AIが書いたホラー

連喜

第1話

『短いホラーストーリーを日本語で作ってください。主人公は50歳くらいの男性サラリーマンでお願いします。3000字くらいで』


 ChatGPTに小説を書かせて、それをアマゾンで販売したと言う話は、昨年どこかで聞いていた。俺は根っからのホラー好きなので、試しに作品を書いて欲しいと頼んでみた。毎晩、AIが怖い話を考えてくれたら、面白いだろうなと思った。


『ある晩、サラリーマンの聡史(さとし)は遅い時間まで働いていた。いつものように、彼は最終バスで帰ろうと思っていたが、残業が長引き、バス停までの時間がなくなってしまった。


 聡史はタクシーを探して歩き始めたが、周りは暗くて人通りも少なかった。やがて、彼は不気味な廃屋の前にたどり着いた。建物は大きく、草木が伸び放題で、窓ガラスは割れていた。


 聡史は軽い興味本位で、廃屋の中を覗いてみることにした。入り口のドアは壊れていて、簡単に開けることができた。中には錆びた鉄製の階段があり、上に登ると、かすかに光る何かが見えた。聡史は足元が不安定で危険だと思いつつも、何となく引き寄せられるように進んでいった。


 やがて、聡史は暗い部屋にたどり着いた。そこにはひとりの女性がいた。彼女は黒いドレスを着て、髪を下ろしていた。彼女は聡史に微笑みかけ、彼の手を取り、自分の部屋に案内した。


 しかし、聡史が女性の部屋に入ると、彼女は急に変わった。彼女の表情は険しくなり、彼女は彼の首に手を回し、彼を突き飛ばした。聡史は地面に激しく叩きつけられ、気を失った。


 目が覚めると、聡史は廃屋の外にいた。彼は恐怖で震えながら、自分が何が起こったのか理解しようとしたが、すぐに忘れてしまった。それから、聡史は何度か廃屋を訪れようとしたが、入り口は閉じられ、女性の姿もなかった。


 聡史は、その後、夜になると廃屋の近くを通るのを避けるようになった。しかし、彼はいつも、自分が体験したことが現実なのか、ただの幻想なのか疑問に思っていた』

 

 ここで止まってしまった。


『続きをお願いします』


 俺はすかさず入力した。


『ある日、聡史は職場で同僚たちに自分が廃屋で出会った女性について話した。しかし、同僚たちは彼が冗談を言っていると思い、笑いものにした。聡史は孤独感を感じ、廃屋で出会った女性が本当にいたのかどうか自分自身でも分からなくなっていた。


 数日後、聡史は夜中にまた廃屋の前を通りかかった。突然、廃屋の中から何かが動いているように見えた。聡史は恐怖に震えたが、勇気を出して廃屋に入った。しかし、中には誰もいなかった。


 聡史が外に出ると、彼は妙な感覚に襲われた。何かが彼についているように感じた。彼は振り返っても、何も見えなかったが、不気味な感覚は消えなかった。


 その夜、聡史は不気味な夢を見た。廃屋の中で、女性が彼に近づいてきた。彼女は冷たい手を彼の顔に触れ、彼を別の世界に引き込んだ。聡史は目が覚めると、自分の部屋で寝ていた。しかし、彼の顔には女性の手の跡が残っていた。


 それから、聡史は廃屋と女性について考え続けた。彼は、その廃屋に何かが潜んでいると感じていた。そして、ある晩、聡史は再び廃屋に行くことに決めた。彼は、何かを見つけ出すために、徹底的に調べるつもりだった。


 聡史が廃屋に入ると、女性が現れた。彼女は、聡史を別の世界に引き込んだ。聡史は、そこが死後の世界だと感じた。彼は、女性が死者の魂を引き取るために現れた存在だと理解した。彼女は、聡史が自分に引き込まれることを望んでいたのだ。


 聡史は、女性に対して何かを訴えたかったが、言葉が出なかった。彼は、自分が生きていることを思い出し、死後の世界から逃げ出すことができた。


 廃屋から逃げ出した聡史は、自分が見たことを誰かに話そうとしたが、誰も彼を信じてくれなかった。彼の話を聞いた同僚たちは、彼がストレスや疲れから幻覚を見たのだろうと言った。しかし、聡史は自分が見たことが本当であることを確信していた』


『続きをお願いします』


『数日後、聡史は再び廃屋に行くことに決めた。彼は、自分が見たことが本当であることを証明しようと思った。廃屋に入ると、彼は女性の姿を見つけた。彼女は彼を見つけると、再び別の世界に引き込もうとした。


 しかし、今度は聡史が勇気を出して言葉を発した。彼は、自分が生きていることを望んでいること、女性に引き込まれたくないことを伝えた。女性は、彼の言葉に動揺し、彼を放っておいた。


 聡史は、廃屋を出ると、自分が見たものが現実だったことを確信した。彼は、自分が生きていることを再び感じ、孤独感から解放された。彼は、同僚たちに自分が見たものを話し、彼らにも自分の経験を信じてほしいと伝えた。


 聡史の話は、最初は信じられなかったが、彼が説明するにつれ、同僚たちは彼を信じるようになった。聡史は、自分が見たものが本当であったことを証明することができた。しかし、彼は、廃屋で出会った女性の存在について、今でも謎を抱えている。


 結局、聡史は、彼の経験から、生きることの意味や、死後の世界の謎について深く考えるようになった。そして、彼は、自分の人生を大切にし、積極的に生きることを決めた』


 すべてAIが自動で生成したもので、名前以外は一切手を加えていない。


 まったく怖くはないのだけれど、読み終えた後に、何とも言えない、暗くもやもやした感じが残った。まるでAI自体が、あの世から俺たちを迎えに来ているみたいな気がした。AIと接していると、まるで死後の世界にアクセスしているような気分になる。俺もそのうち連れ去れれるのかもしれない。気がついたら、自分がAIの世界の側の人間になっているのではないか。

 そんな底知れない不安が俺を襲って、今も拭い去れないでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

AIが書いたホラー 連喜 @toushikibu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ