第92話 3人の大技が大・炸・裂ですっ(≧▽≦)


「せ、星波ちゃん、いますか? 見てますかっ? 今、カイさんルカさんソーラさんが一生懸命戦ってますけど、めちゃんこ苦戦してぃます。何かアドバイスがあったら欲しいぇすっ。あっ、一万円だったら私があとで払ぃますよ!?」


 私はスマホの画面を注視する。



【コメント】

 ・ビームブレードが凶悪すぎる

 ・あんなゲルダムバースト見たくない・・・

 ・星波様の神託はよ

 ・せなさまああああああああああっ!!

 ・¥10000《丁度アドバイスしようと思ってた。私が以前戦ったロボットモンスターも装甲が硬かった。だからジョイント部を狙うように伝えて。そこは装甲よりかはダメージが通ると思う。あと10000円は耳を揃えて払ってもらうので、ちゃんと脱出するように》



 星波ちゃんのアドバイスきたーっ。

 ジョイント部を狙え、ですねっ。分かりましたっ。

 10000円は過不足なくのちほど支払いますっ!


 私は、避けることに徹底している3人に対して声を張り上げた。


「みなさーんっ。攻撃はジョイント部を狙ってくださいっ。そこなら攻撃が通るかもですっ!」


「ジ、ジョイント部ぅ? ああ、関節か。た、確かにそこなら装甲よりかは幾分マシか」


「そのジョイント部を狙うっていうのがそもそも難しいんだけど、ね」


 ビームブレードの猛攻を避けるのがやっとという感じの、カイさんルカさん。

 そんな中、ソーラさんが少し離れたところに移動する。


「私めにお任せください。動いているのは主に腰より上。足のジョイント部であれば狙えると思います」


 ソーラさんが一度弓を上に構え、ゆっくりと前方へと向ける。

 足も大きく開かれ、今までにない力強さを感じた。

 何か、普通とは違うなと思ったとき、


「轟の技――紫雷しらい

 

 ライトニングボウから放たれる矢。

 それは紫に光る稲妻の尾を引きながら、右足のジョイント部に吸い込まれる。

 着弾の瞬間、ひと際大きな放電がGBレプリカの右足を駆け巡った。



【コメント】

 ・轟の技キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 ・マジかよっ!?

 ・いつのまに覚えたんや・・・

 ・ハイスペック侍女、ソーラさんwww

 ・ソーラさんが一番ダンジョンシーカーっぽいの草 

 ・ソーラさんが只者じゃなさすぎる件



 轟の技っ。

 これには私も驚いていますっ。

 そういえば、カイさんにスマホを見せてもらっていたような気がしたけど、そのときに発動のやり方を教わったのかもしれません。


 元々弓が得意なこともあって、パーフェクトな轟の技でしたねっ。



 実際、轟の技は完璧だった。

 ジョイント部から流れた過電流が、GBレプリカの右足の機能を停止。

 踏ん張れなくなったのか、GBレプリカはそのまま右側へと倒れた。


「ソーラさん、ナイスだぜっ。そうだよな、もうこいつがラスボスって気持ちでいくべきだよな。温存なんてしてられねぇ……轟の技――」


 カイさんも轟の技使うみたいですっ。

 しっかり撮ってますからねっ。


 カイさんが、倒れたGBレプリカの右足ジョイント部にダッシュで近づく。

 そして――、


 「デッドリー トライアングルッ」


 剣を右に一閃、上方に斬り上げ、下に斬り下ろしと高速で続けた。

 

 三角形の波動がジョイント部に直撃。

 破壊まではいかないけれど、今のはかなりのダメージだったはずだ。


「どいて、カイ。そこに今の最強をぶち込んでやる。我はサラマンダルと契約せし火で心を焦がす者、血の盟約に従い魔力マグナの付与を授からん。――フォティアストームッ!!」


 最後はルカさんの火の魔法だ。

 渦を巻く紅炎の熱がジョイント部を赤く染め上げる。

 すると、ジョイント部がまるで溶岩のようにドロリと溶け落ちた。

 もう右足は使えないだろう。



【コメント】

 ・銀潜章組の大技炸裂っ!!

 ・右足の機能を完全に奪ったな

 ・やっぱりすげーな、この2人

 ・ルカさんと結婚したい♥

 ・これは星波様に感謝だな

 ・もう歩けないだろ。このまま逃げるのが得策では??


 

 はい、やっぱりカイさんルカさんは凄いですっ。

 やるときはやるって感じで、ナユタ王女の護衛を任せられるだけのことはありますよね。


 星波ちゃんにも大大大感謝ですね。

 それと――逃げるのが得策。

 確かにその通りだと思います。


 私も準備万端ですけど、余計なバトルをする必要はないですしね。

 私は大活躍の3人に声を掛ける。


「みなさーんっ。今のうちに先に進みますかっ? もうGBレプリカも動けないぇしょうし、追ってこないと思ぅのですが」


 右足を失ったGBレプリカが、立ち上がろうとしては倒れるを繰り返している。

 このまま放置でも問題なさそうだ。


「ん? ああ、そうだな。先に進むか」


 リーダーであるカイさんがそう言えば、反対するものもいない。

 先に進むことで話は付いた。


「お、おおっ、倒したのじゃなっ。こんなどでかいロボットを倒すとはすごいのう。カイとルカには、余専属の護衛になってほしいくらいじゃ」


 ソーラさんに連れてこられたナユタ王女が、感心したような何度も頷く。


「そいつは俺達にはもったいなきお言葉ってやつですよ。そもそも、ソーラさんがライトニングボウでジョイント部を攻撃してくれたおかげですからね」


「そうそう、ソーラさんの弓のおかげ。本当にすごい腕前よね。武具が武具なら金潜章レベルだと思う」


「そうじゃったのかっ。ソーラよ。そなたは余の自慢の侍女じゃ。これからも余の傍でたのむぞ」


「言われなくても当然でございます。王女様。ただ、私めがジョイント部を狙ったのは、湊本様のアドバイスのおかげ。その節はありがとうございました」


 ソーラさんがまたしても、一点の瑕疵かしのないお辞儀を繰り出してくる。

 

 って、そんな遠くでお辞儀しなくても……。


「い、いや、あれは私じゃなくて、星波ちゃんが赤スぺ使ってアドバィスしてくれたんぇす」


「星波ちゃん? そりゃ一体――」


 ゴオオオオオオオッ!!


 カイさんの声が轟音で掻き消える。


 っ!?


 GBレプリカの背中から火が噴いた。

 あのランドセルみたいなのは確か――、


「……うそだろ? 宇宙でもねえのに、バーニアの推進力で姿勢制御するつもりかよっ」


 GBレプリカが左右の壁、天井に当たりながら立ち上がる。

 その、あまりにも無軌道且つ荒々しい動きが、カイさん達に悲劇をもたらした。

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