第6話 オレたち過渡期はじめ
キャンパスに通い始めてから半年ぐらいがたった。俺は今大学3年生の前期の中ほどだ。…友達はまだいない。…まだできない。
今日もイヤホンをして大学に行く。頭の悪そうな黒髪マッシュ、センターわけ、陰キャチー牛。お前ら…なんでカップルなんだ?なんで、グループになって誰かと話しながら歩いてるんだ?どうやった…?まじでどうやったんだ?
おい、前で立ち止まるなよ。まじで邪魔なんだよ。歩く時ぐらいスマホ見んなよ。はぁ…なんなんだ?目の前で手つないで歩きやがってよ、本当に邪魔なんだよ。帰れよ。外に出るなよ。まじで意味わからん。見せつけてんのか?
ふざけんなよ…ふざけんなよ。まじでふざけんな。
糞が…。
足早に講義のある教室に行く。イヤフォンで流れてる曲はShellacのprayer to god。
今日も講義はつまんない。ただ、テストがあるのでノートを取っておく。そういえば、大学の授業って…いや、正確に言うと俺の取ってる授業がそうなのかな…?あんまり他の人とやるようなのが無いな。
いや、あったな…あったけど…、みんな終わったら足早に帰っちゃった。一応、仲良くなろうとして、笑顔作って、最後お疲れ様でした…って言おうとしたり、言ったりしたんだけど…スルーだったかな…。
なんか…やっぱし、俺…嫌われ…いや、んなわけねぇ。そうだよな。みんな陰キャだわ。あんなんでどうすんだよ。大学で一人も知り合い作らない気か?
マジでイラつくわ…。クソがよ…。
…なんだ、あれ。なんか、あそこの集団…体格が似てるな…?スポーツかなんか…?部活動ってやつか…?そういえば、この大学サークルとかってどんなんあるんだっけ?調べてみないと分かんないな…。
…でも、あいつらも大変だな。いやぁ…新入生はたぶん、俺たちもそうだし、サークル説明会とか新歓とかそういうの一切なかったからそもそも入口が無い状態で入ってこれないだろうから、次の代とかどうすんだろ。
…てか、そっか。俺が3年ってことは新しく1年生が入ってきてんのか。…なんか、確かに最近学校内がなんか活気に…くそ騒がしいわ。そうか、新しい1年生が入ってきてるからか。まだ、クソガキの気分なんだろ。…ん、ちょっと待てよ。そいつらって入学式とか…もしかしてあったの?いや、分かんないけど…。
え…それって…せこいな。
…
講義の終わりを告げる鐘が鳴る。
食堂へ向かう。
今日も混んでる。周りはみんな誰かと来てる。みんな誰かと群れてる。糞みたいに騒がしい。馬鹿みてぇだ。もっと静かに並べねぇのか。金髪。茶髪。男、女、男?男?イキリマッシュ。ひらひらしたの着たキモイ男。男らしくねぇ男。女。可愛いね。男。陰。体格でかい男。運動できそうな男。うるさい。ひときわうるさい。
醤油らーめんを頼む。醤油らーめんが来る。座る。
左手でツイッターを見て、周りの雑音を消す。そのまま右手で箸を持ちらーめんを食べる。食べる。
犬。犬。猫。犬。こいつら、無断転載の動物でアフィとかまじで恥ずかしくねぇのか、人間の屑がよ、ブロック。猫。猫。でも…動物に罪はねぇから。……100万円あげる、馬鹿みたいな投資、意識高い系の糞自慢、何かに怒ってる奴、海外を持ち出すやつ、社会に怒ってる奴。社会に怒ってるやつ。誰かのせいにしてるやつ。社会に怒ってるやつ。
テレビの切り抜き。話題は若者のコロナ下の学生生活。マスクしてるから、顔分からない状態で付き合って…それで付き合ってから顔がタイプじゃなかったら分かれる…。Z世代の遊び場…ライブハウス、Z世代にいま人気…これアフィブログの誘導か…。Z世代の服装、髪型。Z世代さんこんなんが多すぎるwwwwww…まとめへの誘導。
…
らーめんを食べ終える。
お盆を返却口に返す。
次の講義は……ここか。
することも無いので、早めに講義に行く。まだ、講義が始まるまで30分はある。
そうだ…さっきちょっと思ってたこと調べるか。この大学のホームページ見れば分かるはずだ。
どれどれ…
…2022年入学式……入学式へご来場のみなさまへ…やっぱりそうか。…クソが………。……待てよ、俺たちが入学式してないからってどうして、1つ下の代までしてねぇって思うんだ?
さかのぼっていく。
2021年入学式…入学式へご来場のみなさまへ…。
…………………
そうか…。おかしいと思った。どうして、あの時、既に全員が孤独じゃなかったのか。なぜ初めての登校日なのに、お友達とおしゃべりしあそばすやつがいたのか。そういうことだったか…。
入学式があるってことは…あ、やっぱりな…。オリエンテーションキャンプ。話にだけ聞いていた。オリエンテーションで山梨でキャンプするってやつか。受験する前はこんなくだらなそうなイベントが楽しそうに見えた。
こいつら…サークル説明会もあるし…ツイッター見て今初めて知ったが新歓もあったんだ。
…………………
もう、いいや。今日は、もう良い。帰る。
こんな場所にいてたまるか。俺は帰る。
リュックを持って勢いよく走り出す。なんていうか、なんだこれ視界がぼんやりしてる。なんだこの感情。悔しい?
悔しい。俺が馬鹿みたいだ。周りが勝手に俺と同じだと決めつけていた。でも、違った。そもそも立ち位置が違った。俺と同じスタートラインなんかじゃなかった。悔しい。悔しい。
カップルとすれ違う。
本当だったら、本当だったらそこに立ってたのは俺だったかもしれない。俺のほうが背も高くて…そこに立ってたのは本当は俺だったんだ!!
なんでだ?なんで、たった1年違うだけでこうも違うんだ?どうして、俺ができなかったことができて?1年違っただけで。何が違った?俺と何が違ったんだ?
そんな状況で俺は、初めのころ、ああやってみんな友達できてるから、俺も友達作れるって、誰かと関係を持てるって…!馬鹿だ。本当に馬鹿じゃねぇか。あいつら俺とは違ったんだよ!違うんだよ!!
…
道路を勢いよく下る途中で馬鹿みたいにこける。馬鹿みたいだ。すごく馬鹿みたいだ。惨めだ。惨めだ。
車にクラクション鳴らされる。
うるせぇ…
ふらふらと立って、ふらふらと避ける。車はそのまま坂道を上がっていった。
うるせぇ…指図すんなや
そのまま家まで走って、ベッドに飛び込んだ。
そして枕に向かって思いっきり泣いた。
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