69話 死は平等に

「な――」


 ざわつくプレイヤーたち。

 全員の視線を浴びながら、ミナミは堂々とソラを指差し続けた。


【今日の天気は、雨です。ソラさんと、もう1人の誰かが犠牲になります】


 人差し指を下に向けながら、てるてる坊主は宣告した。


「お……おい、待てよ……」


 声を震わせながら、呟くソラ。


「投票しないって言っただろ! このアマ、うらぎりやがったな!」


 アカネの怒号が飛ぶ。

 しかしミナミは冷静だった。


「邪魔だったんだもの。鬼灯空が。アンタたちもね」


 そう言い切るミナミの目は冷ややかだ。


「勝手な思い込みで、他のプレイヤーたちを蹴落とそうとして……っ。ゲームの本当の目的、分かってる? てるてる坊主を探すことよ。他人を殺すことじゃないわ」

「っ変わらねーよ! てるてる坊主を探すことだって、殺すことじゃねーか! あぶり出そうとして何が悪い! 生き残ろうとして――」


 すべて言い切る前に、ソラの身体は吊り上げられていった。

 見上げる者は、誰もいない。


「自分が死にたくないからって、矛先を他人に集中させて、追い詰めて。それで……アンタたちは、私の友だちを殺した!!」


 あまりに短い間だったが、確かな絆を育んだ――。仄暗い道を共にした、亡き友の顔を脳裏に浮かべながら、ミナミは叫ぶ。


「だから、私はオマエたちを許さない! 次はアンタたちの番だから!」

「おい、ミナミ。落ち着け。それじゃお前も――」


 諫めようとするシュウヘイの口元に、ミナミは人差し指を置く。続けて、耳打ちしようと背伸びを始めたので、シュウヘイは少しかがんだ。


(お願い。私の言うことを聞いて。考えがあるの)


(考えって?)


(まだ、まとまってない。はっきりしたら話す。でも、作戦のためには、少なくとも須藤茜と朽木伸がジャマだわ。ひとまず、そいつらを潰したいの)


(……)


(お願い、信じて。考えが正しければ、このゲームを終わらせられるから。今、信用できるのがアンタしかいないの。とにかく、新条里璃と天神穂乃果を味方につけないと――)


【続いて、道連れになった人の処刑を始めます。今宵選ばれたのは――】


 アナウンスが鳴り、ミナミとシュウヘイはいったん離れる。

 プレイヤーたちの中に、緊張が走った。


【天神穂乃果さんです】


「え?」


 GMの温情か、彼女の幼さゆえか。

 ホノカは、状況を理解することなく、吊り上げられていった。


 残り、5名。


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