第80話 みなさんの年齢を知ることができました。


「視聴者のみなさん、お待たせしました。ラィブ配信を再開しまーす。そうそう、それでみなさんにお知らせがぁります。なんと赤スぺの方が星波ちゃんだったってことが判明したんぇすっ」



【コメント】

 ・マジかっ!

 ・星波様だったのかよ!!

 ・それは想像もできんかったな

 ・ダンジョンに詳しそうな感じはしたが

 ・どんなときもよっちゃんを助ける星波様

 ・なぜにポン吉?



 あ、そうでした。

 どうしてポン吉なのか聞いていませんでしたね。

 それは私も気になりますっ。


「はい。それでぇすね。私からみなさんへのお願いなんぇすけど、スペチャはしなぃでください。っていぅのはですね、私のために星波ちゃんが赤スぺでアドバイスとかしてくれるんぇすけど、それを目立たせたぃからなんです。どうかお願ぃします。スペチャはしないでくださいっ」



【コメント】

 ・スペチャするなというお願いw

 ・そういうことなら!

 ・前代未聞のコメントの使い方じゃね?

 ・その手があったか!!

 ・も、もともとしてなくてすいませんっ

 ・面白い試みだな。いいと思う



 確かに前代未聞ですよね。

 コメントでダンジョン探索の手助けをしてくれるなんて。

 でもダンチューバーならではっていう感じで、確かになんかいいかも。


「あ、でもでも応援はどんどんしてくださぃね。私だけじゃなくてカイさんやルカさんへの応援も歓迎ぇすからね。皆さんの応援が、私達の生死を左右するかもしれません。更には日本とアクレシア国の将来も左右するかもしれません。だから応援、お願ぃしますっ」



【コメント】

 ・いや、それは重すぎ!

 ・むしろ応援できなくなるってw

 ・すべての責任を負わそうとしてる!?

 ・ただの視聴者ですが??

 ・いいね、応援にも力が――入るかwww

 ・冗談はさておき、だよね? よっちゃん



「〝すぺっちゃ〟とか〝あかすっぺ〟とはなんなのじゃ? 四葉」


「わっ」


 いきなりカメラに入ってくるナユタ王女。

 画面いっぱいにナユタ王女の顔が映ってますよっ。


 私はそっとカメラの向きを変えると、ナユタ王女の質問に答えた。


「ははぁ、なるほど。仕事を頑張っている四葉への給金というわけじゃな。余も四葉にあかすっぺをあげたいのじゃが、どうすればいいのじゃ?」


「そ、それは今ここじゃできませんね。端末が必要ですから。といぅより、例えできたとしても、ナユタ王女からなんてもらぇません」


「それはなぜじゃ?」


 きょとんとした顔のナユタ王女。


「だ、だってナユタ王女はアクレシア国の王女ぇすよ? そんな立派で高貴な方からスペチャをもらぅなんてできません」


「立派で高貴――。ちゃんちゃらおかしいわっ」


 ちゃんちゃら!?

 王女とは思えないお言葉っ。


「そんなものは所詮、王女という体裁を整えるための外殻にすぎん。余は堅苦しい上辺に振り回されたくないのじゃ。人生は一度きり。だからこそ後悔のない生き方をしたいのじゃ」


「はぁ」


 こういった自由奔放な王女様どこかで見たことがある。

 アニメとかゲームとかだったと思うけど……。

 なんかすごい、おてんばだったような気がする。

 アリーネ王女――だっけ??


「四葉もそうなのじゃろ?」


「へ? 私が、ぇすか?」


「そうじゃ。地震によるダンジョンの崩落、あるとは限らない転移門と出口の捜索、迫りくるモンスター達の脅威、手ぐすね引いて待ち構えている罠――。そんな危機的状況の中でも職務を全うする四葉は、それが自分の生き方と思っているからなのじゃろう?」



【コメント】

 ・危機的状況って分かってた!?

 ・おまゆう案件www

 ・あなたもその危機的状況の直中にいますが??

 ・分かった上でその奔放さは草

 ・この王女、一筋縄ではいかんなw

 ・自分は蚊帳の外っぽいw


 

 視聴者さんのナユタ王女への突っ込みのオンパレード。

 みなさん、どうか悪口だけは言わないようにお願いしますねっ。

 これ、ライブ配信ですから!

 

 ……それはさておき、ナユタ王女からの問いかけに私は――、


「生き方とか、そんなかっこいぃものじゃないぇす。ただ、ダンチューバーという仕事が楽しくて充実感を得てぃて、たまたまそれが恐怖とか不安をほんのちょっぴり上回ってぃるからなんだと思います」

 

 多分、それで合っている。

 単純明快だけど、〝それを楽しめるかどうか〟って大事だと思うから。


「その、物事を楽しむ姿勢が生き方に反映されるのじゃよ。ぬふふ、余と四葉は何か通じるものがあるのう。歳も近いだろうし、良い友人になれそうな気がするぞ」


 ナユタ王女は、楽しいが恐怖や不安を圧倒的に上回っていると思いますが??

 ところで!


「お、お友達になれるなら嬉しいぇすっ。……でも歳は近い、ぇすかね?」


「四葉は15歳くらいに見えるが、合っておるか?」


「惜しぃです。こう見えて16歳なんぇす。……あれ? ちょっと待ってください。っていうことはナユタ王女も16歳、なんぇすか?」


「惜しい。余は15歳じゃ」


 年下だったのか……。

 確かにちょっと子供っぽいなとは思っていたけど。


「ちなみにソーラは20歳じゃ。侍女であると同時に、とても頼りになるお姉さんといった感じじゃな」


 ソーラさんは年相応といった感じだ。

 その彼女をちらり。

 

 相変わらずの無表情。

 だけど一瞬、口元が僅かに上がったように見えたのは多分、気のせいではない。


「ルカの年齢はいくつじゃ?」


 ナユタ王女が、しんがりを任されているルカさんに振り向く。

 意識をこちらに向けた彼女は、


「歳は17歳よ。JKやりながらダンジョン潜ってまーすっ」


「えっ?」


「なぬ?」


「っていうのは嘘で23よ。って、やっぱり17歳は無理かー。嘘つけーって顔してたもん、2人とも。あ、ちなみにカイは24歳」


「えーっ! 私絶対カイさんは30歳くらぃだと思ってました!!」


「聞こえてんぞっ。誰がおじさんだ、コラっ」


 張り上げた声に反応するカイさん。

 

 ごめんなさいっ。

 なんか本当にごめんなさいっ!


 

【コメント】

 ・24! ボクより10も上なんだ

 ・24でもおっさんだな

 ・俺とタメだったか・・・

 ・30なんてまだ若いだろ

 ・30でおじさんって50のワイはじじいか?

 ・30歳なら孫に2人おる。


 

 でも視聴者の皆さんに、色々な年代の方がいることが分かったので、結果オーライ……でしょうか。

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