44話 絵の謎を解こう
「……ッツヅル君、紙を……っ、見せ、っ……ブフッ……」
笑いが治まらず、高橋はプルプルと震えながら手を伸ばした。
「せんせい、笑いすぎ」
「……」
呆れるソウタ。
ユウは何が起こったのか分からないのか、無表情で無言だった。
「おー、いいぞ!」
ツヅルから手紙を受け取り、内容を確認する高橋。
そこに書かれていたのは、単なる絵だった。
青空の中心に、ニコニコ笑顔の太陽。
辺り一面の白い世界――おそらく、雪。その向こうには、うっすらと海が見える。
雪の上には、たくさんのペンギンが描かれていた。
(……意外だな。てっきり暗号が書かれると思ってたけど)
口元に手を当て、思考する高橋。
しかし、さっぱり見当がつかず、すぐにお手上げ状態になった。
「ダメだ、分からない。きみたち、分かるかい?」
高橋はそう言って、ソウタとユウに手紙を回した。
2人も分からず、首をかしげて高橋に返した。
「高橋センセー、見てもいいですか?」
シュウヘイが隣に来て言った。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
手紙を受け取ると、シュウヘイはミナミ、ショウタ、カヅキ、アオイの4人と共有した。
「南極の絵か、これ?」
シュウヘイが言う。
「そうだね。でも、どういう意味が……?」
カヅキが首をかしげる。
「わかんない。たしか、プレイヤーのうちの誰か1人を示すって言ってたよね?」
そう言ってミナミが顔を上げると、ショウタとアオイがじとーっと見ていた。
「な……何よ?」
「「これきみ(あなた)だよね、ミナミさん」」
「へ?」
声を揃えて言う2人にきょとんとしていると、アオイが太陽を指さした。
「太陽がどうしたの?」
「太陽じゃなくて、ここでは日って考える。そして、高く昇ってる。つまり、"日高"。そして、ペンギンが描かれてるから、南極。ミナミ。そういうこと」
「あっあっあ~~~! すご~い!」
口に手を当てて、ミナミは驚嘆した。
アオイは「こんな程度」とすまし顔をした。
(雪の向こうに"海"を描くなんて、相変わらず性格悪いなぁ……)
ショウタはひそかにそう思った。
「みなさ~ん! 問題が解けました! 答えは私、日高美南です! 黒ヤギの所に手紙持っていきま~す!」
「は~い!」
プレイヤー全体にそう告げると、友だちを含め何人かの反応があった。
ミナミは軽く手を振ると、黒ヤギの所へ行った。
「これで、いいんだよね……?」
確実に正解だろう。自分でもそう思う。
しかし、「死ぬかもしれない」という恐怖が、ミナミを震え上がらせた。
ドクン……。ドクン。
心臓の音が鳴る。
ヤギはしばらく沈黙していたが、やがてミナミから手紙を受け取ると、それをむしゃむしゃと食べた。
『おめでとうございます。第1問、正解です』
アナウンスが鳴る。
安心から崩れ落ちるミナミ。
わぁあっと、プレイヤーから歓声があがった。
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