になっており、犯人から見えていないため、どうやらナオには気づいていないようで、ナオのほうを向くことがなく他の人を順番に目配せしている。


『私が助けなきゃ』

 私は何かないかと周りを見渡した。アクセサリー、レトルトカレー、ドライフルーツ、そして、ガラスペン。うん、ガラスペンが一番武器っぽい気がする。


『近づいて、ぐさっと?』

 近づく時点で終わるな。


『犯人に投げる?』

 いや、これも即行で詰む。


 周りをみると非常口が見えた。ここから出て助けを呼ぶことにした。さすが私だ。ゆっくり屈みながら非常口まで行き、無事に出ることに成功した。ここなら通話できる。スマホを片手に通報することにした。早くレジの女性を助けなきゃ。


≪どん!≫

何かがぶつかり、スマホを落とした。


 スマホを拾うと画面がヒビだらけに。電源もつかない。どうしよう、通話できない。しかし、そこで挫ける私ではない。周りの誰かに通報してもらおう。なおは周りを見渡した。


そこには、ぶつかった何かがいた。R.B.ブッコローだった。

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