第41回 創作の味方(1)

 創作は不思議なものですね。

 人に教えられたことより自分で開拓したことのほうが身につくし、武器にもなります。創作のABCは自らで勝ち取れというのが私流ですが、初心者の気持ちになって考えると早く一人前になりたいと焦ってしまいますね。今回は創作初心者のためにいくつかの文献を紹介したいと思います。

 まずは事典ですね。これは創作したいジャンルの世界をおおざっぱにまとめてあるものを買うのがいいと思います。

 ひとつはソフトバンククリエイティブの事典シリーズですかね。「シナリオのための~」と書いてあるものです。 


 「シナリオのためのSF事典」

 「シナリオのためのファンタジー事典」

 「シナリオのためのミリタリー事典」


 ――の3つがあります。異世界ジャンルを目指す人はファンタジー事典を、SFジャンルを目指す人はSF事典を手に取っていただきたいと思います。それにミリタリーを目指す人はミリタリー事典を薦めます。

 これらの事典を読むと、いわゆるお約束・定番を効率よく学べると思います。

 異世界ジャンルではここから発展して世界設定をよく練ると、世界に独自性と深みが出ると思います。なにもトールキンの指輪物語ゆびわものがたりほどの設定をする必要はありませんが、考えて作られた世界は奥行きがあり、読者に驚きや楽しさをもたらしてくれるでしょう。

 SFジャンルを目指す人はSF事典を手に取ってもらいたいです。これは一種の参考書だと思ってくれればいいです。SFジャンルの主要テーマを網羅的もうらてきに語ってくれています。これは「SFってなんだろう?」という問いに答えてくれます。

 SFジャンルを目指す人はここから一歩進んで理科の参考書や科学の本に手をつけるといいと思います。この事典はあくまでもお約束を知るためのものでしかないのでSFで必要な科学的裏付けは書いてないからです。

 ミリタリージャンルを目指す人にはこの事典は若干読みごたえは薄いかもしれませんがいままでミリタリーを書いたことがない、別ジャンル作家にはおすすめしたいと思います。ミリタリージャンルを志す人はここから一歩進んでさまざまな文献や資料、そしてネットの情報を駆使してもらいたいですね。


 つづいて、感情表現について書かれた本を紹介します。

 フィルムアート社の「感情類語辞典かんじょうるいごじてん 増補改訂版」です。

 感情を持つ人間の発している無意識の体のサインを表現をするにはどのような言葉を使えばいいかを辞典形式で説明しています。また感情表現の有用性を語っているので小説のレベルアップを目指したい人にはおすすめしたいと思います。

 キャラクターがどんな感情を抱いているかを冷静に分析しながら、辞典を引くといいと思います。

 この本以外にもフィルムアート社の類語辞典はいくつかあるので興味のある人はコンプリートを目指してもいいかもしれません。またフィルムアート社自身もカクヨムに参考書の連載があります。「きちんと学びたい人のための小説の書き方講座」(https://kakuyomu.jp/works/1177354055193794270


 三つめは「ピーター・バリー 文学理論講義 新しいスタンダード」です。

 これは大学の講義レベルの内容なので初心者だけでなく中級者・上級者にもおすすめできる本となっています。文学の批評の歴史と言いますか、どのような道筋を辿って文学が発展してきたかを読み解く本です。現代性を持った作品を書くにはどうしたらいいか? といった問いに答えられる本ですね。なので意識を高く持ちたい作家、公募に応募する作家には強くおすすめしたいと思います。


 いかがでしたでしょうか。これらの本を読んで自分の創作のレベルアップを図るのもいいと思いますし、これらの本を読むことで自分の世界が広がります。これをきっかけに参考資料をもっと集めたり、ネットで情報を集めたりするのもいいですね。

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