71話 真のクリア方法

「うわああああああああ! いやだ、いやだあああああ! 死にたくない、死にたくな――」


「う"わあああああん! ママああああああああああ!!」


 偶然か、因果応報か、はたまた神の気まぐれか。

 朽木伸の道連れ先は、須藤茜が選ばれた。

 人を死に追いやろうと、躍起になっていた姿はもうない。彼らは年相応の子どもの心へと戻り、散っていった。


【朽木伸さんと、須藤茜さんは、てるてる坊主ではありませんでした。話し合いを続行してください。4日め、スタートです】


 ボーン……。


 話し合いの時間が、始まった。


「ずっと、考えてたの」


 ぽつりと、ミナミが言った。


「偶然なのか、それともホントに本物なのか。確信が持てるまで、ずっと……」

「なんの話だ?」


 シュウヘイが問う。


「続けて。きみの考えを聞かせてほしい」


 サトリが促すと、ミナミはこくんと頷いた。


「そもそも、おかしいなって思ったの。なんで投票の時、わざわざ名前を言わなきゃいけないんだろうって」

「たしかに。指させばいいだけだし――あ」


 苛烈な記憶が頭に浮かぶ。

 細い首を締め上げた感触。

 激しく沸き起こる憎悪。


 あの時、彼は叫んだ。――。


 シュウヘイは、勢いよくステージを見上げた。


「ずっと悩んでた。自分の役職がてるてる坊主だって知った時から、疑問だったの。私は、。叫ぶべきは、アンタの名前なんじゃないかって」


 ゆっくりと。

 ステージに指先を向ける。

 指さした先は、壇上に浮かぶてるてる坊主だ。


「ねぇ。アンタなんでしょ? ――カイト」


 シュウヘイとサトリが、驚いてミナミを見た。


【……】


 てるてる坊主は、何も答えない。

 静まり返る体育館。

 耳元で鳴る心臓の音。

 数少ない生存者は、固唾を飲んで化け物の答えを待った。


【……ふふ】


 ビリィッ――。


 てるてる坊主が、顔の布を中心から左右に割いた。

 そこから顔を覗かせたのは――。


「ご名答。あなたなら当ててくれると思いましたよ。ミナミさん」


「ねこふんじゃった」で死んだはずの、雨宮海人だった。




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