第13話 宣言!魔法少女!
私たちを召喚してくれた二人は、互いに目を見合わせて喜んでいる。
「お二人がいれば、きっとうまくいくと思います!」
「二人ともから同じような雰囲気を感じますし、とても気が合ってそうです!」
……同じ雰囲気か。
この人となら、本音で付き合うのもいいかもしれないな……。
茜さんの方をチラッと見ると、何やら不服そうな顔をしていた。
「最初は二人でもいいけど、あともう一人くらい仲間にしたいな! せめて、イエローポジションの仲間でもいたら最低人数はクリアだよ!」
「……はぁ。また、戦隊モノの話をして……。二人だけでも大丈夫です。魔法少女は二人だけでも成立します!」
私は結構な剣幕で言ったつもりだったが、私の反応に茜さんは終始ニコニコとしていた。
「やっぱり、お二人は打ち解けあってますよね」
「良いコンビだと思います」
私たちのやり取りが仲良く見えたようで、召喚士の人も和やかに見ていた。
本音を出して付き合っても良いというか、茜さんといると無理やり出させられている気もするな……。
「はぁ……。茜さん、その話はすぐに決着つかなそうだから、旅の中で決着つけましょ。私は戦隊ヒーローじゃなくて『魔法少女』と名乗りたいですけど、魔法が使えないので、魔法道具使いってことで。旅立つ前に向けて、コカトリス討伐の時にもらったような魔法道具を頂けないでしょうか。もう少し弱めの物を……」
「あれ、まだ魔法が使えないのでしたか、コカトリス討伐したというから、てっきり……。魔法が使えるようになるまでは必要ですよね。好きなだけ魔法アイテムだけでも持って行ってください」
「ありがとうございます」
「明日旅立てるように、準備をしておきます。今日はもう遅いのでお休みください」
◇
次の日。
街を旅立つということで、街の人たちが見送りに来てくれていた。
街も一体になって、ここの世界の人たちは良い人達ばかりかもしれない。
広場には、アイリスとその母親も見送りに来てくれていた。
アイリスは私の元まで走って来て、傷一つついていない顔で笑顔を見せてくれた。
「お姉ちゃん、ありがとう! 私もいつか、お姉ちゃんみたいに魔法少女になれるように魔法の練習頑張るね!」
この世界では、子供は特に純粋。
本音で話をしていない私が、バカみたいに思えてくる。
「ありがとう、アイリスちゃん。でもね、私は魔法も使えなくて、少女って歳でもないから魔法少女じゃないんだ」
「そんなこと無いよ! 私を助けてくれたもん! 私にとってはお姉ちゃんは魔法少女だよ! これからも頑張ってね!」
濁りの無い瞳を向けられると、こちらの心の壁がどんどん剥がされる気分になる。
「けど……、実際には茜さんがほとんど倒してくれてて……」
「葵、一番強いボスを倒したのはお前だよ! アイリスにとっては、お前の方がヒーローなんだよ」
茜さんからも、どこまでも濁りの無い瞳で見つめられてしまう。
そんな瞳で見つめられても、私の心の壁は……。
「この子を助けられて、本当に良かったです。……けど、せめて『ヒロイン』って言って下さいますか? 戦隊ヒーローと履き違えないで欲しいです」
「いやいや、そこは譲れないな。私は5人集めて戦隊を作るからね! この世界は願えば叶う。私は今まで通り戦隊ヒーローを貫いて、悪い敵を倒すんだ!」
相変わらず、好きなことだけいって。
自分の理想ばかりを掲げて……。
「葵も、なりたいものになればいいよ! 周りの目なんて気にせずにさ!」
茜さんは本当に誰の目も気にしないで、自由で……。
知り合いも誰もいない世界に連れてこられて。
思いの強さこそが、力となる世界だっていうんです。
この世界に住んでいる人たちは、純粋な人しかいなくて、誰も願うことをためらわない……。
「夢は、口に出さないと実現いないよ、葵!」
人との距離はちゃんととるようにしてたのに……。
この人は、ずけずけと心の中に入ってきて、勝手に人の背中を押して……。
「……はぁ。今まで何をためらってたんでしょうね……。世界を救うヒーローか……。私にだって人に語りたい夢は持ってます」
堂々と。
胸を張って。
みんなの前で発表した、小学校の時の夢発表会のように。
もう一度、私も夢を見てもいいかもしれない……。
私の夢。
絶対叶えたい夢……。
……もう隠したりしない!
みんなが見送りで注目する中、私は大声で宣言をした。
「私は、魔法少女になりたいです! 魔法少女になって、悪いやつをやっつけて、困っている人を助けたいんです!」
いきなりの大声での宣言に、街の人たちは静まり返ってしまった。
静寂が辺りを包んでいた。
近くにいたアイリスが、初めに声をかけてくれた。
「お姉ちゃんならなれるよ!」
アイリスの発言をきっかけに、他の人たちからも声援が沸いた。
「頑張ってくれー!」
「私たちを救ってください勇者様!」
「応援しているよー!」
大きな声援と拍手に包まれた。
茜さんもうなずいて、こちらに手を差し出してきた。
「これからよろしくな! ブルーも熱い気持ちを手に入れたことだし良かったよ! 副リーダーはクレバーなだけじゃ務まらないからな! 次はイエローを探そう!」
「……相変わらずそんなことを……」
差し出された茜さんと握手をした。
「私は、魔法少女は譲りませんからね。イエローはいいとしても、仲間にパープルは絶対外せません!」
こうして、私と茜さんの魔王討伐の旅が始まったのでした。
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本作品は、賢いヒロインコンテスト出場作品となります。
中編ということで、お話はここで以上となります。
13話という短いお話でしたが、お付き合い頂きまして、ありがとうございました。
ここにお礼を申し上げます。(*_ _)
最後までお読み頂いた皆様へ、
僭越ながら一言送らせて頂こうと思います。
夢は、願えば叶う!!
girl be ambitious !!
それでは、次回作にご期待くださいませ。
魔法少女ってなんですか? 〜Girls Be Ambitious!!〜 米太郎 @tahoshi
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