番外編 平安姫、牢獄へ行く②
「あれからもう三月。そろそろ良いじゃろ。ここから離れた地で暮らせば誰にもバレぬ」
「そしたら、あんたが逃がしたことがバレるけど、どうすんの?」
「どうもせぬ。そもそも、りりあんぬからの被害者はわれじゃ。それを勝手にるいすが罰したのじゃ。
じゃから、われも好きにしても良かろう」
何とも自由な発言にリリアンヌは溜め息をついた。そして、少しだがルイスに同情した。
「そしたら、私と会えなくなるけどいいの?」
「それは……、まぁ仕方なかろう。友の幸せもまた、われの幸せじゃ」
「ってか、そもそもここ快適だし。今のとこ、逃げる気ないよ」
少しの沈黙が落ちる。そして、イザベルは自分の過ちに気が付いた。
(われか、われが原因か!? りりあんぬが
じゃが、ずっと牢にいたいなどと思うとは予期できぬぞ)
「……ならば、りりあんぬは生涯をここで終える気なのか?」
「さぁ? 出る理由がないだけで、そのうち理由ができた時にイザベルが出してくれれば出るかもね」
気儘に言うリリアンヌにイザベルは時を待つしかないのかもしれないと、この場では諦めた。
そしてその日の夜、イザベルとリリアンヌは同じベッドで横になっていた。
「本気で泊まる気だったんだね」
「われは嘘はつかぬ。りりあんぬこそ、本当は出たいのではないか?」
「今出たら、
「ならば、ここで何かを極めてみてはどうじゃ? 何かやりたいことはないのかの」
その問いかけにリリアンヌはぼそりと呟いた。
まさかその一言が今後を大きく変えるとはリリアンヌは思いもしなかった。
翌日、牢の中には白地の高級そうな布や糸、レースなどが溢れんばかりに届けられた。そして、それと一緒にミシンや宝石も。
「まさか……」
「うむ、どれす作りをしたいと言ってたじゃろ! われの結婚式のどれすは、りりあんぬに任せたからの!!」
リリアンヌの腕も知らず、当たり前のように依頼してくるイザベルにリリアンヌは一瞬目眩を感じた。
(でも、これってチャンスだよね。衣装作りでミニスカウェディングドレスも作ったことあるし……)
リリアンヌは前世ではコスプレが大好きで自ら布を裁断し、ミシンで縫い、コスプレ衣装を作り上げてきていた。そんな彼女からすればコスプレではなくても、久々にミシンを使うことは非常に魅力的であった。
「失敗するかもしんないから、予備のドレスはあんたが用意しときなさいよ!!」
その言葉からイザベルのウェディングドレス作りは始まった。
そして、そのウェディングドレスは大流行することになる。
いつの間にか牢にドレス依頼に来る令嬢が増え、令嬢達からの嘆願とイザベルのお願いによりリリアンヌが釈放されるまではそう遠い未来ではなかったのだった。
番外編END
最後までお読みいただき、ありがとうございました。これにて完結となります。
平安のお姫様が悪役令嬢に転生した物語。少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
もし、少しでも面白かったー!! って思って頂けましたら、コメントや評価の★を頂けたら、とっっても嬉しいです(*>∀<*)創作意欲ましましになります(´∀` * )
評価★はこちらからできます↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330655782388753
また、こちらを元にした長編『溺愛?執着?転生悪役令嬢は皇太子殿下から逃げ出したい!!』も完結しております。よろしければ、そちらもお楽しみ頂けると嬉しいです!!
溺愛オカメはこちらから↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330648178512870
最後になりましたが、ここまで読んでくださった皆様への最大の感謝と、また出会えることを願って……。
皆様が、素敵な読書ライフ、創作ライフが送れますように(*´∇`*)
うり北 うりこ
【完結】悪役令嬢? いいえ、中身は『おかめ』な姫様です! うり北 うりこ @u-Riko
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