第36回 【オファーの瞬間】を読み解く⑦ 電撃マオウ編集部

「おっさん、転生して天才子役になる」(https://kakuyomu.jp/info/entry/offer_interview_vol.7)の記事です。さきほど今作の一話が漫画の原作としてすばらしいというので読んできました。私は、これはストーリーラインのみょうだと思います。例えばメディアワークス編集部の回では、小説にしか表現できないことを書こうという記事を書きました。けれどコミカライズの場合は少し違ってくるようです。「文芸」としての小説と「原作」としての小説の違いなんでしょう。

 いま、多くのエンタメ小説の趨勢すうせいは文芸寄りだと思います。しかし、KADOKAWA自体が推し進めるコミカライズの方向はむしろ、そうしたくさみはないほうがいいと考えているようです。しかしそれは表面的なものにしかすぎないです。深いレベルでコンテンツの面白さが評価されていると思えます。

 

 作品の面白さを引き立たせるのが文芸の力ですが、ストーリーのなかで起こっていることの面白さを考えるのが重要だとも言えますね。うそが言えないとも。文芸自体の面白さで飛躍ひやくしていくのはプロでも難しいはずですし、ユーザー生成コンテンツの時代においてそういった臭みはむしろ邪魔じゃまなのかもと。


「おっさん、転生して天才子役になる」はふつうに小説を書いていたら、考えない書き出しから始まるのも注目すべき点ですね。

 まえに小説書きの仲間とあるコミカライズ原作の小説をいっしょに読んだことがありました。仲間のひとりはその漫画がすごく気に入っていたようで、原作をわくわくした目で読んだそうなんです。ところが、文芸的にはぜんぜん面白くなくてブラウザバックしたらしいんですね。その彼の目に映ったものはコミックとは別物だったという話です。

 コミックで原作はかなり再構成されるものなのでしょう。記事によれば語りの順番の組み替えも行われているようです。


 漫画家や編集者の目でブラッシュアップされた作品は面白いです。でも原作の一話にそこまでの力があるのかは分からないですね。でも、一話をきちんと通して見ることでストーリーラインがしっかりしていて、「目に浮かぶ」ようであればそれは原作に適していると言えなくもない。転生ものの一話というものはだいたいテンプレートがあります。


 電撃マオウ編集部はカクヨムとはつかず離れずの関係にあるように見えました。ウェブ発を積極的に発表していくのではなく、流行やトレンドは移り変わるのがつねですから、新しいことをやっていこうと動いています。コミカライズの方向性、あなたにとってアリですか? ナシですか?

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