50話 拷問ゲーム②

 処刑が終わったら、今度は清算の時間だ。

「腕」を出したアキヒロは、カードに相当する体の部位を切断される――。


「ひぃっ……」


 怯えるアキヒロ。

 しかし凶刃は容赦なく彼に向けられる。


「大丈夫だよ」


 にっこりと笑いながら、高橋は言う。


「痛いのは、ゲーム中だけだ」


 ザシュッ――。


「あ"あああああああああああ!!!」


 アキヒロの両腕が切断された。

 鮮血が噴き出すが、猫又たちがどこからか焼いた鉄を出現させると、それを操って断面を焼いた。


「ぎゃああああああああああああ!!」


 響き渡る断末魔。

 アキヒロは白目を剥いて倒れた。

 股間から、じんわりと液体が広がる。

 あまりの痛みに失禁してしまったようだ。


【あれ。おーい、アキヒロくん、アキヒロくーん?】


 アキヒロの体は、ビクビクと痙攣している。

 凄惨な光景に、子どもたちは皆顔を真っ青にした。


【うーん、ダメだこりゃ。アキヒロ君も退場!】


 アキヒロの体が、煙のように消えた。

「桃太郎」もしくは「金太郎」、そして「やぎさんゆうびん」のやさしさで、彼らは忘れてしまっていた。

 この地獄において、プレイヤーの命はあまりにも軽い。

 そして……、人数が少なくなったことにより、「次は自分の番」だと、強く認識するようになってしまった。


 見たくない。

 分からぬフリをしたい。

 されど、悟ってしまった。


 ――高橋以外、誰1人として生き残れないだろう、と。


【どっちも脱落しちゃったから、11番のおふたりさん、どっちも出てきてね】


 アナウンスに従い、児童2人は11番のゼッケンを着ると、 それぞれの列に加わった。


 そして、歌が始まった。


 A かってうれしいはないちもんめ

 B まけ~てくやしいはないちもんめ

 A あの子がほしい

 B あの子じゃ分からん

 A そうだんしましょ

 B そうしましょ



 話し合い・Bチーム


「狙うなら、6番の子」


 新たに加わった児童――信条里璃しんじょうさとりが言った。


「みんな恐怖してるけど、あの子は特に怖がってる。それに、単純そう」

「何で、そんなことが分かるんだよ……?」


 シュウヘイが、訝しげに問う。

 サトリの唇が、にっこりと笑みを作った。


「今は、調



 Aチーム・話し合い


「桑原先生がいなくなったなら、選択肢は1つだね」


 笑顔で言う高橋。

 Aチームの児童は、青ざめた顔で無言を貫いていた。


「5番の八木綴。彼を選ぶよ」



 Bチーム・補欠組


「なーに考えてんのっ」


 17番のゼッケンを着た男子が、ドカッとショウタの隣に腰を下ろした。


「……別に、大したことは……」

「いいや、あるね! だって、こんな目の前で地獄みたいなゲーム見せられても、ぜんっぜん動じてないからさ」

「…………」

「だんまりか」


 17番の男子は、困ったように肩をすくめた。


「このゲームってさ、今までと比べていちばん鬼畜じゃん。自分もいつかああなるって考えたら、でさ。だから、雑談する相手が欲しかったんだけど、みんなあんな感じじゃん?」


 そう言いながら、Bチームの補欠組を指さす。彼らは皆絶望に暮れ、廃人も同然の状態になっていた。


「オマエはまともそうだったから、話しかけたってワケ! なぁ、14番、オマエなんて言うの? オレは鬼灯空ほおずきそら。よろしくな!」

「…………」

「無視かよ!?」

「ごめんね。今それどころじゃないんだ」

「何だよもう~!」


 隣でギャーギャーと騒ぐソラを無視し、ショウタは思考を再開した。


(吊り下げられた者たち……は、プレイヤーのことだよね。だから、正体のカギになるのは1文めのはず。ゲームから「シ」を引く……、ゲームから「シ」を引く……)


 ショウタは頭を抱えた。


(どうしよう……っぜんぜん分かんないよ……!)



 犠牲者……児童1名

 残り、35名……。



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