第2話転生の間 2

【…………君は今の話を聞いて、それでもなお、その能力を望むのかい?】


 ブルーズ様は、とても信じられない者を見る目で、こちらを見ている。

 当然だ。人格が変わると言われ、転生後も役に立たない能力。

 誰だって、そんな力望まない。


「すいません。でも、俺はどうしてもこの能力が欲しいんです。

たとえ、俺の人格が変わってしまうとしても、役に立たない能力でも

俺はこの力が欲しいです」


【…………】


 ブルーズ様は口元に手を当て考え込んでいる。

三人しかいない転生者の1人が明らかにハズレ能力を望む。転生者の功績によって合否が決まる昇格試験においてこれは、大きなマイナス要素だ。

 今からでも、新しい転生者を探したほうがいい、というか、俺ならそうする。


【……一つ確認させてくれ、君はなぜリスクを負ってまでこの力を望む?】


 ブルーズ様はとても真剣な目で問いかけてくる


「俺は自分の事が嫌いです。いつも何とかしよう、何とかしようと思うだけで、何もしません。そんなまま今日まで生きてきました。そして今変われるチャンスがきました。本当なら、自分で変わらないといけないんです。それをズルでどうにかしようとしているんです、これくらい当然です」


「ブルーズ様。我儘を言ってすいません。それでもどうかお願いします!」


 人生初めての土下座でお願いする。ここが俺の変われる最後のチャンスなんだ!

 いい能力をもらって、異世界に行っても、俺は絶対に腐る。

 これまでの人生が証明してる。だがら、ここは絶対に引けない!


【……分かった、少し待っててくれ】


 そう言ってブルーズ様は消えてしまった



 ―――――――――――――――



 どれくらい時間がたっただろうか?何もない空間を静寂が支配する


【待たせたね】


「っ!ブルーズ様!」


【今、遊戯の神テトラ様に許可をもらってきた。君に能力を二つ授ける】


…はぁ!?


「どうゆうことですかっ!?授けられる能力は一つだけなんじゃ?」


【そう、今回の試験において中級神は、3名の転生者を選び、能力一つずつ授け、エルディアに送り、その転生者の功績をもって合否決める】


【だから、僕の転生者を君1人にしてもらった】


「えっ!?」


 ブルーズ様の転生者が俺だけ!?どうして!?


【君に賭けてみたくなったんだ。元々僕はこの昇格試験に乗り気ではなかったんだ。だから先程の君の話を聞いて、君に全てを賭けてみたくなった、それでテトラ様に事情を説明して許可貰いに行ってきたんだ。テトラ様は大笑いして許可してくれたよ】


 大笑いって…それでいいのかよ上級神


【まあ、テトラ様は遊戯の神だからね、基本面白い事好きなんだよ。とわ言っても君だけに能力を三つも授けるのは流石に不公平だからね、能力は二つ、後は少し才能を与える位なってね、もう他の神は転生者を選び終えてしまっていたからね】


 なるほど、公平性を出すために能力は二つということか、才能っていうのは、剣術の才能とかそういうのかな?


【才能はスキルの会得難易度や成長率に関係するね。勿論スキルの力抜きに剣術の才能なら剣技が良くなる、魔法の才能なら威力増大やМP向上なんかになるね】


 才能かぁ……そんなに色々もらっていいのかな?いや、このままじゃ俺役立たずだからな、ブルーズ様の転生者としてしっかりしないとな


【そんなこと気にしなくていいよ、君が必要だと思う物を望みなさい】


 !?…ブ、ブルーズ様ぁ~、ヤバい、かっこいい、かっこ良すぎるよ!絶対この方の役に立たないと、申し訳が立たないよ。



 さて、真剣にもう一つの能力と才能について考えないとな。正直、精神強化能力以外だと隠蔽能力くらいしか考えた事がないんだよな。でもなぁー、隠蔽能力が有れば他の転生者に見つからず、面倒ごとも回避しやすくなるんだろうけど、精神強化能力と隠蔽能力の組み合わせじゃあ、ブルーズ様の役に立ちそうにないんだよな。昇格試験は転生者の功績よって決まるそうだけど、この能力じゃ無理だな。


 というか転生者の功績って具体的にはどんな事すればいいんだ?


【功績は、明確な基準があるわけじゃないだ。さっき話たとおり、テトラ様決めるからね。大体は転生者が国なんかの上の地位なる、発展させる、災厄や凶事から守るなんかだね。別に国にこだわらず、エルディアには冒険者ギルドがあるから、冒険者になってギルド基準で功績を挙げても問題ないよ】


 なるほど、冒険者か、となるとやっぱり最低限の力は必要だな。


【後、気を付けてほしいのは、エルディアには僕たちと敵対する神 邪神 が存在するんだ】


 …邪神!?


【邪神は自らの眷属を使いエルディアに混沌を巻き起こす事で力をつける神でね。属性管理の妨げになる存在だ。だから僕たち中級神とは、特に敵対する事が多い。転生者が狙われる可能性があるから、そこも考えた方がいいかな】


 邪神か…これはまじで隠蔽能力しかないのか?


【あ、邪神の眷属倒しても、一応功績になるよ】


!!


「本当ですか!?」


【うん、敵対する神の眷属だからね、結構な功績になったはずだよ】


 これは、狙うしかないんじゃないか!?邪神は属性管理の妨げになる存在で、ブルーズ様の敵。さらに、倒せばかなりの功績にもなる。これしかねえ!


「ブルーズ様!二つ目の能力と才能決めました!」



 



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青の使徒…隠遁の旅 @akaikama

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