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その人は何の前兆もなくふっと消えた。そこでボクは自分のからだにものすごい勢いで戻り、はっと目が覚めたのだ。
突然のことに頭が混乱する。幽体離脱で体験することは、決して現実とリンクするものではない。
それはこれまでの実体験からわかっている。
けど、あの人の様子……あの顔、佇まい。忘れられない。
ボクは暗闇の中、目を閉じて先ほどの体験を反芻した。さっきの幽体離脱でいた場所。女性が持っていた文庫本。そして指し示された表紙は、「月の文学館」を検索したときに出てきた画像と同じだった。つまり、あの本が何か重要な意味を持っているということか。
ボクは獅童さんが起きるのを待ち、書斎に入れるか聞いた。獅童さんは「何かわかったのか」と目の色を変えて尋ねてきた。もちろん幽体離脱の話なんかできない。
曖昧にごまかし、獅童さんが作ってくれた簡単な朝食(ベーコンエッグトースト)を、ボクが淹れたコーヒーで流し込むと、ボクと獅童さんは意気揚々と書斎に向かった。
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