そらのともだち
もちっぱち
そらをむけば
そらを むけば
きみは そらを みてる?
ぼくは そらを みる ことが できないんだ。
いつも、ようちえんで ひとりで あそぶんだ。
さびしくて、かなしくて、つらくて…
ずっと、したを むいている。
どうして、こうなったかと いうと、
かいくんと けんかして なかなおり できなかった。
そしたら、ひまわりぐみの みんなから なかまはずれに された。
さいしょに けんかを ふってきたのは
かいくん なのに…。
みんな はなしかけても、へんじを してくれなくなった。
かいくんは、ずるい。
たくさんの ともだちが いるんだ。
ぼくには、ひとりも いない。
それなのに、ぼくに ちょっかい かけてきた。
やめてって いっても やめてくれなかったから、てを ふりはらった。
そしたら、まちがって、ほっぺたに あたって しまった。
くやしくて、なんも いえなくなって、ぼくは そこから はしりだした。
せんせいたちや ともだちが かいくんに ちかづいて、しんぱいしてた。
だれも ぼくを しんぱいしてくれない。
みずのみばで しゃがんでると、おそらから こえがした。
「きみのこと みているよ。だいじょうぶ、すなおに はなしてみて。」
かおを あげると、くもが ふわふわ ういて はなし かけてきた。
「ぼくは、わるくない。さきに たたいてきたのは、かいくん なんだ!」
おもったいじょうに おおきな こえで さけんでいた。
ちかくに ようむいんの ささきさんが いた。さっきまで、はなしかけてくれた くもは いなかった。
「そうだったんだね。よしよし。せんせいに、いいにいこうな。」
とつぜんの ことに びっくり した ささきさんは、ぼくの ことを すぐに わかってくれた。
てを つないで、せんせいの ところに つれてってくれた。
せんせいが、はなしをきいてくれて、かいくんと なかなおりが できた。
ぼくは、また そとに でた。
さっきの くもを さがした。
ぶらんこ のちかくに ふわふわ ういていた。
「うまく いえたね。」
「うん。ちゃんと なかなおり できたよ!」
「そう、おおきい こえ でてたよ。だいじょうぶ、また さびしく なったら、そらをみて。ぼくが いるよ。うえを むいたら、きっといいことが あるよ」
ふわふわうかびながら、くもはいった。
「ぼくは ともだちが ほしい。みんなと いっしょに あそびたいんだ。」
「うん。だいじょうぶ、にこにこ えがおであそぼうって いってみよう? きみの きもちは つたわるよ。なきたいときは ないていいんだよ。あした わらえば つよくなれるから そらを みて。」
うえを みあげると、くもが くらくなってきて はなのあたまに プツプツと あめが ふってきた。
あわてて、てらすの やねのしたに はしった。
「あめが ふったら、ぬれちゃうよ!」
よわいあめだと おもったら、いっしゅんで どしゃぶりに なった。
そうかと、おもったら、とたんに おひさまが くもから のぞいている。
「ほら、ぼくに だって なみだが でるんだ。ないたあとには……。」
おひさまの はんたいのほうに きらきら かがやく にじが あらわれた。
「うわあ、きれい。」
「ないた あとは にじが でるんだよ。だから、きみも、ぼくみたいに わらえる あしたが くるんだよ。」
ぼくは、いつまでも いつまでも にじを ながめていた。くもは、ぼくの となりに ずっと いてくれた。
ぼくは ひとり じゃない。
ぼくは そらを みることが
できるから
だいじょうぶ。
そらのともだち もちっぱち @mochippachi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます