第7話 来訪者たち

 さらに長い長い年月が経過した。

 ある日一隻の船が虚空を越えて飛んで来た。

 重力をうまく操ると、その船は優美な動きで惑星から高くそびえる塔の頂点へと近づいた。

 誘因場を形成し、一台の人造知性体を送り込む。今度は浸透場を形成すると、人造知性体は外壁をあたかもただの幻のように透過した。

 天空テラスの中をつぶさに観察し、そこの椅子にたった一人座り続けていたこの星の支配種族らしき存在の死骸を発見した。

 死骸が持っていた原始的な記録装置らしきもをすべて写し取り、天空テラスの死んだ電子機器から共鳴場を通じて吸い上げた知識を使って、その内容を解析した。

 図表と文字の羅列。翻訳には十分な情報だった。

 この惑星で何が起き、そしてどうなったのかを知った。死骸の来歴を知り、その冒険と挑戦とそして最後に得た勝利を知った。

 船の知性との議論は異例なことに数秒もの長きに渡って続いた。

 最終的に出された結論に従い、もう二台の人造知性体が派遣された。慎重な、そして敬虔な動作で、今や聖なるものと認定された死骸を船に収容すると超時空場エンジンを起動して虚空へと飛び去った。



 銀河中心部にはこの銀河唯一の大記念館があり、銀河中から集められたコレクションが展示されている。

 その一室に展示されたある原始部族の聖なる亡骸とその記録は、今でも銀河文明種族の間では高く評価され続けている。

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SF:世界で一番高い塔 のいげる @noigel

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