第82話 カイさんとルカさんがきっちり決めてくれるようですよ?
【コメント】
・お、カイさんとルカさんが何かするんか?
・お手並み拝見といこうじゃないか
・けっこう絵になる2人よね
・2人の関係が知りたいのですが・・・
・本当はよっちゃんのバトル見たいですけどね
・四葉無双の出番じゃね?
私もバトルしたいですっ。
でも無理はできません。四葉無双なんてもってのほかです。
今スローインプと戦ったら、何もできずにぶち殺されるのが目に見えていますからね。
なので、今できることを精一杯するのみです。
「カイの言う通り、スローインプとやらの意識はあの2人に向いているようじゃな。しかし、シカとされているようで腹が立つのは余だけか? ソーラ。あやつに石を投げてはどうだ。こっちを向いてくれるやもしれん」
お
「断固拒否でございます、王女様」
ぴしゃりと言い放つソーラさん。
いかに侍女とはいえ、ナユタ王女を危険にさらす行いはさすがにできないソーラさんだった。
というよりナユタ王女の発言が意味不明すぎて、心の中で〝何言ってんだ、この小娘〟とか思っているかもしれない。
「おいこら、チビ助。今からてめぇを切り殺しにいくから覚悟しなっ」
剣を構えるカイさんがスローインプに向かって走る。
そのあとに続くルカさん。
高見から見下ろしていたスローインプの手が後ろに振り上げられる。
その手にひっついているのは、容量4000リットルはありそうな巨大なタンク。
それをカイさんとルカさんに――。
その2人が左右に分かれた。
どちらかを明確な標的にしていなかったからなのか、スローインプが惑うのがはっきりと見て取れた。
その間も、2人の銀潜章が弧を描くようにスローインプに迫る。
「ギィィィィィッ!」
不快な声をあげるスローインプが迷った挙句、カイさんに向かってタンクを投げつけた。
カイさんが瞬時に左へと横っ飛びしてタンクを回避。
一方のルカさんはそのままスローインプとの距離を縮め、詠唱していた魔法を発動。
「更なる付与を授からん――ファイアスネークッ!」
やったっ。
いや。だめだ。
ぎりぎりのところで回避された。
「ええいっ。すばしっこい奴めっ。おい、ソーラ。あやつを縄でそこらへんの車に縛り付けておけ。そうしておけばルカの魔法で黒焦げ間違いなしじゃ」
「それができたら苦労はしません。王女様」
再び、一刀両断のソーラさん。
【コメント】
・今のは惜しかった!
・いい作戦だったのになーっ
・炎蛇とかかっこええええ
・カイさんもナイス回避っ
・ナユタ王女おもしろっwww
・横でコントしてる??
うん、今のは惜しかったよねっ。
あと1秒早ければと思うと、私もなんだか悔しいです。
ナユタ王女は、ふふふ、確かに面白いですよね。
本気なのか冗談なのか分からないところが、ちょっと怖いですけど。
「あー、惜しかった。やれたと思ったのに……っ」
「ルカっ。ちょっといいか」
カイさんが移動したスローインプをロックオンしたまま、ルカさんを呼ぶ。
応じたルカさんが相棒の元へ。
何やら話しているけど、ちょっと距離があるので聞き取ることができない。
ふとソーラさんを見ると、周囲に視線を向けている。
「どうしたのじゃ」とナユタ王女が聞くと、「ほかにモンスターがいないか見ております、ナユタ様」と答えるソーラさん。
ダンジョンシーカーでもないのに素晴らしい心がけのソーラさん。
私も撮影をしつつ一応周囲の警戒は怠らないようにしてますけど、その姿勢は素直に尊敬します。
そういえばスローインプの最初の電柱投げもソーラさんが気づいた。
そのあと移動したスローインプの場所もだ。
この人、もしかして察知能力高いのかな。
――のちに、察知能力とは別に長けた能力を披露してくれるソーラさんだけど、このときの私はまだ知らない。
意識を、カイさん&ルカさんVSスローインプに向ける私。
ええっ、うっそっ!?
スローインプが上に持ち上げている物。
それは3メートルはあるコンテナだった。
渋谷のどこにそんなものがあったのでしょうかっ??
でも注目するべきはそこではなくて、スローインプが両手で1個づつコンテナを持ち上げていることだ。
絶対にさっきのカイさんとルカさんの分離攻撃への対策だと思った。
一方、タゲを取ったモンスターを睨みつける2人のダンジョンシーカーといえば、さきと同じように構えていた。
「むむむ、カイとルカは何をする気なのじゃ? 何も作戦がなさそうにも見えるが、余の考えた作戦を今からでも教えたほうがいいのではないか? のう、ソーラ」
「黙って見ていたほうがいいと思います、王女様」
手厳しいソーラさんだった。
【コメント】
・ナユタ王女の考えた作戦が気になる・・・
・淡々と言い放つソーラさんが草
・情報量多いなw
・2人はどうする気だろう??
・次で勝負が決する予感
・緊張感半端ねーっ
この情報量、スマホには荷が重かったですね。
ダンジョンに潜るときは、いつ何時でもドローンを持ち歩こうと今決めましたっ。
伝わってくる緊張感。
私も、次で勝負が決まると思います。
もちろん、勝つのはカイさんとルカさんですよっ。
「んじゃま、次で決めるとしますか。……ルカ、信じてっかんな」
「ええ。多分大丈夫」
「多分かよ……。まあ、その多分を俺は信じてんだけど、なッ」
2人のダンジョンシーカーが大地を蹴る。
目標はもちろん、スローインプ。
そのスローインプも2つのコンテナを頭上にあげ、臨戦態勢だ。
横に並んだまま、二手に分かれないカイさんとルカさん。
そのまま近づいていく両者の距離。
どうやらカイさんとルカさんは分離攻撃をしないらしい。
私と同じように結論づけたのか、スローインプが2つのコンテナをその2人に投げつけた。
「――付与を授からん。ヒートウィンドッ」
炎熱の魔法師が魔法を唱える。
刹那、赤く揺らいだ風が発生して、2つのコンテナ巻き込んだ。
局所的な熱波。
その熱の突風でコンテナの軌道が横にずれる。
ルカさんを信じてまっすぐ走り続けたカイさんが、車のボンネットに飛び乗り、そこから更に跳躍。
「烈の技――デッドリークロスッ」
カイさんが右手に握る剣を十字に振る。
十字の波動がコンテナを投げた直後のスローインプの体を4つに解体した。
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