第53話 波乱?の前日②
白身君もとい白井君と呼ばれた男の子は瀧川に「俺が奢る!」と言っているが、瀧川は瀧川で遠慮をしている。
…コイツ遠慮なんて出来るのかよ。俺にもしてくれ。
にしても瀧川も俺とは別の日に奢ってもらえばいいのにな。あれか?カロリー的な問題なのか?そんなの気にしなくても瀧川はいいバランスの体型だと思うんだけどな…?
まぁセクハラになるから言わないけどな。
「えーっと…そろそろいいかな?白井君…だっけ?俺は瀧川の先輩で、永井秀人って言うんだ。よろしくね」
二人の会話が一向に終わらないので俺がそう切り出すと、白井君が改めて俺の全身を品定めするように見てから立ち上がり、俺の近くまで歩いて来る。
「………
へぇ…大学でも後輩なのか…なら尚更仲良くしときたいな。
俺は白井君に握手のために手を差し出すと、白井君も手を差し出してきてくれてギュッと固く握手を交わす。…なんか白井君の顔がだんだん赤くなってきて、握ってる手にも力が入ってプルプルしてるけど緊張でもしてるのかな?
「ほら自己紹介済んだなら、センパイから手を放す!じゃあセンパイ!ハイッ!私とも握手しましょ♪」
「いや『センパイ!ハイッ』じゃ無いが?瀧川とはしなくてもいいだろ」
「ぶーっ!やっぱりセンパイはケチですね!!」
ケチとか言う問題なのだろうか。それにしても白井君、俺と手を放してからゼェゼェ言って手を痛そうにしてるけど…大丈夫なのか?瀧川も心配してやれよ…。
「えっと…大丈夫?白井君」
「ゼェ…ゼェ…な、なかなかやりますね…永井先輩……。ですがまだまだこれからですよ…!覚悟…して…おいて……くださいね…!」
ちょっと心配になるが面白そうで根性がありそうな子だ。これなら居酒屋のバイトでも大丈夫だろう。
「そうだセンパイ、今度店長がセンパイを白木くんの教育係を任せたいって言ってましたので、奈緒から引き継ぎでお願いしてもいいですか?」
「いやだから俺は白i「わかった。どこまで出来るかはわかんないけど、瀧川の時みたいな感じで良いのか?」」
「はいっ!それで大丈夫です!流石奈緒だけのセンパイですね♪やっぱり頼りになります♡」
「まぁ俺も休み期間が空いてたしな。再履修みたいな感じで俺もおさらいしていくよ」
そう言って俺と瀧川との距離がまた近くなるが、そういえばコイツはこれくらいの距離感だったなと思い直して着替えに行く。
シフトを見ると今日の仕事はキッチンだったので、キッチンでバイトを始めた。
『なーんだ!しっかり仕事出来るじゃない永井君!これならあたしが見なくても大丈夫ね!』
「意外と体が覚えてるもんですね。ありがとうございます佐藤さん」
『良いの良いの!永井君も大丈夫そうだし、あたしはホールに戻ろうかな。店長が戻ってきたら一緒にキッチンの方はお願いね』
「了解です、ありがとうございました!」
キッチンから出てホールの方に帰って行く佐藤さんを見送って、再び俺はキッチンで他のバイトの人達と業務を進める。
相変わらずバイト中は忙しかったが、前に入っていた時よりも格段に忙しく、まさに息つく暇もないとはこの事だった。
その原因は言わずとも見れば誰もがわかる事だ。
「いらっしゃいませ〜♪六名様ですか?奥のお座敷にどうぞ〜…(チラッ)」
「お会計五千三百円になります。ありがとうございました〜!…(チラチラッ)」
キッチンからホールの方を見ると、アイドルのようにキラキラとした接客をしている瀧川を筆頭に、白井君を入れた六人のスタッフで回している。
白井君は他の先輩に教わりながら動いているが、隙を見つけては瀧川の方を見ている気がする。
瀧川も以前の事件の時とは打って変わって、生き生きとした笑顔で接客をしている。
それは良い事なのだが、白井君と同じく隙を見つけては俺の方を見ている気がするのは…気の所為か?
何かに気がついた白井君が俺のことをすごい顔で見ていて、よそ見をしている事を教わっている先輩に怒られているみたいだが…もしかして白井君は瀧川の事が好きなのだろうか。
だとしたら相当大変な恋になるだろうなぁ…
瀧川クラスの美少女なら、それこそアイドル並みのイケメンじゃないと堕とせないだろう。白井君もイケメンの部類だろうが、瀧川が誰かを好きだと言っているところを見た事はないしな。
「お待たせ致しました♪こちら生三つです〜」
『うーっす…って!マジ!?お姉ちゃんめっちゃ可愛くね!?ちょ、バイト終わったら俺と遊びいかね?』
「すみません、私好きな人がいるので…ごめんなさい」
『マジか〜…まぁしゃーねーか』
『ぎゃはははは!フラれてやがるぜコイツ!』
…前言撤回。瀧川には好きな人がちゃんといるらしい。でもそのタイミングで顔を赤らめながら俺の方を見たのはなんだ?面倒ごとになった時に助けてくれって視線か?
後白井君、顔が怖いよ…?
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