46話 異常事態?

『おめでとうございます。4問め、正解です』


『おめでとうございます。5問め、正解です』


『……おめでとうございます。7問め、正解です』


 正解のアナウンスが続く。ここまで、まったくのノーミスだった。

 どの問題も、知人であれば簡単に解ける内容で、難易度としてはかなり低いものだった。

 残るはあと1問。

 これを正解すれば、犠牲者ゼロで次のゲームに行くことができる。


 白ヤギが、プレイヤーたちに手紙を飛ばした。最終問題である。

 ミナミがキャッチし、手紙を広げた。


「え……?」


 意味不明な内容に、ミナミは疑問の声をあげた。



 ゲームから「シ」を引け。それは「吊り下げられた者たち」を意味する。

 そして、そいつがてるてる坊主の正体だ。 「シ」=1



「どういうこと……?」

「ミナミ~、見せて~」


 脇から覗き込んだシュウヘイも、首をかしげた。


「意味分からん」

「どれ?」


 シュウヘイから手紙を受け取ったショウタは、血相を変えた。


「何言ってんの2人とも! ルール忘れたの!? これ、参加者ぼくたちの中にてるてる坊主がいるってことだよ!!」


 プレイヤーたちが、一斉にショウタのほうを振り返る。


「ねぇ、それ見せて!」


 近くにいた女子児童が、手紙を見ようとしたその時だった。


【ほんとにさぁ】


 てるてる坊主の声が鳴る。

 両端のヤギたちは、吊り上げられていった。


【どいつもこいつも、なんで正しく楽しくゲームしてくれないのかな!?】


【グギギィッ……】


【ア"……ガァ……ッ】


 もがき苦しむ声。ゲーム開始前に見た、地獄の再来。

 それが今、GMに対して執行されている――恐ろしくて、奇妙な光景だった。


【もういい! あとのゲームは全部ぼくが取り仕切る! モモちゃんの時と同じように、記憶を消し――】


 てるてる坊主の言葉が、不自然に途切れた。


【ウ"ッ……、ウ"ウウウウウ……!】


「な、何……? 何が起きてるの!?」


 突如として苦しみ始めた、てるてる坊主。

 異様な光景に、プレイヤーたちは困惑するよりない。


【ウウウウッ……このッ、大人しく……しろっ!!】


 ボギュッ、ブジュンッッッ――――。

 何やら不穏な音が鳴る。

 その直後、てるてる坊主のからだは2回りほど小さくなった。


【はぁ……はぁ……はぁ……】


 呼吸を整えると、てるてる坊主は急激に顔を上げた。


【次の、ゲームに、移ります!!】


 強制的な終了宣言により、「やぎさんゆうびん」は犠牲者ゼロで幕を閉じた。













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