第112回 カクヨムSF研発足から四年目

 カクヨムSF研のXコミュニティに参加申請が増えだして、今週で163名が名を連ねることとなった。主催者としてはここまで大きな成功は予想していなかった。毎年のことながら、意見交換と自主企画しかない企画なのは皆さんも周知の通りだと思う。今回はそんなカクヨムSF研のことを振り返ってみたいと思う。

 もうカクヨムSF研発足の当時を思い出すのは難しいので、アウトラインだけさっと紹介する。カクヨムSF研はSF作家交流のために開かれたカクヨム非公式の自主企画であった。

 当時始めるにあたって、いくつか考えたことがある。ひとつはSFを上質な書き手によって書いてもらうことに尽きる。

 この回で数名の書き手の方々にお願いして、短編を仕上げてもらった記憶がある。聖願心理様( https://kakuyomu.jp/users/sinri4949 )、稀山 美波様( https://kakuyomu.jp/users/mareyama0730 )といった上質なSFを書く方々に短編を依頼したのだ。またプロ作家にもお願いした。七瀬夏扉@ななせなつひ様( https://kakuyomu.jp/users/nowar )、仲介していただいた我破 レンジ様( https://kakuyomu.jp/users/wareharenzi )ありがとうございます。


 当時は4000字の短編を新作で募集するという企画であった。原稿が集まるのか期待と不安で胸がいっぱいであったことも覚えている。ただ心強かったのはフォロワーの方々の参加であった。当時はアマチュアだった武石勝義様( https://kakuyomu.jp/users/takeshikatsuyoshi )や参加していただいたすべてのSF作家の力添えで満を持したものにできた。この回では特にカクヨムSF研BBSという近況ノートがSF作家同士の交流を深める場所となったのは嬉しい限りだ。またこの回では特にカクヨムSF研の最優秀賞を決めるという話はなかったのだが、有志のあいだでは古博かん様( https://kakuyomu.jp/users/Planet-Eyes_03623 )「発我大根」( https://kakuyomu.jp/works/16816452219520475205 )が優秀な作品と認められる場面があった。この年には何度かカクヨムSF研にトライしたが、結局夏開催が良いという結論に至り、今もこうしてカクヨムSF研は夏に開催されている。


 第一回から第二回のあいだで特筆すべきなのはプロ作家がつぎつぎと応募者から生まれたことだろう。もともとカクヨムでSF創作をしようというのが一癖二癖ある者の集まりだからか、一般文芸の道に羽ばたいていった作家もいる。たとえば前述した武石勝義様がそうだろう。また他にも若き俊英、夏野けい(笹原千波)様( https://kakuyomu.jp/users/ginkgoBiloba )も応募して下さった。回を追うごとにカクヨムSFの集まる空間という認識が広がっていったと感じている。


 いっぽうで我々アマチュアでも何かができないかと始めたのが、第二回と第三回の双方で行われたオールレビューである。短編全てに目を通してコメントをするという企画で一般的なレビューとは違い、声でレビューを届けるということを始めたのだ。このときにはレビュワーもなかなか大変な思いをしたがひとつの求心力として働いたのではないかと考えている。カクヨムSF研として仕事をしたというのがこの例だろう。さて今年のカクヨムSF研はどうしたものかと考えている。

 

 ひとつは長編部門、毎年字数制限をしていたが、これを撤廃する。何故かと言えば、カクヨムでも他サイトでも10万字を越えてなおも書き続ける野心的な書き手が多いからだ。カクヨムSFを見据えていけば当然の帰結だろう。カクヨムのSFを多くの人が参加できる形を作っていこうと思ったのだ。

 もうひとつは短編部門だ。これは声によるレビューを確実に出来るかまだ分からないために、競技性を打ち出してみたいと考えた。当初の4000字といった枠を作ることでゲーム性を持たせてSF創作を楽しんでもらう企画である。これには4000字では少し荷が重い。もっと手軽に楽しむためにたとえば原稿用紙6枚程度と考えている。つまりは2400字制限である。少々短いと思うが、構成力とSFを考える者ならば、ゲーム感覚で楽しんでもらいたい。


 もちろん書いていただいた方には全身全霊で応えなければならないだろう。スペースで時間を作り、一作ずつ声で感想を言いたい。

 カクヨムSF研も4年目に入った。ここに至るまで様々な人が関わり、場を作ってきたことに感謝しつつ、さらなる年を迎えたいと思っている。今年も7月から自主企画「カクヨムSF研4」を始める。どのような動きがあるのかないのか、楽しみつつも運営に関わらせていただこう。

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